レイモンド・チャンドラーのマーロウものを除けばハードボイルドなんて殆ど読んだことないので、スピレーンの作品もまったく疎いんだが、彼がもともとコミックを書いてた人だったとは知らなんだ。彼の書いたバットマンとかは読んでみたいな。リプリントとかされてんだろうか。
月: 2006年7月
「PSYCH」鑑賞

いつもお世話になっているアメリカ版iTMSで、USAネットワークの新作ドラマ「PSYCH」のパイロット版が無料公開されてたのでダウンロードして鑑賞する。コメディ・タッチの推理ドラマで、主演はジェームズ・ロデイ…って誰だそれ。彼の相棒として「ザ・ホワイトハウス」のデューレイ・ヒルが出演してた。 主人公のショーンは定職につかずにブラブラしてる青年だが、警官の父親に徹底的に鍛えあげられた、とてつもない観察能力を持っていた。どんな些細なことも見逃さないこの能力のおかげで、彼は強盗事件の報道を見ただけで犯人が誰だか分かってしまうくらいなのだ。さっそく警察に懸賞金をもらいに行った彼だが、あまりにも事件の詳細に精通していることから逆に共犯者だと疑われてしまう。そこでとっさに彼が思いついた言い訳は「自分は超能力者(サイキック)であり、超能力によって事件を解決できる」というものだった。これを聞いた警察は半信半疑ながらも彼の力を借りることになり、ショーンは相棒のガスといっしょに難事件に挑んでいく…。というのが主なプロット。
USAネットワークの推理コメディといえば既に「名探偵モンク」があるが、あれと内容はけっこう似通ってるかも。ショーンが超能力者のふりをしつつ、細かな手がかりからスラスラと謎を解いていくさまは見ていて楽しいものの、それが災いして推理の醍醐味が味わえないのが残念。でもパイロット版を見る限りではそんなに悪そうなシリーズでもないので、とりあえずこれからの展開に期待したい。あとアメリカのドラマなのに、主人公2人がトヨタのヴィッツらしき車に乗ってるのがなんか面白い。
「ミーン・ストリート」鑑賞
スコセッシの初期の作品「ミーン・ストリート」をDVDで鑑賞。彼とデ・ニーロの初コラボ作品でもある。 内容はハーヴェイ・カイテル演じる主人公と、そのゴロツキ仲間たちの日常を描いた、ダラついてるといえばダラついてるものだけど、ロジャー・コーマンのスタッフを使って大半がロスで撮影されたにもかかわらず、70年代のニューヨークはリトル・イタリーの雰囲気が見事に醸し出されてるのがいい。昔のニューヨークはやはり怖いところだったんですね。ラストはちょっと紋切り型なアメリカン・ニューシネマ的終わり方…と言ったら失礼か。後に彼のトレードマークとなるデ・ニーロのサイコ気味の演技が早くも炸裂。彼が「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」をともに登場するシーンがカッコいいのなんのって。デビッド・キャラダインが酔っぱらって撃ち殺されるだけの役でちょこっと出演してたけど、あれって何なんだろう(しかも狙撃者役はロバート・キャラダインだ)。ついでにカイテルはこの頃から裸になっていた。
俺にとってのスコセッシのベスト作品「レイジング・ブル」には遠く及ばないけど、「タクシー・ドライバー」を経てあの作品に到着するまでの、最初の一歩のようなものが感じられる佳作。
「PARALLELS DESKTOP」試行
“MacOSX上でウィンドウズOSなどがサクサク動くという評判のヴァーチャルマシン・ソフトウェア「PARALLELS」を試しにインストールしてみる。公式サイト上でトライアル版が入手できるのだけど、驚くのは数十メガバイトというその軽さ。そいつを展開してOSをインストールするわけだが、英語の解説しかないので一瞬とまどっったものの、ウィンXPのインストールが比較的スムースに完了。んで肝心の動作も、ヴァーチャルPCなんかに比べれば実にサクサク軽く動いてくれる。フルスクリーンモードで使った感じでは、とりあえずピンボールなんかは何のトロさも感じられず普通に動いてくれた。なかなかいいんじゃないですか、これ。ただどうもこいつを作動させてると、OSXの動作が実にもっさりとしてしまい、OSの切り替えなんかが非常にもたついてしまうのが欠点か。期待してたファイルの簡単な交換(デスクトップ上でドラドロできる)という機能もないみたいだし、フルスクリーンで使わない際のウィンドウのサイズ調整もいまいちやり方が分からない。スラッシュドットでは大絶賛されてたから、何か俺の設定の仕方が悪いのかな。とりあえずフルスクリーンで使う分には問題ないけど、そんなんだったらもっと動作のいいブートキャンプを使えばいいわけで、とりあえず個人的にはこの今のところ、このソフトウェアにお世話になることはないだろう。
「暗闇のスキャナー」一部鑑賞
リチャード・リンクレイターによる、フィリップ・K・ディック原作の映画「暗闇のスキャナー」の最初の20分ほどが無料で公開されてたので早速観てみる。 なかなか原作に忠実そうな出来。あの原作には70年代の刑事映画(「フレンチ・コネクション」とか)みたいな雰囲気が似合うかなと思ってたけど、ロトスコーピングによるアニメーションもそんなに悪くなさそうだ。全体的にどことなく不気味な感じがするのがいい。スクランブル・スーツが原作そのままなデザインになっているのはアニメの強みか。いかにもマンガ的な「空想ふきだし」には賛否両論あるだろうけど。ロリー・コクレーンが、同じくリンクレイター作品の「バッド・チューニング」とほとんど同じようなヤク中を演じてた。あと相変わらずロバート・ダウニーJr.は演技うまいなあ。
ちなみに「スキャナー」はサンリオ文庫版を前に読んだんだけど、その後に創元から出た山形浩生の訳のやつはヒドかった。なんかとりあえず口語訳にすればいいじゃん、みたいな調子で全編が訳されてんだよね。相変わらず本人は自信満々で、こんど浅倉久志訳が出たのには文句タレてるみたいだけどさ。