「THE DRESDEN FILES」鑑賞

c0069732_811767.jpg
アメリカはSci-fiチャンネルのオリジナルシリーズ「THE DRESDEN FILES」のパイロットをiTunesストアから落として観る。プロデューサーは「スタートレック:ディープ・スペース・ナイン」のロバート・ヒューイット・ウルフ。「4400」のアイラ・スティーブン・ベアーや「ギャラクティカ」のロナルド・D・ムーア同様に、元「DS9」のスタッフが業界で頑張っているのは嬉しいこってす。あとニコラス・ケイジもプロデューサーに名を連ねている。撮影はトロントでやってるらしい。 これはジム・ブッチャーなる作家の人気シリーズを原作にした作品で、主人公はシカゴに住む魔法使い兼私立探偵のハリー・ドレスデン(ポール・ブラックソーン)。母方から魔法の力を授かった彼は、骸骨に棲む精霊のボブの助けを借りながら、超常現象にまつわる事件を解決していくのだった…というのが主なプロット。

全体的な雰囲気とか怪物の描写なんかは、かなり「バフィ」や「エンジェル」に似ている。この2作品に「Xファイル」を足して3で割ったような作品かな。つまり内容はありきたりなものになっていて、あまり斬新さが感じられない。うーん。主人公が私立探偵でありながら、あんまり機知を働かせるような場面もなくて、怪物とかに結構いいようにされてしまっている展開が多いのが残念。あといろんな人物とか組織の名前が言及されるんだけど、原作を知らない者にとっては理解しづらい点があるのも確か。

Sci-fiチャンネルのオリジナル作品としては「ギャラクティカ」に遠く及ばない出来といった感じ。アメリカの批評でもあんまりいい評判は得てないみたいだ。いちおう11エピソード分の製作が決まってるらしいけど、パイロットから判断する限りではイマイチな感じが否めない。

つうかSci-fiチャンネルは早く「ギャラクティカ」のシーズン4製作を決定せんかい!

ラジー賞発表

「氷の微笑2」と「Little Man」が7部門にノミネートされてるんだとか。明らかにツマらない映画を普通に選んでいるようで個人的にはあまりラジー賞って興味ないんだが、「最悪のカップル」部門で「シャロン・ストーンの垂れた胸」がノミネートされてんのには笑った。以前はハリー・ベリー本人が「キャットウーマン」での最低女優賞を受け取りにくるなど、単なるバッシングではなくユーモアのセンスが多分にあるところには好感が持てるのです。

それに比べて日本の「きいちご賞」って、文春のお抱えライターたちが偉そうに選んだという感じがしてイヤなんだよな。そもそも「きいちご」って名前、本家にちゃんと了承は得てるのかね?

「THE WHITE DIAMOND」鑑賞

c0069732_20463769.jpg
ヴェルナー・ヘルツォークの2004年のドキュメンタリー「THE WHITE DIAMOND」を観る。

これは小型の飛行船を使って、ガイアナの熱帯雨林を上部から撮影しようとする航空技師グラハム・ドリントン博士の努力を追ったもので、子供の頃にロケットの爆発で指を失いながらも航空技術没頭するドリントンの姿と、熱帯雨林という舞台は「アギーレ」や「フィッツカラルド」を彷彿させる。あと「WILD BLUE YONDER」と同じくErnst Reijsegerの音楽が多用されている。またヘルツォークの他のドキュメンタリー「Little Dieter needs to Fly」の主人公であるディーター・デングラーが別の小型飛行船を使って撮影中に転落死するのをドリントンは目撃しており、その事故の暗い影が作品を覆っているのが特徴的だ。

肝心の撮影飛行は必ずしもスペクタクルなものではないものの、トラブルにもめげず夢を叶えようとするドリントンの姿や、ガイアナの信じられないくらいに巨大な滝、および熱帯雨林の動物たちの光景は非常に見応えがある。危険が伴う最初の飛行にも、ヘルツォークは自らカメラを抱えて乗り込むんだからタフだよなあ。

あと滝の裏側にあるアマツバメの巣を撮影するシーンがあるんだが、結局のところヘルツォークはこの映像を公開せずに終わっている。現地の人たちの言い伝えを尊重したのか、それとも観る人に想像の余地を残しておきたかったのか不明だけど、こういう普通のドキュメンタリー作家だったらまずしないような判断に、彼の映画人としての奥の深さを感じてしまうのです。

「THE TOMORROW PEOPLE」鑑賞

c0069732_21505926.jpg
1970年代のイギリスのSFシリーズ「THE TOMOROOW PEOPLE」を観る。最近ちょっとしたきっかけで知ったシリーズで、Youtubeで見たオープニング・シーケンスの不気味さが非常に印象に残ってたのです。

これは73年から79年の長きにわたって放送されてた作品で、「BBCの「ドクター・フーに対するITV(民放局だよ)の返答」と当時は言われていたらしい。主人公となるのはテレポーテーションやテレキネス、テレパシーといった超能力をそなえた優勢人種「ホモ・スペリオール」として生まれた子供たちで、自らを「トゥモロー・ピープル」と呼ぶ彼らは仲間を探し出しながら、彼らを狙う宇宙人や人間の魔の手をかわしながら、地球を我々人類(ホモ・サピエンス)による破壊から救うために活動するのだった…というのが主なプロット。

ホモ・スペリオール対ホモ・サピエンスというコンセプトはかなり「Xメン」に近いところがあるんだが、子供向けの番組ということもあって全体的には「少年少女エスパー隊」というか、福島正美あたりが書いてそうなジュヴナイルSFのテイストが強い。子供の頃よく読んだっけ。あと作品中のテレポーテーションがアルフレッド・ベスターの「虎よ!虎よ!」にあやかって「ジョウント」と呼ばれているのが特徴的。コンセプト的にはけっこうハードなSF作品になれそうなものだけど、70年代の低予算ドラマだけあって特撮・演技ともにかなりショボいところが残念。しかも第1話から宇宙人が出てきていきなりスペオペっぽくなったりして、なんか話が散漫なところがあると思う。ちなみに製作者のロジャー・プライスはヒッピーあがりの人らしくて、どことなくサイケな特殊効果や新人類のコンセプトはそこから来てるのかな。

何にせよオープニング・シーケンスだけは、21世紀のいまでも斬新に感じられる出来。こないだたまたま立ち読みした「SFX」誌でも、「SFシリーズ史上最高のオープニング・シーケンス」に挙げられてたっけ。オープニングと内容の落差が激しすぎる、なんてことも書かれてたけど。オープニングの映像はこちら