「RUBICON」鑑賞


AMCの新作ドラマ。ニューヨークのシンクタンクに務めるウィルは複雑な暗号もすぐに解読してしまう頭脳明晰なアナリストだったが、ある日複数の朝刊のクロスワードに共通する謎めいたメッセージが隠されていることに気付く。それを上司のデイビッドに説明するウィルだったが、彼はまるで相手にされなかった。しかしその後デイビッドはウィルには内緒で、自分の上司にクロスワードのことを告げる。そして次の日、ディビッドの乗った列車が事故に遭い、彼が死んだということをウィルは知るのだった。ディビッドの死とクロスワードのメッセージに関連性があると感じたウィルは、ディビッドの職に就き、巨大な陰謀の世界に足を踏み入れていくのだった…というようなサスペンス作品。

本国ではロバート・レッドフォード主演の映画「コンドル」によく比較されてるようだけど、俺はあれ観たことないのでよく分かりません。なんかこう、でっかい陰謀のようなものがあることは分かるのだが、それが何なのかは全く説明がされなくて、影から主人公を監視する謎の男とか、怪しげな言動をとる老人連中とか、どうもサスペンス作品ではありきたりな描写が続くのがまどろっこしい。主人公も目と口を大きく開いてウロウロしているだけで、何をしたいのかよく分からないし。

同じAMCの「プリスナー」のリメイクもそうだったけど、謎めいた雰囲気をお洒落に撮ることは非常に巧いんだけど、肝心のストーリーがお粗末なんだよな。例えは古いが「ツイン・ピークス」なんかは映像が美しい一方で「よく分からないけど何かすごいことが起きるに違いない」という気持ちを観る人に抱かせてくれたのに。「Story Matters Here」というAMCのキャッチフレーズが泣いてるぞ。

もっとベタな内容になっても構わないから、主人公が追いかける陰謀についてもうちょっと説明があれば面白くなってたはずなのに。

「HOT TUB TIME MACHINE」鑑賞

その題名およびストーリーのアホらしさがアメリカでは公開前から話題になり、エド・ヘルムズ同様に「デイリーショー」出身であるロブ・コードリーが出てることから、第二の「ハングオーバー」になるか?と期待されてたんだけど、いざ公開されたらすぐに失速してしまった感のあるコメディ。でもあまり期待せずに観たら結構面白かったよ。

LAに住むアダムはさえない中年男性で、ガールフレンドに振られてばかりのロクでもない人生を送っていた。彼の幼なじみであるルーとニックも同様に不遇な暮らしをしており、気分転換をしようと考えた彼らはアダムの甥のジェイコブを連れて、かつて彼らが80年代に乱痴気騒ぎをしたスキー・リゾートへとやってくる。しかし昔は栄えていたそのリゾートはすっかりさびれており、さらに彼らは暗い気分になってしまう。とりあえず部屋の外にあるホットタブは使えるということで、そこに入って酒を飲み明かす4人。しかしそこで原因不明の事故が起き、彼らは1986年の過去にタイム・スリップしてしまう!ここで過去を改変して未来に影響を与えてはいけないと考え、過去のとおりに1日を過ごそうとする彼らだったが、物事は予想もつかない展開を迎え…というのが大まかなプロット。

笑いのネタは90%くらいが「80年代ってカッコ悪かったよね〜」というスタンスに基づいたものなので、まあ30代以上の人じゃないと観てもウケないんじゃないのかね。その他は下ネタばかりだし、脚本を練ればあと2割くらいは面白くなったんじゃないの、という気がしなくもない。でもなんか全体的に微笑ましい雰囲気があって嫌いにはなれないんだよな。どうにか人生をやり直そうとする中年男たちの姿が俺の心の琴線に触れただけなのかもしれませんが。

いちおう主役はジョン・キューザックなんだけどあまり目立ったことはしてなくて、ロブ・コードリーが完全に主役を食ったバカっぷりを見せてくれるぞ。俺は「デイリーショー」の頃から彼のファンなのであります。さらには脇役でクリスピン・グローヴァーが出ていて、相変わらずの怪演を披露している。2000年代に××だった彼が、80年代でいつそうなるのか?というギャグがね、ちょっとブラックだけど非常に面白いのですよ。しかし同じく脇役で出演しているチェビー・チェイスはあまり面白くなかったかな。

ラストも呆れるくらいに能天気だし、くっだらねーと思いつつも笑える映画であった。劇場で観るほどのものでは無いかもしれないけど、家で友達と一緒に観るのには適した作品かと。

「THE GATES」鑑賞

マイクロソフトの元会長の家族を追ったリアリティー番組…では当然なく、ゲーテッドコミュニティを舞台にしたABCの新作ドラマ。

その名もずばり「ザ・ゲイツ」というゲーテッドコミュニティに、新しい警察署長の一家がやってきたところから話は始まる。ザ・ゲイツは裕福な住人の家が建ち並び、治安も良くて平和そうな場所であったが、実は住人たちの一部はヴァンパイアや狼男、魔女といった特別な能力を持った存在だったのだ。警察署長のニックは当然そんなことを知らずにザ・ゲイツにやってきたのだが、前任の署長が変死体となって発見されたことから物事は奇妙な展開を迎えることになる…というのが大まかなプロット。

最近はどのドラマにも吸血鬼が登場している気がして仕方ないのですが、これもまあ「トワイライト」を意識したヴァンパイア/スーパーナチュラルもの。ザ・ゲイツに住む夫婦たちとその子供たちが話の中心になるわけだが、親たちの話はヴァンパイア版「デスパレートな妻たち」で、子供たちの話はそのまんま「トワイライト」になっているという、あまりオリジナリティが感じられない内容になっている。同じく警察署長が主人公の「ユーリカ」みたいなドタバタ劇にしたほうが面白かったかも知れんね。

まだ始まったばかりだし、なぜザ・ゲイツにこうした存在が集まることになったのかなどの説明がないのは仕方ないが、そもそもヴァンパイアと狼男たちがお互いの存在について知ってるのかどうかも分からないというのはさすがに説明不足かと。なんか話がまとまってないんだよな。

あとはとりあえず住人のなかにゾンビがでてくることを願うのみです。