イギリスの老舗コミック雑誌「2000AD」で若き日のアラン・ムーアが執筆していたアンソロジー作品「Future Shocks」が、iPhone向けののコミックとなって販売されていた。コミックのコマが単にバラされて並べられているといった感じで、あまり読み易さはないものの、ブレンダン・マッカーシーとのコラボ作品なんていうなかなかレアなものもあったりする。アラン・ムーアって自分の作品の他メディアへの移植を極端に嫌う人だけど、ドケチで有名な「2000AD」のことだからムーアに無断で販売してるんだろうな。そうなるとグラント・モリソンとの著作権論議により絶版扱いになっている傑作「Zenith」も、いずれこのフォーマットで日の目を見ることになったりして。
最近は日本でもiPhone向けのマンガ販売が盛んだし、作家が作品を自分のウェブサイトで販売する試みを始めていたりしていて、それらが実際に儲かっているかどうかは不明なんだけど、このようなウェブを介した作家へのマイクロペイメントというのは「Understanding Comics」のスコット・マクラウドが何年も前に提唱していたことで、当時はお世辞にも成功しているとは言い難かったが、やっとそれがビジネスモデルとして成り立つ環境ができつつあるのかな。
あとこうした新メディアに関するトレンドについて何となく思うのが、非常にユーザー主体のものだということ。いくら大会社や広告代理店が金をかけて宣伝しようとも流行らないものは流行らないが、一方で最初は無名のサービスでも草の根的に広まっていくものもあるし。よくシンクタンクの連中とかが偉そうに今後のメディアの展望について講演してたりするけど、結局のところトレンドを左右するのはあんたらではなく、ニキビ面のティーンやビール飲んでるオッサンたちなのではないかと。