強盗による親の死から生まれた本当のヒーローは、バットマンではなくスーパーマンだった。
時は1932年、リトアニアから移民してきたユダヤ人であるミッチェル・シーゲルの経営するクリーブランドの古着屋に3人の強盗が押し入った。そのとき銃声が鳴り響いたという証言もあるが真相は確かではない。ただ確かなのは、強盗に入られた際にミッチェルは心臓発作を起こし、その場で亡くなったということだけだった。3人の強盗は捕まらなかった。そしてこのミッチェルの息子こそが、
銃弾をはじき返す強靭な肉体を持ち、世の中の悪を正す世界初のスーパーヒーロー、スーパーマンを生み出すジェリー・シーゲルだったのだ…。
という話がUSA TODAYのサイトに載っていて非常に面白い。スーパーマンの誕生の裏には、シーゲルが生前に決して語らなかったとされる父親の不慮の死があるのではないかという説が最近は注目されていて、ブラッド・メルツァーの最新の小説のテーマにもなっているらしい。ユダヤ系のサエない少年だったシーゲルがジョー・シュスターと組んでスーパーマンを生み出したという話は、いろいろ夢があって好きなんだよな。マイケル・シェイボンの「カヴァリエ&クレイの驚くべき冒険」も明らかにこの2人をモデルにしていたし。それに比べてボブ・ケインの評価は年々下がっているような気がする。
世界一有名なスーパーヒーローを生み出した2人だったが、スーパーマンの権利を安価でDCコミックスに売り渡したばかりにの印税を受け取ることができず極貧の生活を強いられていた。そして70年代になってやっと、ニール・アダムズなどの活動により印税とスーパーマンの原作者としての認知を与えられるようになったのは有名な話だが、それを祝うためにジェリー・ロビンソンが自分のアパートで開いたというパーティーの面子が凄い:カート・ヴォネガットにウィル・アイズナー、そしてなぜかイーライ・ウォラック!こんなパーティーに出れたら俺は死んでもいいや。