地震

宮城あたりに比べれば関東の被害なんて微々たるものだが、あとで思い返すときの参考になるかもしれないので自分の経験を記しておきます。

最初の地震があったのは昼食をとったあとで、なんとなく揺れを感じながら歯を磨こうとトイレへ。そしたら揺れが半端じゃなくなってきて、トイレに入ってた同僚の人たちも青ざめた顔をして出てきて、そのまま一緒に非常階段で地上に向かうことに。うちの職場は高層ビルの20階あたりにあるんだけど、建物自体の揺れも加わるのかえらく揺れたんですよ。それで階段を20階降りるのにもかなりの時間と体力を費やしたわけだが、地上に着く頃には揺れが収まってたかな。外には既に多くの人たちが集まっていて、携帯でニュースをチェックしてる人たちの「宮城では震度7」という驚きの声を耳にする。付近では崩壊や火事などの被害はなし。ただ後で知ったけど近くの工事現場のクレーンが傾いたらしい。

しばらく外にいたけどコートもなくて寒かったし、片付けたい仕事もあったので非常階段を使ってまたオフィスへ戻ることに。安全点検のためエレベーターはすべて停止していた。揺れは収まってもビルがまだ揺れていて、壁とかがギシギシ音を立ててるのは非常に不気味でしたよ。壁のあちこちに亀裂がはいってたし、壁の漆喰もポロポロ落ちていたな。

それで汗かきながら20階ほど上ってオフィスに戻ると、すでに仙台では津波が発生し、車がゴミのごとく流されていく光景がテレビで報じられていた。なんかえらいことが起きてるなと実感しはじめてるときに、大きな余震が発生。最初のと同じくらい大きいものに感じられたけど、また地上に避難するのもイヤなのでオフィス内をグルグル歩きまわって対処。なんかこう、机の下にもぐるよりも、自分で動いて体を揺らしたほうが揺れに対処できるような、そんな感じだったんですね。

それから後はエレベーターや交通機関が止まってるのですぐに帰宅はできないし、ニュースやネットで災害の情報をチェックしながら、放心状態になりつつも仕事をいくつか片付ける。埼玉の実家には電話がつながらないので心配するが、一方ではネットが生きてるのでメールやツイッターなどで知人の安否を確認。こういうときのツィッターの効力はすごいですね。最新の情報がどんどん入ってくる。デマもずいぶん拡散されたようだけど。

そんなこんなで夜になり、交通機関は相変わらずストップしたままだったけど、家の状況なども心配だったので帰宅することに。幸いにもうちは職場から歩いて1時間ほどのところにあり、以前にも歩いて帰ったことがあるので不安はなかった。この日はジムに行く予定だったけど、こんな形で運動することになろうとは。非常階段を下りて地上に着くと、他にも多くの人たちが歩いて帰宅していた。駅の周辺とかも思っていたほど混雑してなかったかな。途中でメシ食ってこうかとも思ったけど、開いている店はどこも混んでいたのでそのまま歩き続ける。自宅の直前で実家から電話があり、両親とも無事であることを確認。

帰宅したら意外と部屋の中は乱れておらず、冷蔵庫の上の食器が落ちていたくらい。ガスも水道も電気も通じていたが、節電してくださいという東京電力のアナウンスがあったのでエアコンは控え目にする。カップラーメン食べて風呂に入ったらその日の疲れがどっと出て、早めに寝ることに。しかし余震で何度も目が覚めて、実に気分の悪い一夜でしたよ。

それで今朝起きたらふくらはぎが筋肉痛でしんどいことになってて、1時間歩いただけでこんなことになるのって情けないよなあ。この週末はコメディ映画を何本か観る予定だったけど、そんな気分でもないので、原発のニュースを気にしながら無作為に時間を過ごす。

まあいろいろあったけど自分の受けた被害なんて微々たるものでして、今回の地震で亡くなられた方のご冥福をお祈りします。また安否を気遣って連絡をいただいた知人の皆様、どうもありがとう。とりあえず今の自分にできることは節電ですかね。いずれ会社ぐるみで募金をすると思うのでその際にささやかながら寄付をしようかと思います。

「BREAKOUT KINGS」鑑賞


脱獄ドラマ「プリズン・ブレイク」のスタッフが贈る、新たな脱獄ドラマ…って他にネタは無いのかよあんたら。A&Eの新作シリーズだけどケーブル向けに作られたわけではなくて、どうも地上波ネットワークで拾われなかった番組を持ってきたものらしい。

狡猾な脱獄犯たちに頭を悩ませていた連邦保安官のチャーリーは、型破りな刑事のレイと組んで特殊チームを結成。犯罪者のことをいちばん良く分かるのは犯罪者だということで、女性詐欺師やギャンブル中毒の天才犯罪者といった3人の囚人を監獄から雇い、彼らの刑期を短くする代わりに彼らを使って脱獄犯の行方を追うのだった…というようなプロット。

お固い主人公とマイペース型の相棒に、それぞれ特技を持った3人組というキャラクター設定はあまり目新しいもんでもないよな。3人の囚人がそれぞれ白人と黒人と女性というのは「モッド・スクワッド」かと思ったぞ。ストーリーも凡庸で、型にはまった展開がずっと続くような感じ。5人もスタッフがいて1人の脱獄犯にどれだけ裏をかかれてるんだよ。あとこないだの「クリミナル・マインド」のスピンオフでも思ったけど、本部で留守番してるコンピューター係の女の子ってどうにかならんかね。コンピューターをちょっといじくるだけで重要な手がかりがボロボロ出てくるというのは、どうも捜査の醍醐味を壊してるんじゃないかと。

見所があるとすれば、「ザ・ワイヤー」のハークことドメニク・ロンバルドッツィが準主役で出ていることか。やはり「ザ・ワイヤー」の役者を他の番組で観られることは嬉しいのです。あと最近いろんなドラマにキモメン役で出ているジミ・シンプソンも出てるぞ。

個人的に「プリズン・ブレイク」って何が面白いのかまるで分からなかったけど、これも同じようなクオリティの番組になりそうでちょっと心配。

「127時間」鑑賞


最初に言っとくとグロ注意。切断シーンはやはり痛いよ痛いよ痛いよ。デートで観たりするとちょっとしんどいことになるかも。

これを観る人の殆どがストーリーの展開および結末を事前に知っているだろうし、場所の移動などは皆無に等しい内容でありながら(だって人が5日間岩のあいだに閉じ込められる話だぜ?)、映画としてここまで楽しめる出来にしてしまった手腕はやはり凄いなあと。普通だったらどこかのケーブル局がTVムービー化する程度だったろうに。

以前にも書いたがダニー・ボイルっていま活躍中の映画監督のなかでも抜群の映像センスを持った人で、ミュージック・クリップ出身の監督たちとも違った独特のスタイルを誇っていると思うんだけど、前作「スラムドッグ・ミリオネア」ではその映像美が行き着くところまで行ってしまったような気がしたんだよな。そして今作も基本的にはそのスタイルが踏襲されているんだけど、話の展開自体はとても地味なので、それを映像美が補うことでいい感じの相乗効果が生まれている。自分の尿を飲むシーンをスタイリッシュに描ける監督というのはそういないだろう。

自分の腕を岩に挟まれて身動きできなくなった主人公の苦境と、彼の回想や妄想がカットバックする作りは「トレインスポッティング」でレントン君がベッドで寝込んでるシーンの雰囲気に近いかな。狭い岩間と、そこから見える頭上の青い空との対比などが非常に効果的。話を通じて主人公が大きく成長するような話ではないので「スラムドッグ」に比べると弱冠物足りない感じもするが、とても良く出来た作品ですよ。