「LUTHER」鑑賞

日本では殆ど知られてないけどイドリス・エルバっていうイギリス出身の俳優がおりまして、「ザ・ワイヤー」で麻薬組織の知的でクールなナンバー2であるストリンガー・ベルというキャラクターを演じた事であのドラマのファンのあいだでは今でも高い人気を誇る俳優なんだが、「ザ・ワイヤー」以降は「オブセッション 歪んだ愛の果て」とか「THE LOSERS」みたいな演技力をあまり必要としないような映画にばかり出ていてファンを嘆かせている人でもあるのですよ。そんな彼がイギリスに戻って主演したのがこの「LUTHER」というミニ・シリーズ。

ロンドン警察の刑事であるジョン・ルーサーは敏腕だが、自分なりの捜査を勝手に進めることや、精神的に不安定な面があって上司の悩みのタネだった。彼は追っていた連続殺人犯を昏睡状態にさせたことで休職扱いにされ、妻とも別居してしまう。そんな彼が7ヶ月ぶりに職場に戻って手がけることになったのが、一軒家における夫婦の射殺事件だった。彼は第一発見者である夫婦の娘が犯人であることを見抜くものの、頭脳明晰なサイコさんである娘は殺人の手がかりをすべて抹消していた。さらにこれによって娘はルーサーを次の標的にすることに決め、娘とルーサーの頭脳戦が始まるのだった…というようなストーリー。

BBCの猟期殺人サスペンスという点では10年くらい前に観た「MESSIAH」というシリーズに雰囲気が似ているかな。刑事が犯人の恨みをかって、奥さんが狙われる展開なんかも同じ。そういう意味では既存の刑事ドラマに比べてあまり目新しいところはなし。イギリス訛りの英語を話して情緒が不安定なルーサーはストリンガー・ベルと正反対のキャラクターで、それなりにラフな魅力とかはあるんだけど、妻の不倫を知ってドアを突然破壊するようなキャラに感情移入はしづらいかも。むしろ殺人犯を演じるルース・ウィルソンのサイコっぷりが光っていて、そちらを2話以降も観てみたいと思わせる好演だった。

というわけでストリンガー・ベルの再来を期待してると肩すかしをくらうかもしれないが、イドリス・エルバは今後もいろいろ映画に出るみたいなので、いずれ彼の演技力をフルにいかした作品が作られることをねがいましょう。

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