「BEING HUMAN」(アメリカ版)鑑賞


SYFYチャンネルの新作で、BBCの同名作品のリメーク。

舞台がアメリカになったこと以外はほとんどイギリス版と同じ設定で、吸血鬼と狼男と幽霊の3人が一軒家に同居して、自分たちの忌まわしい能力にも関わらず普通の暮らしをしようとするものの、いろいろ災いが起きて…という内容。吸血鬼と狼男が病院で働いていることとか、吸血鬼の仲間たちが警察に潜り込んでいるところなんかもイギリス版と同じ。狼男を演じるのは「スーパーマン・リターンズ」でジミー・オルセンを演じてた役者か。

イギリス版はドラメディ扱いされてるわりにはあまりコメディっぽさは感じなかったものの、主人公たちが凡庸に暮らそうとする点が強調されてたのに対し、このリメイク版はもっとシリアスな雰囲気で耽美的な描写もあって、「バフィ」や「エンジェル」を観ているような感じ。最近の吸血鬼が出てくるドラマはみんな「トワイライト」に多かれ少なかれ影響されてる気がするなあ。

悪い作品ではないけど大変素晴らしい出来というわけでもないので、どのくらい人気が出るかは不明。日本で放送されるとしたらイギリス版とアメリカ版はどっちがいいですかね?

「LIGHTS OUT」鑑賞


ボクシングの世界を舞台にした、FXの新作ドラマ。プロデューサーにフィリップ・ノイスが名を連ねている。

ヘビー級のチャンピオンだったパトリック・”ライツ”・ライリーは数年前の微妙な判定の引き分け試合をもって引退し、妻とともに3人の娘を育てる一方で弟とボクシングジムを経営していた。しかしジムの経済状況は悪化するばかりで、自身のMRI検査ではパンチドランカーの兆候が見つかってしまう。生活費を稼ぐために借金取りの稼業にまで手を出す羽目になったライツだが、弟の画策により現役復帰をすることになる…というような話。

FXのドラマということで全体的なクオリティは高く、ボクシングの試合のシーンなんかもよく撮れている。「ザ・ワイヤー」の役者が何人か出ているのもいいな。ただし40代のボクサーの話というのがどこまで長続きできるのかというのが疑問ではある。尤も第1話の視聴率は低かったようなのでそもそも長続きしないかもしれないけど。

製作者の意図はアメリカの不況を反映した作品にしたいらしいんだが、主人公は金がないと言いつつもデカい家に住んで娘たちを私立の学校に通わせてるし、ボクシングジムの設備もずいぶん立派なんだよな。彼がチャンピオンだった期間は数ヶ月だけという設定だけど、はるかに偉大なジョー・フレージャーだって貧乏臭いジムで暮らしてるんですぜ。

スポ根ドラマなのかファミリードラマなのか社会派ドラマなのかいまいち分かりにくいところがあるので、話の焦点をもうちょっと絞ったほうがいいような気がする。

「SHAMELESS」鑑賞


ショウタイムの新作ドラマ。イギリスで8シーズンも続いている人気シリーズのリメイクらしいが、俺はそんなドラマがあったことを知らなかったよ。

シカゴの郊外を舞台に、始終飲んだくれて仕事もせずに生活保護で暮らし、妻にも逃げられたオヤジのフランク・ギャラガーと、彼の6人の子供たち(娘2人息子4人)が貧しいながらも愉快に暮らして行こうとする姿を描いた内容になっていて、第1話では長女にボーイフレンドができたり、次男がゲイであることが知られるなんて展開が起きていた。

名優ウィリアム・H・メイシーがフランクを演じるほか、ジョーン・キューザックが出ているなどキャスティングはなかなか豪華。長女のフィオナを演じるのがエミー・ロッサムでそのボーイフレンド役がジャスティン・チャットウィンって…「DRAGONBALL EVOLUTION」のブルマと悟空じゃないかよ!日本人には不安を抱かせる配役ではあるが、ここではきちんとしたシリアスな演技を見せてくれるぞ。2人のセックス・シーンもあるので、「悟空とブルマがXXX」などと脳内で変換したい方はどうぞ。

第1話ということもあり話の展開が少し詰め込まれすぎている感じがしなくもないが、貧しき庶民の生活をうまく描いた、よく出来た作品になっていると思う。ストーリーはイギリスのやつをたどる形になるのかな、それともオリジナルのものになるのかな?性的にちょっときつい描写もあったりするので日本での放送は期待できないかもしれない。

そしてやはりウィリアム・H・メイシーの演技が毎回観られるというのは羨ましいですね。酔っぱらいながら啖呵を切る演技なんかは実に巧い。これに出たことで映画作品への出演が減ってしたらちょっと嫌だけど。

「OFF THE MAP」鑑賞


ABCの新作ドラマで、「グレイズ・アナトミー」のプロデューサーによるジャングル版「グレイズ・アナトミー」。

ちょっと暗い過去を持つ3人の若き医師見習いたちが、新天地を求めて南米の僻地にある医療施設にやってくるものの、そこはろくな医療設備や薬も揃っておらず、即興での手術が求められるような大変な場所だった。おまけに現地の住民との意思疎通もうまくいかず苦労するばかり。それでも彼女たちはそこでの経験を通じて成長していくのだった…というような話。

「グレイズ」同様に、一見すると医療ドラマのようだけど実はメロドラマでしたという作品。ワイルドなイケメン医師(シャツの着替えシーンあり)を筆頭に、彼の相棒である賢い黒人医師や母親的存在の女性医師、ちょっとビッチっぽい美人医師といったありがちな面子が揃っていて、彼らと3人の医師見習い(メリル・ストリープの娘もいる)のくんずほぐれつな人間関係が延々と描かれて行くであろうことは想像に難くない。

大自然の描写は美しいし(ただし撮影場所は南米でなくハワイらしい)、それなりに医療行為のシーンもあって、輸血用の血液が無いからココナツの液で代用したり、患者を思い出の場所に行かせたいからといって救急ヘリの出発を遅らせたりしてるんだけど、それって医者としてやって良いことなのかね。あと英語を話さない現地の住民たちを「なんか野蛮で不気味だけど、真面目に治療してあげれば心が通じる人たち」というように描いていたのはあまり好きになれなかったな。

個人的には「グレイズ・アナトミー」のどこが面白いのか全く理解できませんが、あれを好きな人ならこちらも好きになるんじゃないですか。本国での評判は悪いようなので長続きするかは微妙なところだけど。

「Bob’s Burgers」鑑賞


フォックスの新作アニメ・シリーズ。米iTunesストアでは「ファミリー・ガイ」のエピソードと抱き合わせという珍しい形で第1話が無料提供されてたんだけど、そこまでしないと観てもらえないと考えてるのか?

遊園地の近くでバーガー屋さん(隣は火葬場)を経営するボブの一家を主人公にしたコメディで、マヌケだけど気のいいボブを筆頭に、口うるさい妻のリンダや性格の暗い娘のティナ、いたずら好きの息子ジーン、活発な娘のルイーズたちが、客の不入りや当局の衛生検査などにもめげずに店をやりくりしていく姿を描いた内容になっている。

会話のテンポとかは結構よくて、意外と楽しめるところがあったりしたんだけど、いかんせん「シンプソンズ」や「ファミリー・ガイ」、あるいは「サウスパーク」が既に通った道をたどっているだけという感想は否めず。なんでフォックスのアニメ作品の家族構成はこうも似てるんだろう?あと幼児虐待や人肉食といったブラックなジョークも出てくるんだが、それで笑いをとりに行こうとするのって芸がないんじゃないの。

コメディ・セントラルやアダルト・スイムみたいなところだったらある程度人気がでたかもしれないが、地上波ネットワークではたぶんすぐに打ち切られるであろう程度の作品。「フューチュラマ」や「キング・オブ・ザ・ヒル」といった偉大な先人たちを超えるようなものでは決してないな。