「The Black Donnellys」鑑賞

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ポール・ハギスといえば(すげえ名前だ)、「ミリオンダラー・ベイビー」や「硫黄島からの手紙」といった人気作品の脚本や、アカデミー作品賞をとった「クラッシュ」の監督などを手がけたことで今やおそらくハリウッドでいちばん勢いに乗っている人だけど、もともとは「騎馬警官」とか「Walker, Texas Ranger」などといった実に微妙な出来のテレビシリーズを手がけてた人なんだよね。そんな彼が新しく手がけたシリーズ「The Black Donnellys」の第1話がiTunesストアで無料配布されてたので観てみる。

これは犯罪に手を染めることとなったアイルランド系の4兄弟の姿を追ったドラマで、アイリッシュ版「ゴッドファーザー」といった感じの内容か。乱暴者のジミー、物語の主人公であるトミー、賭け事が好きなケヴィン、色男のショーンの4人が、ニューヨークの裏社会の権力争いの中からイタリア系マフィアを相手にしつつ、自分たちの縄張りを守っていこうとするもの。マフィアを相手にするのには兄弟たちが若すぎるような気もするけどね。あと物語の大半は彼らの仲間であるジョーイの「告白」として語られているのが特徴でもある。

全体的には思ったよりも出来は悪くなかった。地上波(NBC)のドラマとしては珍しくきちんとニューヨークで撮影がしっかり行われていて、ニューヨークの下町を舞台に犯罪に巻き込まれていく兄弟の悲哀を描いているところはスコセッシの作品を観ているかのよう。でも幸か不幸かテーマが重厚すぎて、地上波には向いていない作品のような気がする。ミニ・シリーズとかHBOのシリーズとかだったらもっと良かったんだろうけどね。案の定、視聴率はあまり高くはないみたいだけど、13エピソードくらいは最低でも続いて欲しいな。

ちなみに「アイルランド系は昔からネガティブなステロタイプとして見なされてきた」みたいなセリフがあるんだけど、酒場で酔っぱらってケンカするような連中を描いてるようじゃ、イメージ向上には結びつきませんぜ。

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