「DO NO HARM」鑑賞


「ジキルとハイド」をベースにしたNBCの新作シリーズ。

ジェイソン・コールは有能な神経外科医だったが、彼は暗い秘密を抱えていた。実は彼は二重人格者であり、毎晩8時25分になると性格が一変し、イアン・プライスという凶暴な人格にとって代わられてしまうのだった。ここ数年は試薬を投与することでイアンを抑え込んでいたジェイソンだったが、やがて薬が効かなくなってイアンが再び出現するようになり、彼はジェイソンの生活をぶち壊そうと画策するのだった…というプロット。

コンセプトは分かるんだけど、何をしたいのかがよく分からん番組。医療ドラマに猟奇サスペンスっぽい味付けをしたつもりなんだろうけど、その2つがぜんぜん噛み合っていないというか。そもそもこういうヤバい秘密を抱えている主人公が医者をしているというのが現実味ゼロなわけで、イアンがジェイソンを装って手術をメチャクチャにしようとする姿などは見ていてかなり不快。また患者を虐待していた夫(しかも警官)をボコボコにして虐待を止めさせる展開があるんだけど、ふつう警官にそんなことしたら発端は何であれ裁判沙汰になるよなあ。主人公は人里離れた山奥にでも引きこもるべきで、2つの人格の攻防を毎週観たいという気持ちにはならないのであります。

ジェイソンがイアンに「変身」するシーンは眼のアップになったりして「超人ハルク」を彷彿とさせるのですが、あっちはハルクの登場が大きな見せ場だったし、流れ者のペーソスなどもあったけど、この番組は主人公に共感できるところが皆無。主人公を演じるスティーヴン・パスクールって「シックス・フィート・アンダー」などに出てた人らしい。他にも「フリークス学園」のサム・レヴィンとかナベQことジョン・キャロル・リンチなどが出演してるが、みんなもっといい番組に出れるよなあ。

2重人格を扱った番組なら、速攻で打ち切られた「My Own Worst Enemy」のほうがまだ面白かったんじゃないの、と思わせるような作品。