ABCの名物刑事ドラマ「NYPDブルー」が昨夜、放送開始から12年目にして最終回を迎えた。視聴率は全盛期の頃に比べてずいぶん下がったとはいえ、ジミー・スミッツが進行役の特番が放送されたことなどからも、まだ人気の高い番組であったことががうかがえる。1話で使用できる「汚い言葉」が37回までに制限されてたとか、プロデューサーのデビッド・ミルチはアル中に悩まされながらも本番中に台詞をバンバン書き換えてた、なんて逸話が紹介されてたのは面白かった。
地上波ドラマにいわゆる「R指定」的な内容(デニス・フランツのケツが見えることで悪名高い)を持ち込んだことで知られる番組だが、ケーブル局のもっと過激な番組を見慣れてしまうと、現在の基準ではおとなしいくらいの内容に感じられてしまう。もう一つの特徴だった「手ブレするカメラ」も今じゃ多くの番組がやってるし。それなりに衝撃的な内容もある反面、かなり話がパターン化しててメロドラマ色の強い番組だったが、むしろこうした要素のおかげで人気が長続きしたのかもしれない。同じく刑事ドラマの長寿番組「ロー&オーダー」がメロドラマ性を徹底的に排除して、事件の解明に焦点を当てているのとは非常に対照的だ。
個人的にはジミー・スミッツが出演してた頃のシーズンまでしか見たことがなかったが、最終回を見た限りではあまり話のパターンは変わってなかった。とりあえず冒頭に事件が起きて、途中にデニス・フランツ演じるシポウィッツ刑事の苦悩する姿を見せられ、とりあえず事件が解決する、といった感じ。いや、褒めてるつもりなんですけどね。このパターンに慣れてくると結構面白い番組になってくるんです。刑事ドラマというよりも15分署を舞台にしたファミリー・ドラマとして見た方が楽しめるかもしれない。人気のテコ入れのためか、以前に比べて美男美女の刑事が増えてたような気がするが。あの哀愁に満ちたテーマ曲が大好きだったので、もうテレビで聞けなくなるのは残念なことである。