「The Librarians」鑑賞

The Librarians, Season 1
TNTの新シリーズ。おれよく知らなかったんだけどノア・ワイリー主演の「ライブラリアン」というTVムービーが何本かあって、それのシリーズ化ということらしい。

舞台となるのはメトロポリタン公共図書館のはるか地下に位置する施設「ライブラリ」。そこでは施設自体が意思を持つとされ、魔法が世界を覆っていたころに作られた数々のアイテムが世界中から集められ、保管されていた。ライブラリに招かれたフリン・カーセンはそこの「ライブラリアン」としてアイテムを探す仕事をしていたが、ライブラリの宿敵であるサーペント団がフリン以外のライブラリアン候補たちを暗殺し始めたことから、フリンは生き残った4人の男女を集め、サーペント団の野望を打ち砕くべく、まずは失われたアーサー王の冠を探しに向かうのだった…というようなプロット。

「ライブラリ」はインディ・ジョーンズに出てくる「倉庫」みたいに聖櫃とか聖杯などが保管されてるのですが、TVシリーズということもあって雰囲気はむしろ「ウェイアハウス13」とか「レリック・ハンター」に似てるんじゃないかな。軽いノリの内容になっていて、突然オクラホマに忍者軍団(黒マスクをしてるだけ)が登場したりしますが、サクッと観る分には楽しめる内容かと。

TVムービーから続けてノア・ワイリーがフリン役を演じているけど、彼はまだ「フォーリング・スカイズ」の撮影が残ってるのであくまでもゲスト役であり、新たに招集された4人のチーム(肉体派のリーダー、共感覚を持った天才少女、百科事典並みの知識を持ったカウボーイ、および盗みのプロ)が主役になるみたい。うち肉体派のリーダーを演じるのがレベッカ・ローミンなのだが、彼女の格闘シーンは結構タルいのよな…足が上がってないのだもの。「Xメン」で見せた身体のキレはやはりスタントによるものだったか。

TVムービーのほうは日本でもDVDが出ているようなので、いずれどこかの局でも放送されるんじゃないですかね?

「MARCO POLO」鑑賞

LorenzoRichelmy_MarcoPolo
ネットフリックスが100億円近い予算をかけて、ワインシュタイン・カンパニーと作ったオリジナル・シリーズ。

名前のとおりイタリアの商人のマルコ・ポーロがアジア東部を旅した話をベースにしたもので、撮影はカザフスタンやマレーシアで行なわれたみたい。商人の父を持ったマルコは彼とともにシルクロードをはるばる旅し、当時盛大な帝国を築いていたクビライ・カーンのもとへと赴く。そこで彼は父親に売られるような形でクビライの家来となり、徴税士となって帝国のあちこちの出来事を目にすることになるのだった…というような物語。

あちらのメディアではよく「ゲーム・オブ・スローンズ」との比較がされていて、まあ確かに宮廷内の人間関係とか、まだモンゴル帝国に降伏してない西安への侵攻にまつわる駆け引きなんかは「スローンズ」を意識してるんだろうなあという感じ。「スローンズ」ほどではないがおっぱいも出てくるものの、なんか女性がみんな色仕掛けの道具みたいな描写がされているのが気になったな。全体的な東洋の描写もちょっと気になるところがあるけど(道場とか)、おれ当時の歴史に詳しい訳ではないので何とも言えませんな。

冒頭では中国語やモンゴル語やイタリア語が飛び交うものの、クビライが突然流暢な英語を話しはじめ、それから先はアジア人がみんな英語を話すという展開はまあ大目にみましょう。その一方でマルコ役のロレンゾ・リーケイルミーはイタリア人なのでこの役のために英語を学んだのだとか。アジア人の役者としてはベネディクト・ウォン、リック・ユネ、ジョアン・チェンといった有名どころが出てるけど、日系の人はいないかな?たぶんジパング(日本)はストーリーに絡んでこないでしょう。

ネットフリックスは例によって全10話を一気に提供開始したものの、第1話を観た限りではなんかまどろっこしい宮廷ドラマが続いているようで、「ゲーム・オブ・スローンズ」というよりも「金のかかった華流ドラマ」といった感じ。本国での評判もイマイチみたい。ネットフリックスは今後もオリジナル・シリーズの制作に力を入れていくようだけど、人気のある原作の映像化とかを試みた方が無難なんじゃないのかなあ。

「LASTDAYS」鑑賞


キャスリン・ビグロー姐さんによる3分ほどの短編で、象牙の密輸がもたらす被害を訴えたもの。公式サイトはこちら

綺麗な象牙の加工品が買われるところから始まり、時間をさかのぼってそれが密輸され、テロリストから売られ、象たちが象牙のために虐殺されていくさまが描かれていく。それに諸々のメッセージが重ねられるのだが、主なものを挙げると:

・希少動物の密輸は、銃や麻薬などについで世界4位の密輸ビジネスになっている。
・象牙の密輸によって得られた収入は、ボコ・ハラムやジャンジャウィードといったテロ集団の資金源になっている。
・15分に一匹の割合で、象が殺害されている。
・あと11年もすれば野生の象は絶滅する可能性がある。

といったもの。アニメーション作品なんだけど、途中でナイロビのショッピングモール襲撃のフッテージが挿入されてるところがビグロー作品っぽいかな。

冒頭で象牙の加工品が買われるのは(たぶん)中国なんだけど、日本だって象牙のハンコが普通に売られているわけだし(「うちの店は許可を得てます」と謳ってるけど、象牙を扱ってることに変わりはないよね)、我々としてできることは象牙の需要を無くすことかと。

「State of Affairs」鑑賞

State of Affairs, Season 1
「グレイズ・アナトミー」でちょっと人気出たので、契約途中にも関わらず番組を足蹴にして映画のほうに進出したものの、あまりヒット作に恵まれなくてテレビ業界に戻ってきた(と俺は聞いている)キャサリン・ハイグル主演の新シリーズ。

CIAのアナリストであるチャールストン(チャーリー)・タッカーは、機密文章である「大統領日報」に掲載する案件をとりまとめ、大統領に毎朝提出する業務を担当していた。この日報によって大統領はその日の最重要課題を知り、必用な処置を命じるために、日報に何が掲載されるかが政局を大きく動かすことになるのだ。そして彼女のもとに、ケニアでアメリカ人の医師が誘拐されたというニュースと、テロ組織のリーダーが目撃されたという情報が入ってくる。医師の救出とテロリストの捕獲についてどちらも100%の確証が持てないなか、どちらを日報に入れるべきかチャーリーは悩むのだが…というようなプロットが第1話。

これ単にどちらも報告して、大統領の指示を仰げばいいんじゃね?と思うのだが、まあそれをやったらドラマの醍醐味がないということで。大統領日報(PDB)は確かに非常に重要な情報が記された文章であるらしいのだが、それを編纂する主人公にやけに強大な権限が与えられているような。テロリストを目撃したと報告した軍部に対して「もっと確証を高めてから連絡して!」とはねのけてるし、CIAの元知り合いを使って海外の首脳のボディチェックをやらせたりと、もう何でもやり放題。そんな彼女を快く思わない上司や軍人からは「それお前の業務じゃないだろ!」と怒鳴られてるのですが、その通りですハイ。

どんな機密文章だろうと日報の編纂なんて退屈なデスクワークだと思うのだが、書類をカバンにつめて外出するシーンにまでサスペンス音楽をかぶせていて、いろいろ盛ってんな、という気にならざるを得ない。あと大統領(アルフレ・ウッダードだ)の息子がチャーリーの婚約者だったのだが、1年前に海外の任務において死亡するという事件が起きており、その裏には何があったのか?というのがシリーズを通した謎になるみたい。

まあ全体的に凡庸なドラマですかね。キャサリン・ハイグルもテンパった演技をしているだけだし、本国の評判もあまり良くないようなのでそんなに長続きはしないかと。

「インターステラー」鑑賞

interstellar-poster
封切りしたばかりなのでネタバレにならぬよう感想をざっと:

・アンチの声は気にするな。あれだけハードなSFをきちんとブロックバスター映画に仕上げたノーランの手腕は評価されるべき。

・とはいえ科学や物理に疎い俺でも「あれ?」と思うようなプロットの穴がワームホールのようにぽっかり開いているわけですが、細けえことはいいんだよ!

・ただしこの話って「2001年宇宙の旅」でやったことだよね?と思ったことも事実で、キューブリックがクラシック音楽とアシッドトリップ(みたいなもの)で抽象的に描いていたものを、下世話にオルガンをガンガン鳴らしてやり直した、と思われても仕方あるまい。

・マン博士って名前から勝手に中国系かと思ってたら、あの人が頭脳明晰な科学者でしたかそうでしたか。

・一家のうち父親だけがテキサス訛りで話すってことありえるのかな?子供たちも影響受けたりしない?

繰り返すが「ダークナイト(特にライジング)」同様にツッコミを入れようと思えばいくらでも入れられるのだが、安直な大作でなく考えさせられる映画を作って客を集めてるクリストファー・ノーランはちゃんと評価されるべきであろう。一見の価値は或る作品ですよ。