本国ではそろそろ最終話が出る傑作クライム・コミック「100 Bullets」のペーパーバック第12巻。
シリーズの84話から88話を収録したもので、最終話の第100話に向けたクライマックスを前にした、今までのストーリーラインからの橋渡しをするようなエピソードが並べられている。具体的には過去に出て来た登場人物がさまざまな形で「清算」されていく様子を扱った内容の話が多く、1人だけ重要なキャラが初登場するほかは大きな展開もなく、今までの単行本に比べると地味な印象があるのは否めない。
このようにブライアン・アザレロのストーリーが地味な一方でエデュアルド・リッソによるアートワークは相変わらず素晴らしく、金持ちの豪邸から場末のモーテル、コロラドの雪山からニュージャージーの裏通りまで、あらゆる場所の雰囲気を的確にとらえ、多くの登場人物の性格を深く描き出すことに成功している。ただ眺めているだけでも楽しめるくらいの本。
あとは残りの12話で、いろいろあったストーリーをどこまできちんと完結させられるかに期待。