飯を喰わせてくれれば監督しよう

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テリー・ギリアム御大が、新作「TIDELAND」の宣伝もかねて「デイリーショー」の収録スタジオの外に出現して、ファンと楽しいひとときを過ごしたらしい(番組に出演したわけではない)。

段ボールに書かれた「スタジオに見放された映画監督。家族を支える必要あり。飯をくれれば監督する」というメッセージが涙を誘わずにはいられない。彼に平穏の日々はやってくるんだろうか。ちなみに「TIDELAND」って日本だと既に公開されたんだっけ?俺はまだ「ブラザーズ・グリム」も観てないんだけどね。

ギリアムといえば、そのむかしインタビューで言ってた「映画スタジオは大作をヒットさせるような監督には予算をつぎこむし、インディペンデント映画の監督にも期待を込めて金を出すけど、僕みたいな中規模の映画をつくる監督には何の手助けもしてくれない」という言葉が非常に印象に残ってるのです。

「300」トレーラー(slight return)

こっちが公式版。こないだのとはちょっと違ってた。

前にも書いたけど、コミックだと1つのコマで淡々と出来事を描写してても読者の想像力によっていかにでもドラマチックになれるのに対し、映画だとどうしても演出がクドくなって目障りになるのではないかと…。具体的に何を言いたいかというと、ペルシャの使者を蹴落とすシーンは原作だとレオニダスが「これがスパルタだ」と言って無表情に蹴落とすのが非常にクールだったんだが、映画だと彼が絶叫してるのが過剰というか何というか。どのくらいの出来の映画になるんすかね。

「ウエスタン」鑑賞

風邪をひいて会社を休んだので、家でゆっくりとセルジオ・レオーネの「ウエスタン」を観る。まだ観たことがなかったのです。

3時間近い長編でありながらセリフの量が圧倒的に少なく、すべてを演出とエンニオ・モリコーネの音楽だけで語り尽くす手法は実に見事。最近はこんな映画まるで作られなくなっちゃったね。主役のチャールズ・ブロンソンが仏頂面すぎる感じがなくもないが、生涯唯一の悪役を演じるヘンリー・フォンダの憎々しくも魅力的なキャラクターと好対照をなしていて面白い。またモリコーネの音楽だけでなく、きしむ風車や汽車の蒸気などといった自然音も非常に効果的に使われており、場面の雰囲気をうまく醸し出している。レオーネ作品の効果音といえば、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」の冒頭の電話の音の使い方が衝撃的だったなあ。

個人的には「続・夕日のガンマン」や「〜アメリカ」にはどうしてもかなわない作品であるものの、それでも大傑作であることには間違いないのです。

「LEGION OF SUPER-HEROES」鑑賞

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前にも書いた「リージョン・オブ・スーパーヒーローズ」のアニメ版が放送されたので観てみる。

思ったより悪くなかった。

キャラクターデザインがブルース・ティム風でないのは残念なとこだけど、「ティーン・タイタンズ」のおぞましいマンガ調よりは数倍マシだし、キャラクターの性格設定がちゃんとしてるのでけっこう楽しめる内容になっている。ここらへんが同じく最近始まったアニメ版「ファンタスティック・フォー」との違いですかね。あっちは相変わらずキャラクターの魅力を理解できてなかったから。FFは若造の集まりなんかじゃなくて、家族なんだよ!

ちなみに「LSH」とくればリーダーは普通「スーパーボーイ」になりそうなもんだが、大人の事情(スーパーボーイの著作権はちょっとグレーなところにあるのだ)で「スーパーマン」と作品内では呼ばれている。

とりあえず今後の展開を楽しみにできるくらいの出来なんだが、やっぱりティム絵による「スーパーガール&LSH」が見てみたかったなあ。せっかくJLUでそのためのエピソードが作られたってのにさ。

「STUDIO 60 ON THE SUNSET STRIP」鑑賞

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アメリカでは秋のドラマシーズンが始まって新作が目白押しなのですが、いちいちチェックしてる気力も時間もないので、とりあえず「HOUSE」と「ギャラクティカ」があればいーやー、という気分なのです。そういえば「TORCHWOOD」もイギリスでそろそろ始まるんだっけ。

でも「ザ・ホワイトハウス」(俺この邦題嫌いだ)こと「WEST WING」のクリエーター、アーロン・ソーキンが手がけた新作ドラマ「STUDIO 60 ON THE SUNSET STRIP」がやけに評判いいのでパイロットをとりあえず鑑賞してみる。「WEST WING」が政界の裏側を扱った作品だったのに対しこちらはアメリカのテレビ業界を取り上げていて、「サタデー・ナイト・ライブ」まがいの老舗コメディ番組「STUDIO 60」の製作現場を舞台に、テレビ業界の裏側を風刺するような内容になっている。老練プロデューサ−がキレて、最近のテレビについて生放送のカメラの前で文句をブチまける冒頭のシーンなんかはシドニー・ルメットの「ネットワーク」そのまま。

4年ぶりに現場に復帰して番組を立て直そうとするプロデューサーと作家として、「WEST WING」のブラッドリー・ウィットフォードと「フレンズ」のマシュー・ペリーがそれぞれ主演。でも個人的にはそんなのどうでもよくて、むしろ脇役にD・L・ヒューリーとかネイト・コードリーといった人たちがいるのがツボ。蛸博士の妻ことドナ・マーフィーがなぜかほんのチョイ役で出てた。

「WEST WING」の特徴だった怒濤のごときセリフ量と、凝ったセット内を動き回るカメラのスタイルは健在。かなり集中して見ないと話についていけないので、観てて疲れるところもいっしょ。あの番組がアメリカの政治システムについてそれなりの知識がないと理解しにくいところがあったのと同様に、「STUDIO 60」もアメリカのテレビ業界についてある程度のことを知っとかないと(「700クラブ」とか)、分かりにくい部分が多々あるかも。

第3の主役として放送局の新人社長を演じるアマンダ・ピートに知性のカケラも感じられないのが致命的な欠点だが、手堅い作りで見応えのある作品ではあるので、今後もしばらくチェックしてみようかな。