「WONDER WOMAN」鑑賞

DCコミックスのアニメムービー最新作。ワンダーウーマンって個人的にあまり思い入れのないキャラクターなんだけど、この作品は予想以上に面白かった。

基本的には1つの大きなオリジン・ストーリーになっていて、女神ヒッポリタの統治のもと女性だけのアマゾン族が暮らす平和な島に、ある日アメリカ軍のパイロットのスティーブ・トレヴォーが乗った戦闘機が不時着。彼を本国に帰すためにヒッポリタの娘ダイアナがワンダー・ウーマンとなって一緒にアメリカに渡るものの、男性が支配する世界に彼女はショックを受ける。それと同時期に、島に幽閉されていた戦争の神アレスが脱出に成功し、世界に戦渦をもたらそうとしていた…というような内容。

当然ながら戦闘シーンも多分に展開され、おかげでこの手のアニメには珍しくPG-13のレーティングがついているものの、単なるアクション作品にはならず、フェミニスト的な要素が盛り込まれているのがポイント。女性アメコミ作家としていまいちばん勢いのあるゲイル・シモーンが共同執筆した脚本においては、男性は暴力が好きでトラブルを起こしてばかりの頼りない存在になっており、われわれ男性にとっては耳の痛いセリフもでてくるものの決して説教的なストーリーにはなっていない。ダイアナは繊細でこそあるもののか弱い女性としては描かれておらず、トレヴォーが彼女を酔わせようとして逆に自分が酔いつぶれるあたりはハリウッドのステレオタイプの逆をうまく突いているようでニヤリとさせられる。

アニメーションの出来とストーリーに多少荒削りなところがあるものの、女性スーパーヒーローをうまく描いた佳作かと。ただしワンダーウーマンの最大の矛盾点である「平和の使者なのに戦闘ばかりしている」という点は言及されるものの答えは出されてませんが。あと難があるとしたらアルフレッド・モリーナによるアレスの声にドスがきいてなくて軽々しく感じられることと、スティーブ・トレヴォーのデザインが「イーオン・フラックス」(もちろんアニメ版だよ)のキモ男トレヴァー・グッドチャイルドに似ているところかな。

ちなみにDCはこのあと「グリーン・ランタン」のアニメムービーを製作し、そのあとは「スーパーマン/バットマン」を作る予定なんだとか。ずっと前から製作が発表されてる「THE NEW TEEN TITANS: THE JUDAS CONTRACT」の話はどこに行ってしまったんだろう…。

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