Eccleston quits Doctor Who role

放送前に映像がネット上に流出したにも関わらず、新「ドクター・フー」第1エピソードの視聴率はずいぶん好調だったらしい(やはり流出は宣伝目的だったのか?)。

おかげでBBCは早くも第2シーズンの製作にゴーサインを出したらしいが、主演のクリストファー・エクレストンが降板することが決定したようだ。理由は他のプロジェクトに関わったことと、ドクターのイメージに固定されることを懸念したためらしいが、エクレストンなんていろんな劇場作品に出演してるわけだし、ドクターの役が足かせになることはないと思うんだが。

後任の役者はデビッド・テナントとかエディー・イザードとかが噂されているらしい。イザードのドクターはちょっと見てみたい気がする。しかしこんなにすぐドクターが代わっていたら、彼の命がいくつあっても足りないだろうに。

INVASION IOWA

「スタートレック」のカーク船長役で有名なウィリアム・シャトナー主演(?)のリアリティー番組「INVASION IOWA」を観る。リアリティー番組というかドキュメンタリーというか…。この番組のコンセプトはシャトナー率いる撮影隊が、カーク船長の出身地とされるアイオワ州のリバーサイドという田舎町にやってきて、低予算のSFアクション映画を撮影するために町の住民の力を借りるというもの。しかしこの話にはウラがあって、実は映画撮影というのはまったくのウソで撮影スタッフは全員が役者であり、彼らのとる奇妙な騒動につきあわされる住民たちの滑稽な姿を紹介する…というのが真のコンセプトだったりする。つまり野呂圭介がいつまでも出てこない「どっきりカメラ」のような番組なのだ。

コンセプトからしてこんなだから、番組の内容自体もかなりマヌケというか、正直なところ見てて疲れるようなものになっている。ひたすら暴走しようとするシャトナーやセリフをろくに覚えられないヒロイン役のおねーちゃんに町の住人は圧倒されるばかりなのだけど、その非常に反応がゆったりしているというか、何か気の抜けた感じなのでテンションが緩みっぱなしで、観てる側の力もどんどん抜けてきてしまう。まあビールでも飲みながらダラダラ観るにはいい番組なんじゃないでしょうか。プロレスやアクション番組の再放送ばっかりやってるスパイクTVが放送局だし。

近年は「自分自身のパロディを自分で演じる」という技巧を会得したおかげで、CDがヒットしたりゴールデン・グローブ賞を獲得したりしてるシャトナーだが、70歳を超えても跳ね回ってるそのバイタリティには恐れ入る。もはやカーク船長の面影がどこにも残ってないのが悲しいが。

BSG DVDコメンタリー

「BATTLESTAR GALACTICA」のパイロット版ミニ・シリーズのDVDをコメンタリー付きでダラダラ観る。製作総指揮が「スター・トレック」のライターであったロナルド・D・ムーアが務めていることは以前にも書いたが、「STは好きなんだけれども…」と断っておきながら、STで出来なかったこと(役者のアドリブとか)を意図的にこの作品に取り入れた、と語っているのが面白い。
作中で最強の兵器が光子魚雷などのハイテクなものではなく「核ミサイル」であるのもそのためらしい。ある意味でBSGはSTの対局に存在するシリーズであったわけか。

主演のエドワード・ジェームス・オルモスが、終盤間際にあるソバを食うシーンを真っ先にやりたがったというコメントには笑った。

アメリカ版「THE OFFICE」

イギリスで大ヒットし、アメリカでもカルト的な人気を得てゴールデン・グローブまで獲得してしまった大傑作コメディ「THE OFFICE」のアメリカ版リメイクが放送されたので鑑賞する。

オリジナルの「THE OFFICE」の何がスゴかったかというと、オフィスという小世界の平凡な日常を描きながらも些細なネタで爆笑させるという、現実とコメディの非常にデリケートな境界を渡ることに成功したことだろう。主人公が笑えないジョークを出した後の「気まずさ」を笑うというアクロバット的な笑いの新境地を開いただけでなく、俺のような日本のサラリーマンにも仕事場での「イタさ」を追体験させてくれるほどの鋭い現実描写がとにかく見事だったわけだ。主人公のデビッド・ブレントみたいに「政治的に正しくない」発言を連発する上司なんて、かつての職場に腐るほどいましたって。
そして笑いに加えて、サラリーマンなら皆が経験するであろう解雇に対する不安感やオフィスでの恋愛なども描き、あの大感動の最終回(本当に泣きましたよ)をもって締めくくることができた、とにかく奇跡のようなシリーズだったわけである。

そんな傑作をリメイクして、オリジナルに勝るとも劣らない作品を作るのは決して容易なことではないだろう。そして今回の第1エピソードを観る限り、残念ながらリメイクには成功してないようだ。話の内容はオリジナルの第1話とほぼ同じで、いくつかのジョーク(特にイギリス人じゃないと分からないようなやつ)が変更されている程度だったが、逆に話の流れやセリフがほとんど同じであるために「見覚えがあるんだけど何かが違う世界」を観ているような違和感を感じてしまう。前に「シンプソンズ」でバートを騙すためにシンプソン一家を役者が演じるというネタがあったけど、まさしく本作でもデビッドやティム、ドーンに相応するキャラクターを演じる役者たちが「ニセモノ」に見えてしまうのだ。オリジナルを観てない人には関係ない話だろうが。

主人公を演じるのはスティーブ・キャレル。前に「デイリーショー」に出てた人らしいが、ちょっと奇声を上げすぎというか、何かオリジナルのリッキー・ジャーヴェイスに比べて役を作ってるような感じがするのがいただけない。ティムやドーン役の役者たちもオリジナルには適わないかな。ガース役の人がイヤミなオタクといった雰囲気になってたのだけは良かったと思う。オリジナルはちょっとハンサムすぎる感があったので。

そしてストーリーで気になったことを2つ。ティムが彼女に気があることを承知しているとドーンが語るシーンがあるのだが、オリジナルだと何も知らないドーンの気を引こうとするティムの一途な行動が面白かったわけで、彼の好意を知りながらも婚約者といちゃつくドーンというのは単なるイヤな女ではないかと。あとラストはティムがデビッドにイタズラをしかけるシーンで終わるのだが、オリジナルでは彼とデビッドの間には奇妙な師弟関係があったし、とんでもない上司であってもデビッドを露骨にバカにするような部下はいなかったはずである。迷惑な上司に反抗せず、ひたすら耐える部下の描写が魅力だったわけで。どちらも些細なことだろうけど、オリジナルの完璧さに比べるとどうしても気になってしまう。

オリジナルの原案者であるリッキー・ジャーヴェイスとスティーブン・マーチャントも製作にある程度関わってるようだし、これからの発展に期待したい気はするのだけど、残念ながら来週からは「HOUSE」の裏番組になってしまうので俺はもう観ないだろう。さらばアメリカ版「THE OFFICE」。

Doctor Who leak suspect is sacked

ちょっと前に「ネット上への流出は故意のものではないか?」と書いた「ドクター・フー」の件だが、BBCは犯人を突き止めて解雇したようだ。BBCの内部の者の仕業かと思ったら、なんとここカナダの下請け業者の人間だったらしい。BBCとCBC(カナダの放送局)のつながりが強いことを考えると必ずしも意外なことではないが、業界人としては最低の行為だよなあ。おかげで流出防止への締め付けがさらに厳しくなって、周囲の人間が仕事をしにくくなるだけだろうに。俺もダウンロードした身なので偉そうなことは言えないが。

でも客観的に見ると、この一連の騒動がBBCおよび「ドクター・フー」にとって莫大な宣伝になったことは明らかなので、今後はこれを真似して本当に宣伝に使う放送局が出てくるかもしれない。もしかしたらこの解雇も宣伝の一環か?