「AMAZING SCREW-ON HEAD」

「ヘルボーイ」の原作者として日本でも有名なマイク・ミニョーラ(ミグノラ?)の単発コミック「AMAZING SCREW-ON HEAD」のアニメ化が米サイファイ・チャンネルで進んでるらしく、そのパイロット版がホームページ上で観れるようになっていた。 話の内容はリンカーン大統領時代のアメリカを舞台に、ネジ式の頭がいろんな形のボディに装着できるという秘密エージェント「スクリューオン・ヘッド」の活躍を描いたもので、太古の魔物やゾンビ、ガスマスクをつけた兵士といったミニョーラ作品でおなじみのキャラクターたちが、コミックそのままのタッチで動き回るものだから観ててえらく楽しい。脚本もよくできていて、ジョークのタイミングなんかも抜群で非常によろしい。

まだシリーズ化が正式に決まったわけではなく、このパイロットの評価によって判断されるらしいが、こんな面白い作品シリーズ化しなけりゃ損でしょ。声優にポール・ジアマッティやデビッド・ハイド・ピアースといった一流の役者を使ってるので、製作コストが変に高くならないかという点だけ少し心配だけど。

とにかくタダだから1回観てみ。

著作権はいろいろあるのですよ

下の「ローマの休日はパブリックドメイン」という判決をうけて、「じゃあパラマウントの正規版をリップして販売すれば大儲けじゃん」なんて考えてる人がどうもいるみたいだけど、著作権はそんなに単純なものじゃないのでありますよ。 映画そのものが著作権フリーだとしても、字幕の翻訳者や吹替えの声優さんたちには別途の権利があって、それぞれにロイヤリティが発生するはずだし、日本映画だったとしてもDVDのメニュー作りやチャプター分けにはそれなりの権利が付随する(はず)なので、そういうのをリップして売るのは立派な犯罪行為なのです。

一番無難なのはarchive.orgあたりにある映画をダウンロードしてDVDに焼いて販売することだろうけど、字幕付けはどうすんのとか、そもそも利益を出せるのかといった問題があると思うんだけどね。世の中そう簡単に金儲けできるもんじゃありませんぜ。

廉価DVD:著作権の保護期間満了と販売認める

まあDVDの適正価格っていくらよ、という問題は難しいものがあるんだろうけど、消費者の意見としては「安ければ安いほどいい」というのが大半なんじゃないのかな。そもそもパブリック・ドメインって「何十年も著作権を保護して稼がせてあげたんだから、そろそろ幅広く提供できるようにして、人類の文化のために貢献させましょうよ」というような大義を持ってるものだと思うんだけど、どうなんだろう。今回の判決における「1953年12月31日」と「1954年1月1日」は違うよ、というのも当たり前といえば当たり前の意見だし。 んで唯一バカみたいなのが、ここで引用されてる「キネ旬」の人の「安価なDVDが出回ることは、映画界にとって歓迎すべき決定ではない」とか「正規版の側には、映像のクオリティーを高めたり、メーキングや関係者のインタビューなど付加価値を高め、より魅力的商品を作る努力をしてほしい」といった、あまりにも短絡的な意見。業界人ならもうちょっと深くつっこもうよ。そもそもキネ旬って、老舗という立場にアグラをかいて、卒倒しそうな駄文を載せてる雑誌という印象しか無いんだけど、あんたらこそ映画を普及させる努力をなんかしてんの?

「ドクター・フー」シーズン最終話


前後編にわたるエピソードだったわけだが、いや実に最高。このシーズンに通じる謎だった秘密組織「トーチウッド」の全貌が明らかにされただけでなく、クライマックスはサイバーメン対ダーレクの戦いという、まるで盆と正月が一緒にやってきたかのような出血大サービスを見せつけてくれたのです。ミッキー君の意外な帰還もカッコ良かったし、何よりも<白テキスト>ドブスのローズが番組を降板する</白テキスト>ことが自分には嬉しかったなあ。 俺は前ドクターを演じたクリストファー・エクレストンのファンだけど、ドクター役に限って言えばデビッド・テナントが実にハマっていて実に素晴らしかった。コメディ・タッチでのらくらしてるかと思えば、次の瞬間にはシリアスな演技をしたりと、ドクターのつかみどころのない性格をコロコロ変わる表情によってうまく表現していたと思う。

それにストーリーも前シーズンに比べて手慣れた感じがあって、奥の深いものばかりだったかな。「エンタープライズ」や「ギャラクティカ」みたいに既存のストーリー展開やキャラクター設定によってガチガチに束縛されず、かといって「アウター・リミッツ」みたいに散漫な内容にもならないまま、遠い未来の惑星や平行世界など、さまざまな「もしもの世界」のセンス・オブ・ワンダーを経験させてくれるという意味では、最近では本当に希有になってしまった上質のSFドラマだといえよう。

ラストのオチはさすがにちょっと場違いだけど、まあ次のシーズンにつながるものだからね。次にドクターを見られるのはクリスマスだということなので、半年近くも新しいエピソードが見られないのは残念だけど、そろそろスピンオフ・シリーズ「トーチウッド」が開始されるはずだから、とりあえずそちらに期待しよう。

ドイツ考

やっと日本に帰ってきた。あー疲れた。仕事的に見れば不毛な結果に終わったかもしれないけど、まあいいや。 フランクフルト以外はミュンヘンやベルリンに行ったんだけど、ドイツの全体的な印象としては緑が多くて通りがきれいに整理されている(ゴミもない) 一方、街のどこかしらで大きな工事が行われてて、古い教会なんかとモダンなガラス張りの建物が混在して建っているといったところか。これはつまり大戦で大方の建造物が爆撃されて空き地がたくさんできたことに起因してるんだろうけど、ほんの10数年前まではベルリンの壁があって殺伐としてたところにも現在はソニーセンターをはじめとする高層建築がボコボコ建っていた。ああいういうのを目にすると、「崩壊する新建築」という名を持ち、工具を楽器にするアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンのようなバンドがドイツから出現したのか何となく理解できるような気がする。しかし東京だって同じ時期に焼け野原になったわけだが、その後の復興の仕方(町づくりとか)が全然違っているのは興味深い。木造とレンガ建築の違いなのかな。

あと人間的には前から感じてたとおり真面目な人間が多いというか、律儀に働いてる人が多かったように思える(昼間からビール飲んでるやつも多数いたけど)。悪天候でフライトの予定がトラブったときなんかも、かなりきちんと対処してくれた。このように厳格そうな国民性に加え、金髪で体のデカいねーちゃんが多かったこともあって、女囚映画ものにでてきそうなナチの女将校のイメージが俺の頭の中から離れなかったのであります。

自由な時間はあまり無かったけど、ベルリンの映画博物館を駆け足で観ることができた。やはり戦前のドイツ映画は最高すね。「メトロポリス」とか「カリガリ博士」なんて、スケッチ絵を見るだけでゾクゾクしてしまう。そして絶頂期のマリーネ・ディートリッヒの美しいこと!ヘルツォークなんかのニュー・ジャーマン・シネマがほとんど紹介されてなかったのは残念だけど、特別展示としてレイ・ハリーハウゼンの特集をやってたのでよしとしよう。あとはバウハウス美術館とかも行きたかったけど、まあいずれプライベートでまた旅行すればいいや。