ピーター・ボグダノヴィッチの監督デビュー作。実はボグダノヴィッチの作品を観るのってこれが初めて。ロジャー・コーマン大先生の指揮のもと、ボリス・カーロフに2〜3日働いてもらい、それにカーロフ主演の「古城の亡霊」のストック映像を組み合わせて映画を1本つくれという実にB級映画的なコンセプトで製作された映画なんだけれども、独自のスタイルを持った素晴らしい出来の作品になっている。低予算映画のお手本みたいな作品。
カーロフ演じる老いたホラー俳優と、家族を射殺した後にライフルで無差別殺人に繰り出す青年の話がうまい具合にセグエしながら描かれ、最後に両者のストーリーが合わさり「本当の恐怖はスクリーン上ではなく現実世界にあった」というラストに持っていくまでの流れが巧みにできている。脚本の手直しをサミュエル・フラーが行ったらしいが、青年のバックグラウンドなどについては殆ど何も説明されてないのにも関わらず、きちんとキャラクターとして成り立っているところも巧い。
ボグダノヴィッチって映画インテリのイメージがあって、今まで何となく敬遠してたんだけど、他の作品も観てみようかな。