「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」鑑賞

感想をざっと。以下はネタバレ注意。

  • 前作の主役を務めた役者が他界してしまったという、そもそも続編を作れるの?という状況から続編を作ってしまったという点では特筆すべき作品。個人的にはエンターテイメントたるものザ・ショウ・マスト・ゴー・オンだと考えているので、ティチャラ役がリキャストされても全く気にはならないのだが、建前上そうもいかなかったのでしょうね。ティチャラの死はプロットの要になっており、それは敬意なのか搾取なのか。しかし以前からマーベル映画に出ていた役者などはどんどん年をとっていくわけで、いずれは主要なキャストの交代も真剣に検討しなければならない時期が来ると思うのだがどうするんだろうなあ。
  • 大まかには君主がいなくなった後の国の護りについての物語で、そこにネイモア率いるタロカン王国が攻めてくるわけですが、そもそも彼らの持つヴィヴラニウムを狙ってるのは欧米諸国なわけで、ワカンダとタロカンが戦わざるを得なくなるまでの話の持っていきかたがちょっと弱かったような。
  • ネイモアの脚色は良かったんじゃないですか。コミックではマーベル最古参のキャラクターとはいえ「コスチュームが海水パンツ」「アンチヒーローというよりも単に横柄な奴」「あまり特徴的な能力を持っていない」ということでいまいち主要キャラになれてなかった印象があったのです。それが今回は中南米風のオリジンが加えられ、コミックではカッコ悪かった足首の翼も大活躍でいいキャラになってたと思う。
  • 部下のアトゥマやナモーラの肌の色が変わるのって説明あったっけ?「アクアマン」のアトランティスとの差別化のためかもしれないが、タロカン王国って暗すぎやしないか。3Dメガネかけての鑑賞はキツいのでは。
  • 新しい出演者としては、リチャード・シフがクレジット上で「特別出演者」みたいな扱いを受けていたのは何だったんだろう?5分くらいしか出てなかったと思うが。「I May Destroy You」などで高い評価を得たミカエラ・コールが出演するということで、むしろ彼女が主役級の扱いを受けるのかなと勝手に考えてたら意外と小さい役だった。あとAIの声役のトレバー・ノアが今回はちゃんとクレジットされてましたね。
  • これはマーベルのフェイズ4映画全般に言えることだが、「エンドゲーム」を未だに引きずっているというか、フランチャイズの人気に乗って滑空飛行しているというか、じゃあ次はどこに話を持っていきたいの?というのがよく分からない。新しいキャラクターも登場させて彼らのバックグラウンドも丁寧に説明しているものの、TVシリーズも含めたフランチャイズの拡大のための種まきという印象が拭えず。アイアンハートとか、この作品で出す必要あったか?おかげで話が冗長になって上映時間が長くなる一方で盛り上がりに欠ける作品が続いているような。いちおうこれがフェイズ4の最後の作品のようなので、今後の大イベント(アベンジャーズ映画?)に向けて全体的な引き締めが行われることに期待します。