「Richard Stark’s Parker: The Hunter」読了

昨年他界したドナルド・E・ウェストレイクがリチャード・スターク名義で執筆した犯罪小説の「悪党パーカー」シリーズの第一作「悪党パーカー/人狩り」を、「DC: The New Frontier」など優れた作品を出しているダーウィン・クックがコミック化したもの。

ウェストレイク自身からアドバイスを受けながら製作していったという作品だけあって内容は原作に非常に忠実で、強盗のあとに妻と仲間に裏切られて瀕死の重傷を負った主人公パーカーが、あらゆる手段を使って冷酷に復讐を遂げていく姿が臨場感たっぷりに描かれていく。クリーム色の紙のうえに黒と青のインクを使ったスタイルがノワール感を引き立てているほか、「New Frontier」同様にレトロな設定の舞台はクックの得意とするところなので家具や衣装のデザインを見ているだけでも楽しい。

難点があるとすれば通常のアメコミよりも1まわり小さいB5版くらいのサイズなので、全体的にコマが窮屈な感じがすることかな。あとクックの画風だとどうしても人物がカートゥーン的になってしまうわけで、パーカーの描写は完璧なものの、原作だと悪役のマルなんかはもっと脂ぎった下劣な男のような気がしたし、娼婦のリンダはもっとヴァンプ的なイメージを抱いてたんですけどね(クックの描く女性に色気がないわけではないが)。こうした脇役のデザインについてもウェストレイクからの指示はあったのかな。

今後もクックは「悪党パーカー」シリーズのコミック化を行っていくそうなので大いに期待しよう。

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