「ANIMAL KINGDOM」鑑賞

Animal Kingdom, Season 1
オーストラリアの同名映画(日本でも公開?)を元にしたTNTの新シリーズ。

ヤク中の母親がオーバードースで死亡したため、17歳のジョシュアは仕方なしに疎遠になっていた祖母(「スマーフ」の愛称で呼ばれている)のところに連絡し、彼女と3人の叔父たちのところに移り住むようになる。しかし彼らは強盗などを行って生計を立てている一家であった。さらに出所したばかりのもう一人の叔父ポープにジョシュアは目をつけられ、犯罪の手助けをするように強要されるのだった…というあらすじ。

元の映画は見てないのですが、ウィキペディアのあらすじを読む限りではかなり映画に近い内容になってるのかな?舞台は当然ながらオーストラリアからカリフォルニアに移っているが、昼間からビール飲んでサーフィンやったりして遊んで、その一方で結構えげつない犯罪に手を染めたりしてる一家の姿がリアルに描かれてます。

荒くれ者の叔父たちを統括してるのが一家の母親であるスマーフで、演じるのはエレン・バーキン。祖母なんて演じられるような年齢だったっけと思ったら実際にそんな年齢でした。もともと下町育ちのタフな女性という感じだったから、優しいようで情け容赦ない母親の役がよく似合ってます。あとの出演者はあまり知られてない人ばかりかな。

しかし設定がテレビシリーズに向いていないような気がするのだが、そこはどうするんだろうね?映画は2時間ほどで結末を持ってくることができるが、テレビではジョシュアが一家のなかでしんどい目に遭う展開が何話も続くとは思えないし…まあプロデューサー(および第1話の監督)はベテランのジョン・ウェルズなので、そこらへんはきちんと考えてるんでしょう。少なくとも第1話は手堅い作りの作品であった。

「X-MEN:アポカリプス」鑑賞

cf7kkqeuuaeqame
アメリカで見てきた。27日公開でも東海岸が27日になってれば西海岸では26日に封切りされるの?日本公開は8月なのでネタバレしないように感想をざっと:

・本国では批評家の評判が悪くて、なかには「ファイナル・ディシジョン以下」という評もあったので覚悟しながら観たけど、何のことはなく普通に楽しめる作品であったよ。

・そりゃミュータントが狩られるなか、政治的不安を背景にエグゼビアとマグニートとミスティークの思想を絡め、さらに過去と未来の姿を描いた傑作だった前作に比べれば出来は劣るよ。大人が主人公だったあちらに比べて、こっちは少年少女が主体の映画だもの。だから変に期待せずに気楽に観ればいいんじゃないですか。

・悪い点を先に言っておくと、やはり悪役にアポカリプスを持ってきたところ。コミックでも図体デカくて威張ってる割にはいまいち何をしたいのかよく分からない奴なのだが、今回も石の下敷きになって何千年も無力だったのが突然目覚めて世界に新しい秩序をもたらそうとするあたり、なんか迷惑なオッサンだなという感じは否めない。ミュータントであるXメンたちに脅威を与える存在でないと悪役としての魅力は半減してしまう。さらにコミックと違って普通の人間サイズなので、どうもみみっちい感じがするんだよな。これは「デッドプール」のコロッサスみたいに巨大なキャラにすることはできなかったのか。

・その一方では人気のあるキャラクターの立て方が見事で、クイックシルバーの活躍シーンなんて前回以上に痛快だし、基地で出てくるあいつの格好なんてオールドファンが泣いて喜ぶような姿ですからね。各キャラクターの掛け合いなんかはやはり監督が手馴れているなあと。

・あまり強そうでなさそうで実は強いアポカリプスを倒すために最後はアレが出てくるわけですが、やはりそうする必要があったんだろうな。当然あるエンドクレジット後のシーンの展開(原作知らないと解りにくいかも)と掛け合わせると、次作(あるいはウルヴァリン3)はアレとあいつが戦う内容になるのだろうか。

・エンドクレジットといえば、コミック業界の人たちってクレジットに載ってたっけ?俺は気づかなかったよ。

・前述のクイックシルバーが主役を食っているのは別として、生徒たちが活躍するためかマカヴォイ/ファスベンダー/ローレンスの3人のシーンは前回よりも少なめ。新しいキャストもそんなに強烈な演技をしているわけでもなく、演技面は全体的に薄いかな。オスカー・アイザックなんてすごくいい役者だけど、やはりアポカリプスの重厚なメークの下では強烈な印象を残せず。オリビア・マンのサイロックも宣伝されてるほど活躍してないものの、今後の「Xフォース」で再登場するのかな?あとソフィー・ターナー演じるジーン・グレイの訛りが気になったのだが、あれはオランダ訛りという設定か?

・今回は夫婦で出演されております。

・先月の「シビル・ウォー」と比べる向きもあるようだけど、あちらは新しい展開への布石を敷いていたのに対し、こちらはいちおう三部作の締めくくりということで、別に比較しなくてもいいんじゃないかと。十分に面白い作品。

機内で観た映画2016

アメリカ出張に行ってたので、飛行機のなかで観た映画の感想をざっと:

「カンフー・パンダ3」:最強の敵がやってきて、最初は主人公が苦戦していたものの、意外にも奥義を習得してやっつける、というパターンを三たび繰り返しているだけでは…ロールプレイングゲームとかもそうだけど主人公が「選ばれし者」だという設定っておれ嫌いなんだよな。アニメーションの出来はよくてストーリーテリングも手馴れているだけに、もっと新しいことやってほしかった。自分の子供3人をしっかり声優に起用させてるところにアンジェリーナ・ジョリーの親バカっぷりが伺える。

「アーロと少年」:ピクサー作品、もといディズニーアニメにしては珍しく登場する動物が微妙にグロくて、小動物は肉食動物にムシャムシャ喰われるし、酒?に酔って気色悪い幻覚を見たり、さらには放尿シーンがあったりと、ちょっとだけ大人向けの作りになってるのですが、じゃあ話が面白いかというとそうでもなく。迷子の帰郷って「ファインディング・ニモ」がずっと上手くやってしまったからなあ。そもそも首長竜に農耕をさせるというコンセプトがよく分からんのよね。

「Concussion」:アメフトの衝突が脳に与える悪影響について検証し警告した実在の医師をウィル・スミスが演じているのだが、もはや彼はセレブとしての印象が強いため、真面目に演技しようとすればするだけ逆に空回りしているような感は否めない。脇をベテラン中年の俳優陣で固めているのもスミスとしっくり合ってないような。主人公の生活にではなく、脳への悪影響の説明や、NFLが彼に仕掛けてきたという嫌がらせにもっと焦点を当ててれば面白くなっただろうに。

「ズーランダー No.2」:前作はそんなに好きではなかったけど、これはコメディとアクションがあって気軽に観るぶんには楽しめる作品では?ペネロペ・クルスを加えたのが良かったですね。あとはハリウッドとファッション業界のセレブがいろいろチョイ役で出てくるのを楽しむわけだが、ニール・デグラス・タイソンって彼らに匹敵するセレブになったんだなあ。

「ビクター・フランケンシュタイン」:最後にクレジットを見て気づいたのだが、これ脚本がマックス・ランディスだったのか。しかし手垢のついた話が進んで行くだけで、さほど面白いとは思えず。セットも立派だし、出演者も体をはって演技してるのに、なんか報われてないのよな。「アメリカン・ウルトラ」も凡作だったが、マックス君はコメディ・アクションでなく「クロニクル」みたいな真面目な若者向け作品を書いたほうが良いのではないか?

あとは「オデッセイ」の各シーンをつまんで観ても十分面白いことに気づく。中国との「スターマン」や最後の「アイアンマン」のところ、あるいはリッチ・パーネル・マヌーバーの説明とか。1つの問題がテンポよく解決される構成になってるんだよな。

なお今までは飛行機で提供される映画って、キワどい内容は編集されてスクリーンの画角も修正されてたけれど、今回の便では「この作品の内容は修正されてません。気をつけて視聴ください」みたいな断り書きがついているものが多かった。これはこれで良いことかと。エッチなシーンを見てるのを周囲の乗客に気付かれるのは恥ずかしいでしょうが。

「PREACHER」鑑賞

amc-preacher-series-trailer-1
アメリカでも今夜初放送ですが、某所で第1話を観てしまったので。日本でも近日やるそうな。

原作のファンだというセス・ローゲンとエヴァン・ゴールドバーグが頑張ってシリーズ化にこぎつけた作品だが、内容はコミックと結構変わってたりもする。チューリップが黒人になってるのはいいとして、キャシディはサングラスをよく外すし、吸血鬼を狙う組織?に追われているという設定みたい。またロードムービー的な要素が無くなっていて、主人公のジェシー・カスターは地元の町で牧師の業務を続け、彼の能力を狙った天使たちが町にやってくるというような内容になっている。まあ第1話ではセイント・オブ・キラーズやザ・デュークといった主要なキャラクターも出て来ないわけだが、さすがにジェシーが生まれた農場とかには旅するよね…?

まあこれだけ原作と違うとそれなりの不安を抱いてしまうわけですが、上記したように原作を熟知してる人たちが製作に関わってるわけで、まあ原作のエッセンスは保存されてる、ということに期待しましょう。キャシディの度を越した暴力描写などは原作に近いし、テレビ映えもするかと。あとはアースフェイスが特殊メークによって見事にアースフェイスなのですが、こちらはテレビ映えしないだろうな。

主役を演じるドミニク・クーパーはかつて「エージェント・カーター」でハワード・スタークを演じてたりしたが、ジェシー・カスターの雰囲気(ちょっと切れ長の目とか)をうまく出していていい感じ。キャシディ役のジョセフ・ギルガンは「パレードへようこそ」などにも出てたが、もともと「ミスフィッツ」とかでサイコな役を演じてたのですね。チューリップ役のルース・ネガもアイルランド育ちということで、主役3人はみんなアメリカ人ではないのか。

同じ局の「ウォーキング・デッド」に比べ、原作を知らないととっつきにくい部分が多々あるため、あれほどのヒットにはならないと思う。とはいえそれなりに話題になって、ガース・エニスの他のコミックが多くの人の目に触れられることを期待します。

「OUTCAST」鑑賞

outcast-poster-69b4b
「ウォーキング・デッド」が大成功して、いまやコミック・ライターというよりもハリウッドの売れっ子という感の強いロバート・カークマンのコミックを原作にしたシネマックスの新シリーズ。おれコミックは第1話だけ読んだけどあまり覚えてないな…。最初のエピソードが放送前にyoutubeなどで公開されたのだが、オープニング・クレジットで「エグゼクティブ・プロデユーサー」「原作者」「クリエーター」「脚本」と4回続いてカークマンの名前が出てくるのを見ると、ロバート・カークマンというのが一つのブランドになったということを実感しますね。

舞台となるのはアメリカの片田舎のロームという町。カイル・バーンズは妻子の元を離れてこの町の実家に戻り、近所に住む妹(姉?)の半ば強制的な援助を受けつつ、廃屋と化した家に一人で籠っていた。しかし町の少年が悪魔に取り憑かれ、アンダーソン神父が悪魔祓いを試みているという話を耳にした彼は、神父を助けるために少年の住む家に向くのだったが…というようなあらすじ。

カイルは悪魔を退散させることのできる能力を持っていることが示唆されるのだが、ジョン・コンスタンティンみたいに手際よく魔術を行うわけでもなく、なんか戦ってるうちに悪魔が去っていく、みたいな感じ。カイルの母親や妻もかつて悪魔に憑かれていたという事実や、悪魔たちが何か大きな出来事を画策しているようなことが仄めかされるものの、ここらへんは話を追って明らかにされていくのでしょう。

カイルを演じるのは「あの頃ペニー・レインと」のパトリック・フュジットで、アンダーソン神父役は「Life on Mars」のフィリップ・グレニスター。彼がアメリカの番組に出るのはこれが初めてかな?あとはレグ・E・キャシーなんかが出てます。エンドクレジットにはザ・キュアーの曲が使われてるがなんか似合わなかった。

今年は「エクソシスト」もテレビシリーズ化される予定だが、こっちのほうが有料ケーブル局なので過激な描写が多いのかな。冒頭から子供がゴキブリをむしゃむしゃ食べたり、悪魔に憑かれたことで大人にビシバシ殴られたりと、なかなかしんどい描写があります。全体的に手堅い作りになっているものの、映画のほうではこういうエクソシズムものが流行ってるわけで、あまり目新しさは感じられなかったな。「ウォーキング・デッド」並みのヒットになるとは思えないが、とりあえず今後の話の展開次第では面白くなる可能性もあるんじゃないかと。