「狩人の夜」鑑賞

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古典的傑作「狩人の夜」を観る。

いいなあ、こういう映画。何と言っても詐欺師かつ殺人鬼を演じるロバート・ミッチャムの演技が凄い。右手に「LOVE」左手に「HATE」というイレズミをした彼が、黒のスーツにパリッと身を固めつつ、バリトンの効いた声で信仰について語りながら善良な人々を騙していくさまは実に圧倒的。天性の詐欺師というのはこういった感じで人を欺いていくんだろうね。

彼の毒牙にかかる寡婦のシェリー・ウィンタースもこの頃は若くて非常に綺麗。ミッチャムの犠牲となり湖の底で冷たくなってゆらぐ姿も妖しく見えるほど。彼女がいなくなって取り残された子供たちがミッチャムの魔の手から逃れる部分はちょっと中だるみするけど、後半になってからはライフルを抱えたリリアン・ギッシュとミッチャムによるせめぎ合いが見応えあり。単なる勧善懲悪の物語ではなく、子供に残る精神的トラウマなんかもうまく表現しているところもいい。

あと照明の使い方も非常にうまくて、特に寝室のシーンで尖った天井に映える光と影のコントラストがとても象徴的でいい感じ。こういう演出は最近のカラー映画では滅多に見られなくなっちゃいましたね。

「ONION NEWS NETWORK」始動

我らが「オニオン」がついにニュース・ネットワークに進出したぞ。その名も「ONION NEWS NETWORK」ことONNだっ。とはいってもケーブルチャンネルではなくて、ビデオキャストを始めたというだけなんだけどね。ホームページだけでなくiTunesストアでも無料で視聴できるようになっている。

すでに半年くらい前からはラジオニュースの形式でポッドキャストが行われていたけど、あちらはやけにテンションが高くて笑えたのに対し、こちらは「ライス長官が東方へ旅に出る」とか「メキシコ人の不法労働者がCEOの仕事を奪う」などといった、どちらかといえば脱力系のネタが中心になっているみたい。出演者が明らかに素人くさいのが難だが、徐々にこなれていくんじゃないの。

次はぜひ、以前にも噂のあった「オニオン・ザ・ムービー」の製作をやってほしいところです。

「BATTLESTAR GALACTICA」シーズン3終了

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WHAT THE FRAK???

XXXXXがお亡くなりになったかと思いきや、XXXXやXXがサイロンであることが判明したりして、とってもわけわかんない状態で幕を閉じたシーズン3。「見張り塔からずっと」???反則スレスレのクリフハンガーを仕掛けておきながら、それでも存分に興味をそそられる展開になっているのは立派。このシリーズの元来の醍醐味だった「誰がサイロンなのか」というプロットに戻ってきたのも個人的には好き。中だるみの激しかったシーズン2に比べて、シーズン3は比較的最初から最後まで話が引き締まってたんじゃないのかな。親に勘当されてカミさんに見捨てられるリーの愚直さが涙を誘う。

シーズン4もめでたく製作が決まったそうだが(しかも22エピソード)、開始されるのは来年って…俺らは話の続きを観るのに8ヶ月以上も待たなきゃならんのか?なんてこったい。なんか秋にはペガサスを舞台にしたTVムービーが公開されるようだけど、どんなものになるんだろう。一方ではプリクエルとなるはずだったシリーズ「CAPRICA」が製作されないかもしれないとか、BSG界隈のいろんなニュースが飛び交っているようだけど、とりあえずは首を長くして来年を待ちましょうか。またプロットが二転三転するんだろうなあ。

いっそのこと「みんなサイロンでした」というオチにすればいいのに。

「STARDUST」トレーラー

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ニール・ゲイマン&チャールズ・ヴェスによるイラストつき小説「STARDUST」の映画版のトレーラーが公開されていた

ヴェスの絵ってあんまり好きじゃないんで(嫌いでもないが)原作は読んだことないんだけど、なんか普通のアクション映画になってそうな予感…。ロバート・デ・ニーロにミシェル・ファイファー、ピーター・オトゥールにイアン・マッケランとキャストはやけに豪華だけど、どんなもんでしょ。お姫様がクレア・デーンズだというのが何か微妙かも。

アラン・ムーアやフランク・ミラーに引き続き、今度はゲイマンの作品がどっと映画化されることになるのかな。

「The Aristocrats」鑑賞

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超過激手品師コンビ「ペン&テラー」の片割れ…というよりもレジデンツやハーフ・ジャパニーズの協力者ということで俺が尊敬してやまないペン・ジレットが企画&製作したドキュメンタリー「The Aristocrats」を観た。

これは何十年も前からコメディアンたちの間で語られているという伝説的なジョークを扱ったもので、このジョークの基本的な構成は次の通り:

 1、芸能エージェントのところに、1人の男性がやってきて「うちは家族4人でパフォーマンスを披露するんです」と自己紹介する。

 2、「どんな芸をやるんだい?」と芸能エージェントが尋ねる。

 3、男が芸の説明をするか、もしくは家族と一緒に実際に芸を披露する。この芸は想像を絶するくらいに下品なもので、スカトロや近親相姦、獣姦など何でもありの、とにかく卑猥な芸として紹介される。

 4、驚いた(もしくは興味をもった)芸能エージェントが「それで君らの名前はなんていうんだ?」と尋ねる。

 5、男が陽気に「「貴族たち(The Aristocrats)」です!」と答える。

・・・ただこれだけ。これだけの構成をもとに、コメディアンたちは自分流のアレンジ(特に芸の説明の部分)を加えていくんだとか。内容が内容だけに当然ながらテレビとかでは披露できないジョークだから、楽屋でのウォーミングアップだとか仲間うちのパーティーなどで披露されるネタらしい。オチにたどりつくまでをいかに引き延ばせるかで技量を競い合い、長いものだと数十分も話が続いた例があるらしい。

そんでこのドキュメンタリーでは当然ながらこのジョークの様々なバリエーションが語られるわけで、とにかく信じられないような内容の下ネタのオンパレードとなっている。もちろん観ていて気持ちのいいものじゃないけど、このジョークを語ったり、それについてコメントしたりする面々がとっても豪華。クリス・ロックやジョージ・カーリンをはじめ、ジョン・スチュワートやビリー・コノリー、ドリュー・キャリー、エリック・アイドル、ロビン・ウィリアムズ、ウーピー・ゴールドバーグ、ビル・マー、サラ・シルバーマン、さらには「オニオン」の編集スタッフに「サウスパーク」のアニメなど、コメディ界の有名どころが続々と登場するのがすごい。イーモ・フィリップスなんて15年ぶりくらいに見たぞ。こうしたコメディアンがリラックスした雰囲気でジョークに語るところはそれなりに見応えあり。でもまあ彼らのことを知らない人が観たら、単にいい年した男と女が下ネタを延々と喋っているドキュメンタリーにしか見えないだろうなあ。でも「昔はショッキングだった行為が、今ではごく普通に受け止められている」とか「性に関するネタよりも、人種に関するネタのほうが現在ではずっと問題視される」といったコメントは興味深いものがあるな。

肝心のジョークはそんなに面白いわけじゃないし、ドキュメンタリーとしてもそんなに優れた作品じゃないんだが、欧米のコメディアンが好きな人ならちょっと観てみても損はないかも。ちなみにロビン・ウィリアムズってアドリブで語るとかなり面白いのに、どうして映画に出るとああもツマらない人になってしまうんだろうね。