HBOの新シリーズ。
舞台は1970年代初期のカリフォルニア。女性の地位向上に力を入れる若きフェミニストのジョイスは、女性の自立を促す雑誌を作ろうと出版社に売り込みをかけるものの、女性蔑視の風潮が強い出版業会の男性陣には全く相手にされなかった。しかしポルノ雑誌の怪しい出版者であるダグは彼女の意見に耳を貸し、女性向けのエロ雑誌が受けると判断してジョイスに企画を持ちかける。ウーマンリブとポルノは相反するものだと反発するジョイスだが、自分のメッセージを伝えるにはまず相手が受け入れやすい媒体に包み込むものだ、と説得されて女性向けのヌード雑誌「MINX」を創刊するのだった…というあらすじ。
ポルノを通じた女性の権利向上、というテーマは同じくHBOの「The Duce」に似ているがこっちはもっとコメディ寄り。HBOでは70年代末のLAレイカーズを扱った「Winning Time」も始まったばかりで、70年代のセットや衣装に金をかけられる余裕があるんでしょうなあ(「Winning」は全編フィルム撮りでかなり映像に凝っている)。
HBO作品なので例によっておっぱいもおちんちんも丸出しで、特に後者は小さいのから太いのからゲップが出るくらい映し出されてソーセージパーティー状態。最近は模造品を使った撮影もされているようだけど、この作品では本物にこだわった、とNYタイムズの記事で関係者が申してました。
実話をベースにした作品ではないが、バート・レイノルズのヌードを掲載した「コスモポリタン」誌が飛ぶように売れているのにジョイスが影響されるなど、当時の風潮はいろいろ反映されているみたい。予告編から察するに、今後は保守的な女性知識人との闘いが描かれていくのかな。
ジョイス役を演じるのはイギリス人のオフィリア・ラヴィボンド。ダグ役にジェイク・ジョンソン。ジョンソンは「スパイダーバース」のおかげで、あの声を聴くとなんかすごい安心感を抱くようになったよな。クリエーターのエレン・ラパポートは「でっかくなっちゃった赤い子犬 僕はクリフォード」の脚本家で、第1話の監督のレイチェル・リー・ゴールデンバーグはアサイラム社でB級映画を撮ってたりと、ちょっと意外な経歴を持つ人たちがスタッフに揃っている。プロデューサーにはポール・フェイグもいて、登場人物のシックなファッションには彼が影響してるのかな。
ジョイスの理想論がダグの現実路線に修正される、という展開がちょっとパターン化しているものの、雑誌作りに女性が奮闘するという話は面白いし、1話40分弱という比較的短い尺にシャープなセリフが詰め込まれていて楽しめる作品。おすすめ。