「マッドメン」や「ブレイキング・バッド」を世に出して今をときめくAMCによる、60年代のカルトTVシリーズ「プリズナーNo.6」のリメイク。
砂漠の真ん中で目を覚ました男性。彼は何者かに追われていた老人が息を引き取るのを見届けたのち、砂漠のなかにある町へと辿り着く。その町はただ「ヴィレッジ」と呼ばれており、すべての住民は名前の代わりに数字で呼ばれていた。そこで「6(シックス)」と呼ばれるようになった男性はヴィレッジからの脱出を試みて車を走らせるものの、彼を迎えたのはあてもなく続く砂漠だった。再びヴィレッジに戻ってきたシックスだが、どうにかして脱出することを画策する。そんな彼の姿を監視するのは、ナンバー2と呼ばれる謎の老人だった…というのが大まかなプロット。第一話を観た限りではオリジナルのプロットとさほど大きな違いはないみたい。
ただオリジナルはスパイものとかSFものの範疇を超えて哲学的なレベルにまで達していたような奇跡的な作品であったわけで、あれをどうリメイクしたってあの域に達するのは不可能なんじゃないかと。よってさほど面白い内容ではなかったし、あちらの批評家にも不評なようだ。
気になった点をあげると、まずヴィレッジがデカい。「村」ではなく「町」の大きさになっているため、オリジナルにあった閉塞感がなくなっている。それとナンバー6を演じるジム・カヴィーゼルが、ごく普通の男性といった雰囲気しか出していない。オリジナルのパトリック・マクグーハンが演じたナンバー6はもっと裏があるというか、「政府のエージェントとして怪しいことををしてたんじゃないのか?」と思わせるような存在感が強烈だったんだけどね。今回のナンバー6も彼がヴィレッジに来るまでの経歴はそれなりに謎めいたものにされているものの、以前の生活の姿をフラッシュバックで見せているのは余計だろう。
そんなナンバー6を苦しめるナンバー2を演じるのはガンダルフことイアン・マッケランで、相変わらず素晴らしい演技を見せてくれるものの、オリジナルだとナンバー2は何人も入れ替わりで登場する役回りで、じゃあその上にいるナンバー1っていったい何者よ、というのが大きな謎になってたんだけど、今回はマッケランの存在感が圧倒的すぎてナンバー1の存在が薄れてしまっている。というかナンバー1については言及もされなかったような。
オールドファンには嬉しいローヴァー(脱走者を捕獲する白い風船)もいちおう出てくるし、今後の展開はどうなるんだろうという気にはなる作品ではあるものの、やはりオリジナルには遠く及ばない出来であった。