「TRINITY」鑑賞

架空の名門大学を舞台にしたイギリスのドラマ。

900年もの長い歴史を持つブリッジフォード大学は、今まで数多くの有力者たちを輩出してきた由緒ある大学だった。そこで新たなる学期が始まり、カレッジの1つであるトリニティ・カレッジにも様々な新入生たちがやってくる。そのうちの一人、シャーロットは父親もトリニティの出身でそこの教授も務めた人物だったが、謎の理由で突然そこを離れ、2週間前に他界したばかりだった。ほかにも成績優秀の黒人青年セオや、マリファナばかりやってるラージやアンガスといった連中が新入生としてやってくるのだが、トリニティでのクラブやイベントは上流階級の子息が取り仕切っており、彼らのような一般家庭出身の学生たちはろくに見向きもされないことを思い知らされる。その一方では新しい学長がトリニティに就任するのだが、その裏では古参の教授たちがよからぬ目的を抱えて暗躍していた。そしてトリニティにはさらなる暗い秘密があった…というような話。

第1話を観た限りではよく分からないんだけど、トリニティの奥深くでは怪しげな科学実験が行われていたり、殺人が起きたりといろいろ謎めいた展開になっていくらしい。でも話の大半は若者の乱痴気騒ぎの描写に費やされていて、みんな見境なくパコパコやってるような。「ゴシップ・ガール」のようなドロドロとしたメロドラマにしたいのか、「ドクター・フー」のようなミステリアスなものにしたいのか、どうもどっち付かずの感が否めず…。アメリカのドラマがイギリスのものよりも圧倒的に上手な点があるとすれば、若者がセックスしてる映像を巧妙に茶の間に届けられるところなので、そういうところで勝負に出てもアカンよな。

俺はむかしイギリスのケンブリッジに住んでたので、こういう名門大学の描写などは比較的懐かしい気持ちで観ることができましたが、次の話も積極的に観たいという気にはならなかったな。イギリスのドラマだったらこれよりも優れたものが他にたくさんあるんじゃないですか。

「GLEE」は年齢的に成長できるのか?

こないだ日本でも放送開始された「GLEE」は俺の周囲でも評判が上々で、このブログにも番組絡みの検索でやってくる人がずいぶん増えたんだけど、「「GLEE」は年とったらどうなるのか?」という記事がヴァラエティ誌に掲載されていた

これは「「GLEE」はヒットして第2シーズンの製作も決定してるけど、時がたつのに合わせて登場人物たちが年をとっていくわけで、やがて彼らが高校に通い続けるのは無理があるようになってくるのではないか?」というような趣旨の記事。まあキャストが年とってくるにつれて高校生を演じ続けるのが難しくなってくるのは今まで作られたどのハイスクール・ドラマも直面してきた問題なわけで、まだ半シーズンしか放送されてない「GLEE」にこんなこと言うのは大きなお世話のような気もするけど。

従来のドラマは舞台を大学に移すとか(「バフィー」がそうだったはず)、キャストを番組からも卒業させて新しい面子を加える(「FRIDAY NIGHT LIGHTS」など)なんて方法を使ってきたけわけだが、「GLEE」の場合はもう1つ難題があって、それはあの番組が基本的に「グリー大会を勝ち進んでいく」内容だということ。主人公たちが地区大会や州大会とかを勝ち進んでいく姿は観ていて楽しいけど、じゃあ頂点(全国大会?)まで行ってしまったらその後どうすんのよ、というのは誰もが感じている不安だろう。かといって次の大会までの時間をダラダラ引き延ばしていたら視聴者が飽きてしまうだろうし、途中の大会で敗退してしまうという展開はあの番組の性質上考えにくいな。

もちろんまだ始まったばかりのシリーズについていろいろ案じても意味はないんだが、人気のあるうちは話を続かせなければならないのが地上波ネットワーク番組の辛いところか。少年ジャンプの漫画などと違って役者たちはどんどん年とっていくし。そんなことを考えつつもシーズン後半の展開に期待する次第です(ビートルズやるのね)。

「ARCHER」鑑賞

カートゥーン・ネットワークで「FRISKY DINGO」を作ってたスタッフによる、FXネットワークスの新作アニメ番組。

基本的には60年代のスパイ映画のパロディになっていて、主人公のスターリング・アーチャーは秘密諜報組織「アイシス」に務めるエージェント。スパイとして最低限のスキルは持っているものの、ドジで女たらしでヘマばかりやっているエージェントで、組織の金を使って酒ばかり飲んでいるような人物。アイシスの長官である母親にも蛇蝎のごとく嫌われ、同僚ともドタバタばかりやっているアーチャーだが、与えられた任務は奇跡的にもどうにかこなしていく…といった感じの作品。

下ネタ満載のジョークとかシュールな展開はカートゥーン・ネットワークのアダルト・スイムの作品群そのまんまで、なぜそれをFXで放送するのかという疑問は残るが、個人的にはこういうスパイもののパロディは好きなのでそれなりに面白かった。この形式のアニメで20数分という尺は弱冠長く感じられて、アダルト・スイムの多くの作品のように15分程度の方が良いように思われるものの、次から次へとジョークが連発されるおかげで観ていて飽きはしない。声優はジュディ・グリアーやジェシカ・ウォルターなど「アレステッド・ディベロップメント」絡みの役者が務めていて、特に後者はキャラクターのデザインも本人そのまんま。

やはりFXの作品としては異色な気もするが、それなりに面白い作品ですよ。

「The Ricky Gervais Show」鑑賞

HBOの新番組で、リッキー・ジャヴェイス&スティブン・マーチャント&カール・ピルキントンによる大人気ポッドキャストにアニメーションをくっつけたもの。アニメ製作はワイルドブレイン…って久しぶりに聞いた会社だなあ。このために新しいポッドキャストを収録したりはしてなくて、過去のものをまんま流用してるみたい。

俺は彼らのポッドキャスト(およびオーディオブック)のファンなので今までのエピソードはみんな聴いてるのですが、音声だけで彼らがスタジオで愉快に話している姿を想像するのと、こういう映像付きで彼らの話を聞くのってものすごく感触が違うのですよ。これって全てのポッドキャストやラジオ番組に言えることだろうが、音声だけのほうが想像力を掻き立てられるわけで。カールのボケを聞いて爆笑するリッキーの姿なんて音声だけのほうがずっとワイルドに聞こえるんだよな。

まあでも内容は面白いので、彼らのポッドキャストを聴いたことのない人たちにとっては、良い入門編的番組になるんじゃないでしょうか。HBOの番組にしては異様にチープなのでいつまで続くかは分かりませんが。

「PAST LIFE」鑑賞

フォックスでいつの間にか始まっていた新作ドラマ。輪廻転生について扱った本をベースにしたもので、前世の記憶が甦って困っている人たちを、転生に詳しい女性心理学者が助け、前世で彼らの身に何があったのかを解明していくというような内容の作品。

たとえば第1話では十数年前に女の子が誘拐されて殺され、その次の月に誕生した男の子が彼女の生まれ変わりであることが明らかにされて、彼女の殺人犯が逮捕されるわけだが、これが100年前の人の生まれ変わりだったらどうするのかとか、遠い国の人が転生してたらどうよとか、前世の記憶という証拠で逮捕状がとれて、おまけに機動隊まで導入できるのかというツッコミどころが満載。いくらフィクションとはいえ、ここまで信憑性がないと観てて疲れてしまう。俺は「ミディアム」とか「ゴースト」とかって観たことないんだけど、あれらも似たようなものなんですかね。

主人公の心理学者ははっきりいってブス。「フリンジ」もそうだけど、なんでこういうブスを主役にもってくるんだろう。その彼女の相棒を元警官の男性が務めるんだけど、「俺はむかし妻と一緒に海へ行って、彼女に飛び込みを勧めたら首の骨を折って死んでしまった。その時から俺は悲しみを抱えて生きてるんだ」なんて言って人の同情を得ようとしてやんの。バカかお前は。2人の上司を演じるのは「ザ・ホワイトハウス」の名優リチャード・シフだけど、背後でオロオロしてるだけで見せ場はなし。

さらには「ザ・ワイヤー」でデューキーとシドナーを演じた役者がそれぞれ出てくるんだが、どちらもコマ送りしないと顔が分からないくらいのチョイ役。とくに後者に至っては「SWAT#2」なんていう役名でザコ同然の扱い!「ザ・ワイヤー」で強烈な印象を残した役者たちが他のドラマでは脇役以下の扱いを受けるのは今にはじまったことじゃないが、俺は怒るよ!

まあ本国の評判は押し並べて悪いようなので、暖かくなるころには打ち切られているんじゃないですかね。輪廻転生というテーマにどこかのキリスト教団体がクレームつけてきたら面白くなりそうなものだけどさ。