「NAPOLEON DYNAMITE」鑑賞

あまりにも非道くてここには名を出すことも憚られる邦題を持った映画「NAPOLEON DYNAMITE」を鑑賞。やはりダメ男が主人公の映画は他人事とは思えんなあ。

まずあのユルさが素晴らしい。近所のビデオ屋で安売りされてた20年前の無名映画をVHSで観ているような、80年代フレーバーに溢れたあの感覚は何なんだろう。カッコ悪い主人公に感情移入させつつも、変に心の葛藤とかを描いてウェットな内容にせず、絶妙な距離をおいてキャラクターを眺めているところが巧いな。主人公や仲間たちだけでなく、学校の人気者たちも結局はみんなチープな田舎者だというのが異様に斬新でもある。去年青森に行ったときも思ったんだけど、車がないとどこにも行けない土地に住む高校生の青春というのはいろいろ面白い題材になるんじゃないのかな。

あの邦題のために日本ではイロモノ扱いされてる作品だけど(俺も同僚に見せたら笑われた)低予算ながらも優れた作品なので多くの人に観てもらいたいもんです。ちなみにアメリカでは人気が高じて今度TVゲーム化されたらしいぞ。何だそりゃ。

新「スター・トレック」映画のキャスト

J・J・エイブラムスってなんか好きじゃないんで(喰わず嫌いですが)、彼のリメイク版「スター・トレック」もあまり興味はないんですが、スールー役が「ハロルド&クマー」のジョン・チョウで、スコッティ役がなんとなんとサイモン・ペッグに決まったと聞くと、異様にオタク心をくすぐられるよなあ。こうなるとクリストファー・パイク役がブルース・キャンベルだったりしたら神なんだが。

「ストーリーテリング」鑑賞

トッド・ソロンズの「ストーリーテリング」を鑑賞。冒頭からセルマ・ブレアーのおっぱいが拝めてラッキー、といった感じ。もっと豊満なイメージを俺は勝手に抱いてましたが。「ダーティ・シェイム」のせいかな。

まあ確かに観ててかなりシンドイところのある作品ではあった。2部構成になってて、第1部は大学における理想と現実の冷酷な衝突という内容が「アートスクール・コンフィデンシャル」に通じるものがあるな。現実をもとにした小説なのにフィクションとしてしか見なされない、というポイントはなかなか興味深い。

そしてポール・ジアマッティがドキュメンタリー作家を演じる第2部は、こないだの「AMERICAN MOVIE」へのアンチテーゼとして作られたという話を聞いたんだが、あまりそれらしきメッセージは感じられなかったかな。マーク・ボーチャートの相棒を出演させてるあたり、かなり意図的なものがあるんだろうけど。撮影の対象をドキュメンタリー内でバカにすんな、ってことですかね。

キツい内容を絶妙なブラック・ユーモアで包んでいた「ハピネス」に比べると直球勝負に出過ぎているような感があるけど、希少価値を持った作品であることは間違いない。北米版のトレーラーではソロンズの意向により第1部からの映像を一切使用してないんだけど、商業的にここまでトンガった監督はそういませんぜ。普通だったらセルマ・ブレアーを使って客の気を引きそうなもんだけどね。

「ALIENS IN AMERICA」鑑賞

THE CWの新作シットコム「ALIENS IN AMERICA」をiTunesストア経由で鑑賞。SFっぽい題名だが、ここでいう「ALIEN」とは外国人のこと。ウィスコンシンに住むいじめられっ子のジャスティンの家庭に、交換留学生としてムスリムのパキスタン人であるラジャが住むことになり、ジャスティンは学校でさらに居心地の悪い立場におかれるものの、すぐに2人のあいだには友情が芽生えて…といった設定の作品。ラジャを見てうろたえる周囲の人々の姿がなかなか笑える。全体的な雰囲気は「マルコム・イン・ザ・ミドル」に似てるかな。ジャスティンのナレーションが多すぎる気がするけど。

まあ「政治的に正しい」内容を保ちつつも、どこまでエッジの効いたコメディにできるかが今後の課題だな。本国の掲示板とかではムスリムの描写よりもウィスコンシンの描写のほうが論議になっているみたいですが。こういうテーマの作品には頑張って欲しい反面、21世紀になってもまだ「異なる文化のズレ」で笑いがとれるってのはなんか悲しい気もするのです。