「The Thing About Pam」鑑賞

米NBCのミニシリーズ。日本ではあまり知られてないが、ここ数年アメリカでは実録犯罪もののポッドキャストが流行ってまして、火付け役になったのは2014年の「SERIAL」なのかなあ。なぜそんなジャンルが流行ってるのかは正直いってよくわからんのですが、実録犯罪ものが好きな国民性(ジョンベネちゃん殺人事件とか)とポッドキャスト文化がうまくマッチしたのかのう。「SERIAL」は確か、逮捕された人物が無罪なのか有罪なのか?というジャーナリズム的切り口が話題になったと記憶しているが、ただ単に「事件で何が起きたか」を説明するだけのポッドキャストなんかは、ウィキペディアを読めばその顛末が5分で分かったりするわけで、なぜ時間をかけてポッドキャストを聴くのかがよく理解できんのよな。

そしてこのミニシリーズも、NBCのニュース番組の特集を元にしたポッドキャストをさらに元にしたものだそうな。ポッドキャストが原作のテレビシリーズが作られるのも最近のトレンドで、こないだ言及した「The Dropout」もセラノスの事件を扱ったポッドキャストを原作にしたものだった。例えば小説やコミックが映像化された作品だったら、その小説やコミックの邦訳があればそれを読んで映像作品と比較することもできるだろうけど、ポッドキャストを翻訳することはできないだろうから、そういう原作にアクセスし難いのが日本人にとってはディスアドバンテージになるのかな、とよく考えるのです。

そんでこの作品は2011年にミズーリの町で起きた殺人事件を扱ったもので、主婦のベッツィー・ファリアが死体となって発見される。自らのガンを苦にした自殺かと思われたものの、多数の刺し傷があったことから他殺扱いとされ、彼女を発見した夫が容疑者として逮捕される。しかし実はベッツィーの友人である女性パム・ハップが裏で怪しいことをしていて…という話。

この事件も例によってウィキペディアに詳細が載ってるのでネタバレしてしまうと、パムはサイコパスの人のようで、ベッツィーだけでなく他の人物も殺害した容疑で逮捕され、現在は無期懲役で服役しているそうな。殺人にあたりずいぶん手の凝ったアリバイ作りを行い、ベッツィーの夫が誤って逮捕されたことなどからメディアの注目を集めたのだそうな。

実際の殺人事件を元にしたとはいえ、全体的なトーンはコメディ風味になっていて、小さな町における主婦の殺人事件(ナレーション付き)というのは20年遅れてきた「デスパレートな妻たち」といった感じで新鮮味はなし。ただ最大の特徴はパム役をレネー・ゼルウィガーが演じていることで、こないだアカデミー賞とった彼女がなぜファットスーツを着てこんな役を演じているのかは謎。でも彼女は「ジュディ」の真面目なヒロインなんかよりも、ちょっと頭のネジが外れたキャラクターを演じる方が似合ってると思うので、こういう役は嫌いではないですよ。あとは脇役で検察官役に「永遠の脇役」ジュディ・グリアーが出ているほか、弁護士役でジョシュ・デュアメルが出てくるみたい。

キャスティングからタイミングから、なんでこれ今つくったの?と考えてしまう作品だが、今後も実録犯罪もののポッドキャストの映像化は当分続くんじゃないだろうか。

https://www.youtube.com/watch?v=EI0hB7qhx_o