「EPISODES」鑑賞


「ジョナ・ヘックス」のプロデューサーの1人として大金を損したであろうマット・ルブランクが本人役で出演するコメディ。アメリカとイギリスの合作になるのかな?「フレンズ」のプロデューサーも関わってるみたい。

イギリスで人気番組のプロデューサーをしているショーンとビバリーの夫妻は、その人気番組をアメリカでリメイクしないかと誘われ、意気揚々とハリウッドへやってくる。しかし彼らの要望は能天気なスタジオの重役にことごとく却下され、主人公にもイギリス版と同じ役者を起用せず、マット・ルブランクを使うように命じられてしまう…というような話。

いちおうルブランクが主人公のはずなんだけど、第1話では殆ど出演してなかったな。でもリチャード・グリフィスがゲスト出演してたぞ。イギリスとアメリカのカルチャーギャップやショウビズ界の裏側を描いた内容や、ラフトラックがなくて気まずい雰囲気のシーンで笑いをとろうとする手法とかは、ここ数年のテレビ番組で何度も観たなあ…といった感じで目新しさは無い。テレビ業界の話という点では「EXTRAS」に近いものがあるかな。マット・ルブランクってこういうちょっとヒネった作品じゃなくて、もっと単純なシットコムに出たほうがいいんじゃないかと思うんだけど、どうなんだろうね。

話が進むにつれてもっと面白くなっていくようだけど、個人的にはもういいや、といった程度の作品。

「THE AMERICAN」鑑賞


アントン・コービンが監督した、ジョージ・クルーニー主演の映画。

プロの殺し屋で武器職人でもあるジャックはスウェーデンで何者かに命を狙われたことでイタリアに逃亡し、知人の手を借りてカステル・デル・モンテという小さな村に潜伏することになる。そこで彼はライフル銃の製作にとりかかるほか、クララという娼婦と恋仲になる。しかし彼には危険が迫っていた…というような話。

サスペンスなんだかアクションなんだかメロドラマなんだか、いまいち何をやりたかったのかよく分からない作品。いちおう銃撃戦とかカーチェイスがあるんだけどアクション映画というわけでもないし、ユーロピアンなアート映画としては世俗的すぎるというか何というか。どうもストーリーが起伏に乏しく、ダラついた感じがするんだよな。加えて音楽はヘルベルト・グレーネマイヤーという人気歌手が始めて映画音楽を担当したものらしいが、どうも扇情的というか大げさな感じがして好きになれなかったよ。

ストーリーには原作があるらしいけど、良心の呵責に苛められる殺し屋とか、心優しい娼婦なんてのは他の映画で山ほど目にしているので新鮮さはなし。仏頂面で黙々と仕事をする主人公を演じるジョージ・クルーニーの演技は悪くないんだが、あくまでも「演技しているクルーニー」にしか見えなかったぞ。もっと無名の役者を起用したほうが話のリアリティが増したんじゃないの?ストイックなキャラクターのようで風俗通いだけはマメに行っているというのもよく分からんし…。その一方で娼婦のクララを演じたヴィオランテ・プラチドは非常に美しいですよ。「ゴッドファーザー」でマイケル・コルレオーネの最初の妻を演じた女優さんの娘らしいが、大胆な脱ぎっぷりを披露してくれてます。

なお写真家のコービンが撮った映画ということもあって、夜の路上とかイタリア山地の風景とかの映像は非常に美しい。コービンの写真ってセピア色のものとかピンボケした人物写真のイメージが強かったんで、このような風景映像が撮れるのは意外だったけどね。それがやはり大げさな音楽によって台無しにされてるのが残念なところです。あとイタリア語が話されるシーンにおける英語字幕がものすごく小さかったんだけど、なんだあれ?

もっとアートハウス・シネマ的なものを目指せば良かったんだろうけど、代わりにテレビ東京で昼間にやりそうな程度の作品になってしまったのが惜しいな。

「EASY A」鑑賞


巷で評判が良いようなので観てみた。主人公のオリーブは男性経験のない地味な女子高生だったが、親友に見栄を張って「私、こないだ男の人とヤっちゃったのよ!」とウソをついたらその話が学校中に広まり、すぐに彼女は腰軽女として見なされてしまう。最初はそれに困惑していたオリーブも、逆にその立場を利用してゲイやデブの同級生たちとも「ヤってあげた」という噂を流すことにより、彼をカッコ良く見させるという行いに出る。しまいには授業で習っていたホーソーンの「緋文字」の主人公よろしく赤い「A」の字を胸につけて学校に行くのだが…というような話。

観ていて何がいちばん気になったかというと、ストーリーや演出とかではなくて、主演のエマ・ストーンが声にドスが効いているということでして、ハスキーボイスなんてものじゃなく、クラシック映画のヴァンプ女優のような非常にどっしりとした声をしてるんだよな。おまけに顔つきもヴァンプ女優っぽいので「男とヤったの」なんて言われても「ウソでしょ?」ではなく「何人と?」と聞いてしまいそうな雰囲気があるんだよな。演技自体はかわいらしいので決してミスキャストというわけではないんだけど、あの声はなかなかインパクトがありましたよ。

ストーリーはアメリカの高校における階級制度をうまく逆手にとった内容になっていて、クリスチャンの生徒たちの迫害を受けながらも、普通ならモテない生徒たちを「男にしていく」主人公の姿がよく描かれていたかな。ただし一発芸的なネタを薄くのばしたような感があったことも否めない。これが映画でなく、60分尺のテレビ番組に凝縮にされたとしたら大変素晴らしい作品になっていただろうに。また主人公の両親がとても物わかりのいいリベラルな人たちとして描かれていて、主人公の振る舞いについても何も心配してなかったのには拍子抜けしたな。ふつう教師や同級生よりも両親のほうがこういうことについて心配しそうなものだけどね。

なお出演者はエマ・ストーンのほかにもトーマス・ヘイデン・チャーチやスタンリー・トウッチ、リサ・クドロー、さらにはマルコム・マクダウェルといった豪華な面子が揃っている。こないだの「YOUTH IN REVOLT」もそうだったけど、ティーン・コメディの脇をベテラン俳優で固めるのが流行ってるのか?

「緋文字」などの古典文学を意識した言葉の使いまわしや、ジョン・ヒューズ作品への言及があったりと、日本人にはちょっととっつきにくい内容にはなっているのですが、笑えるところも多々あったし、決して悪くはない作品でしたよ。

「House of Anubis」鑑賞


日本では惜しくもチャンネルが終了してしまったニコロデオンの久々の実写ドラマ。ベルギーとオランダの合作ドラマのリメイクだそうな。

主人公のニーナはアメリカからイギリスの全寮制学校にやってきたティーンの女の子で、彼女はそこでアヌビス・ハウスという寮に入れられる。そこでは非常に厳格な寮長がいるにも関わらず生徒たちは陽気に生活していたが、ある女生徒が忽然と姿を消してしまう事件が起きる。その女生徒の失踪と入れ違いで彼女の使っていた部屋にやって来たニーナは、彼女の親友にあらぬ疑いをかけられてしまう。さらにニーナは自分のことを知っているという老婆に出会い、謎めいたアミュレットを渡される…というようなミステリー仕立ての番組。

全寮制の学校のミステリーという点ではこないだの「TOWER PREP」に良く似てる印象を受けるけど、ニコロデオン作品なのでもっと対象年齢が低い感じ。演出や役者の演技もソープオペラ並みのクオリティだし。ジュブナイル小説の映像化みたいなものか。それと当然ながら主人公以外の登場人物はみんなイギリス訛りの英語をしゃべってるんだけど、それってアメリカの視聴者の受けはどうなんだろう?

でもまあ決して悪い作品ではないですよ。日本でやっても若い世代には受けるかも。昔は日本でもニコロデオンの実写ドラマとか放送してたんだけどね、チャンネルが無くなってしまったのは残念なこってす。

謹賀新年


明けましておめでとうございます。

なんか1年が経つのって本当にあっという間でございますね。昨年は何かいいことあったかなあ…出張も含めて3回海外に行ったことかなあ。さすがに30代後半になってくるといろいろツブしが効かなくなってくるわけで、自分のいままでの人生のなかで得てきたリソースをどうにかやりくりして生きて行くことになるのかしらん。

自分の場合、恋人も友人もおらず頼れる人が非常に少ないため自分自身でいろいろやってかないといけないわけですが、どこかのタイミングで心がポッキリ折れるようなことがあるんじゃないかという不安は常にあるんだよな。仕事も今年が正念場で、年末はどのような状況になってるのかてんで分からないし。まあ自分だけでなく俺らの世代の多くは、落ちたら這い出せない大きな黒い穴が背後にポッカリ空いていて、それに落ちたくないために冷や汗かいて前に進んでるような状況なんじゃないだろうか。

何にせよ状況を改善できるかどうかは結局のところ自分の行いにかかっているわけで、今年は過去のことにこだわらず、人にやさしく、もっと愉快に過ごしていきたいなと思う次第です。よってこのブログの文章も「ウヒョヒョヒョ」とか「ワロタwww」なんて言葉を多用することになる、かも。