「スーパーマン・リターンズ」鑑賞

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「スーパーマン・リターンズ」をやっと観る。今年ダントツで観たかった映画なんだけど、やっぱり1800円も払って劇場で観るというのが嫌だったので、米アマゾンでDVDを購入した次第です。でも日本でも今月DVDが発売されるんだってね。送料入れてもアメリカ版のほうが安いのがよく分からんけど。

全体的には俺の過剰なる期待を満たすほどには至ってないけど、それでも良く出来た作品といった感じ。一番の特徴としては、「バットマン・ビギンズ」がバットマンの歴史を最初から語り直していたのに対し、こちらはオープニング・シーケンスからも分かるように70〜80年代の「スーパーマン」映画の続編という設定になっているわけで、過去の作品へのオマージュがちょっと強すぎるかなあとも思う。良くも悪くも登場人物の背景説明が殆どされてないので、スーパーマンのキャラクターに詳しくない人は少なくとも「スーパーマン2」(レスター版であれ、ドナー版であれ)は前もって観といたほうがいいかもしれない。このように初心者に優しい作りにはなってない反面、シャトル事故からロイスを救出するところとか、「アクション・コミックス#1」の表紙そっくりのシーンが登場するなど、マニア受けしそうなところはいろいろあるんだよね。

あと「Xメン」もそうだったけど、ブライアン・シンガーはアクションよりもドラマ部分を強調するきらいがあって、これは「Xメン」だと実にうまく役立ってたんだけど、今回はちょっとメロドラマ的なところが多いかな。メロドラマといえば、スーパーマンを面白くしていた要素の1つに「クラーク → ロイス → スーパーマン」といった三角関係があって、実はクラークがスーパーマンであるというスーパーヒーローものならではのヒネリが非常に面白かったんだが、今回はロイスの夫というよく分かんないキャラクターが出てきて四角関係になってしまい、ロイスに恋慕するクラークというアングルが希薄なものになってしまったのが残念。ちなみにコミックスではとうの昔にクラークとロイスは結婚してるんだけど、あれはあれでまた違った人間関係があって面白かったりする。

キャスティングに関していえば、ブランドン・ラウスは合格点。クリストファー・リーブには及ばないとはいえ、クラークもスーパーマンもうまく演じている。少し無表情すぎるところもあるかな。ケイト・ボズワースは可愛いんだけど、ロイスのような女性を演じるには線が細すぎる感じ。熱血レポーターという意味ではマーゴ・キダーやテリ・ハッチャーのほうが似合ってた。そしてレックス・ルーサー役のケヴィン・スペイシー。彼は好きな役者なんだけど、いつもなら彼の魅力であるややオーバーかつコメディックな演技が今回は災いして、ちょっと滑稽な悪役になってしまったかな。全体的にジーン・ハックマンとダブってるところがあるんだけど、個人的にはルーサーってもっと冷徹なキャラクターだと思うんだけどね。まあこれに関しては演出側に咎があるのかもしれない。

なんか不満をダラダラと書いてるようになってしまったけど、あくまでも俺の期待が大きすぎただけで(予告編の出来が良すぎるというのもある)キャラクターの魅力をきちんと理解している、十分に楽しめる作品ではあったことは間違いない。前にケヴィン・スミスが書いたという脚本を読んだことがあるけど、あれはプロデューサーの意向によりスーパーマンが飛ぶシーンがないというシロモノで、あれが映画化されてたらこの「スーパーマン・リターンズ」よりもずっと劣ったものになってたんじゃないの。とりあえず続編の製作が決定したらしいので、これを凌ぐ作品になることを期待したいところです。

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