「DUNE/デューン 砂の惑星」鑑賞

俺はデビッド・リンチ版「デューン」が好きである。批評家ばかりか監督自身、さらにはホドロフスキーまでがディスってる作品だが、冒頭のお姫様が物語を語り始めるところからトトのサントラから最後のクレジットまで、唯一無二の雰囲気を持ったSF映画だと思ってるし、アラン・スミシー名義(だっけな)の延長版とかも楽しんだクチである。リンチの映像をほかの監督の作品と比べるのも野暮だと思いつつも、今回の映画化はついリンチ版と頭のなかで比べつつ観てしまったよ。リンチ版はアトレイデス公爵の歯が抜かれるシーンとか、子供の自分にはずいぶんトラウマになりましたが、今回のはそこらへんがずいぶんソフトな表現になってましたね。

そして以下はネタバレ注意…と言いたいところだが原作をかなり忠実に映像化してるので、どこがネタバレになるのか判断が難しいところである。原作に比べて違うのはダンカン・アイダホの活躍シーンが多いとか、あるキャラが女性になってるといったところくらいか。原作を読んだのはかなり前とはいえ(石森章太郎の挿絵だったころ)、次はどうなるんだろうと思いながら観たというよりも、あーここはこう撮ったのね、と確認しながら観ていく感じだった。これ原作知らない人にはどう感じられたんだろうな。

ちょっと意外だったのは宇宙ギルドの連中が登場しないことで、星間旅行にあたってスパイスが必要なことは簡単に説明されてるだけだし、スパイスを摂取して外見が怪物のようになったギルドの宇宙飛行士は登場せず。おかげでスパイスの重要性がずいぶん説明不足になってたような。そもそもスパイスの別名である「メランジ」という言葉が出てきたっけか?説明不足といえばドクター・ユエのコンディショニングにも言及がなかったな。

キャスティングは豪華だし、ヴィルヌーヴの以前の作品にも出ていた人が多くて息が合ってたんじゃないですか。ダンカン・アイダホってシリーズを通じた傍観者というイメージがあるのでジェイソン・モモアだとクセがありすぎるかもしれないが。あとハンス・ジマーの音楽が、毎度ながら「派手にやっときゃいいだろ!」といった感じだったな。エキゾチックなチャントとかは興味深かったけど。

あまり宣伝でも断りがされてないけど、これはあくまでも物語の「パート1」でして、なんかこう話が弛んだところで次回に続く、になっていたな。しかし続編の製作はまだ決定してないそうなので、興行成績とか大丈夫なんですかね?アメリカではHBO MAXで同時配信されるとかで、劇場の興収がそっちにとられてしまうんじゃないだろうか。まあ世間的な評判を見るに続編作るのでしょうが。たぶん。