こんどのアカデミー賞で監督賞と外国作品賞にノミネートされてるデンマークの作品。原題は「DRUK」。
コペンハーゲンで教師をしているマーティンおよび3人の同僚は仕事もうまくいかず、家庭でも退屈な日々を過ごし、いわゆるミッドライフ・クライシスを迎えていた。飲み仲間である4人はスウェーデンの学者による「人は血中のアルコールが0.05%低い状態で生まれてくるので、ちょっと酒が入ってる状態が一番最適なのである」という学説を見かけ、それを実践するために日中に酒を飲み、8時以降は飲まないという誓いを立てる。これにより仕事でのストレスが消えて生徒受けも良くなったマーティンたちは、さらに血中のアルコール濃度を上げようと酒に深入りするのだが…というあらすじ。
メディアではコメディ・ドラマとして紹介されてるけどコメディの要素は殆どなくて、酒に救済を求める男たちの姿を淡々と描いている感じ。聞いた話ではデンマークって未成年の飲酒率が突出して高くて社会的にも大目に見られてるそうで、劇中でも生徒と教師が飲酒についてフランクに語り合うシーンが出てきたりする。とはいえ流石に学校で酒を飲むのは禁止されてるので主人公たちはいろいろまずい状況に置かれていくのだが。おれ個人は酒に弱くて顔がすぐ赤くなるタイプなので、周囲にバレずに酒を飲める人、というのがちょっと理解できんのよね。
主人公のマーティンを演じるのはマッツ・ミケルセン。酔ってキレッキレのダンスを披露してくれます。監督のトマス・ヴィンターベアって俺の苦手なドグマ95の人か…。もともと監督の娘さんの体験をもとに原案が練られて、主人公の娘役も彼女が演じるはずだったのが、撮影開始直後に交通事故で亡くなるという、ちょっとヘビーな背景があるらしい。
酒による失敗を描いてる一方で酒を糾弾する内容になっていないところが、ヨーロッパ的というか。でもこれたぶん「フレンチアルプスで起きたこと」みたいにハリウッドでリメークされそうな気がする。主人公たちが泥酔してゲロ吐いてベッドで寝小便しても、なんかスタイリッシュに見えてるのはそれはミケルセンたちのような俳優が演じてるからだからね、みんなはあまり酒に溺れないようにしようね。