「THE HOUR」鑑賞


BBCの新しい(ミニ・)シリーズ。全6話。

1956年のテレビ業界(要するにBBC)を舞台にしたサスペンスで、主役となるのは野心家の若きジャーナリストのフレディ。既存のニュース番組の形式に不満を抱いていた彼は、相棒の女性プロデューサーとともにより時代のニーズにマッチしたニュース番組「THE HOUR」を立ち上げ、同じく野心家で女好きのニュースキャスターが起用される。しかしその裏では大学教授が何者かに暗殺され、政府の機関が調査にあたるという事件が起きていた。そしてその事件について何かを知っていた上流階級の女性がフレディの友人であったことから、フレディは大きな陰謀に巻き込まれていく…というようなプロット。

主人公のフレディを演じるのはベン・ウィショー。誰だっけ。「パフューム ある人殺しの物語」の人なのね。狡猾そうなニュースキャスターを演じるのは「ザ・ワイヤー」のマクノルティことドミニク・ウエスト。彼がイギリスのドラマに出てるのって初めて観たな。彼らと三角関係になるプロデューサーをロモーラ・ガライという女優が演じてるのだけど、若い頃のシェリー・ストリングフィールドに瓜二つ。あと「トーチウッド」のオーウェンなんかも出てるぞ。

50年代が舞台ということで「マッドメン」を意識してるんだろうし、批評などでも「マッドメン」との比較が多いみたい。今年はアメリカでの地上波ネットワークでも「マッドメン」にあやかって、50〜60年代を舞台にしたドラマがいくつか出てくるんだが、キャストが白人ばかりになりがちなのが好きではないんだよな。

そしてこの番組の出来自体はどうも重くてだるい感じ。主人公のイヤミなところが目立ってしまって番組に対する情熱がうかがえないし、サスペンスの部分も何がどうヤバいことになりそうなのかがよく分からない。50年代の雰囲気作りに力を入れすぎたのか、話の展開が遅すぎるんだよな。主人公がどんな陰謀に巻き込まれるのか、もうちょっと明らかにしてもよかったのに。こうした時代ものはBBCの得意とするところだろうし、製作が「ライフ・オン・マーズ」のキュードス・プロダクションなのでもっと面白くできそうなものなんだけどな。とりあえず全話放送されて評判が良かったらまた観ます。

「RED TAILS」トレーラー


タスキーギ・エアメンの通称で知られる、第二次世界大戦に活躍した黒人の空軍部隊を描いた「RED TAILS」のトレーラーが公開されていた。

世間的には「ジョージ・ルーカス製作の映画」になるんだろうけど、キャストはトリスタン・ワイルズやアンドレ・ローヨ、メソッド・マンにマイケル・B・ジョーダンなどといった「ザ・ワイヤー」の面々が揃っており、まるで空飛ぶボルチモアといった感じであの番組のファンには嬉しいこってす。監督のアンソニー・ヘミングウェイも「ザ・ワイヤー」出身だし。

ただ映像を見る限りではやはりCGの戦闘機ってどうも質感がなくて、実機を飛ばした1969年の「空軍大戦略」のほうがずっとリアルに感じられるのは否めない:

ちなみに日本版ウィキペディアでは「スター・ウォーズ」のデススター攻撃シーンは「空軍大戦略」を下敷きにしてるなんて書かれてるけど、ルーカスが参考にしたのは「The Dam Busters」のはず:

「Grant Morrison: Talking With Gods」鑑賞


スーパーヒーローの歴史と存在意義を説いた著作「Supergods」がこないだ刊行され、9月のDCコミックスのリブートでは中心的役割を務め、ハリウッド映画の脚本も執筆中ということで最近絶好調のコミック・ライターであるグラント・モリソンに関するドキュメンタリー。

彼の生い立ちとコミック業界での経歴を追った内容になっていて、反戦活動家の父親のもとで冷戦の脅威を感じながらグラスゴーで育ち、その恐れを吹き飛ばす存在としてのスーパーヒーローに出会った幼少時代から話は始まる(ここらへんの経験は、こんどやっとペーパーバック化される「FLEX MENTALLO」に反映されてるらしい)。そしてアートスクールを落第になったあとにライターを目指し、それと同時にサイケデリック・バンドで活動し、「2000AD」などで執筆したあとにDCコミックスにスカウトされて「アーカム・アサイラム」で大ヒットを飛ばし、それからさまざまなコミックを手がけていった経歴が説明されていく。

また彼の趣味であるケイオス・マジックにも多くの言及がされ、カトマンズで神秘体験をした話とか、いかにコミックの出来事と現実の生活がシンクロされているかなどについても語られていく。かつてはとてもシャイな若者だった彼が、やがて自分自身を変えていき、ピリっとした服をきてアルコールやドラッグを服用し、コミックのキャラクターと自身を重ね合わせていき、ついにはコミックのなかに自分の分身を登場させてしまうくだりも面白かったな。

相変わらず破壊的なグラスゴー訛りで話すモリソンだが、言ってることはおおかた理解できた。彼以外にもフランク・クワイトリーやフィル・ヒメネス、マーク・ウェイド、カレン・バーガーなどといった業界関係者によってモリソンのことが語られていくんだが、元弟子のマーク・ミラーは出ていなかった。どうも不仲説は本当らしい。

あくまでもコミックに重点を置いているので「The Mindscape of Alan Moore」ほど哲学的ではなく、今までのモリソンの作品とそれに対する彼の考えをまとめた(現時点での)集大成的な内容になっているかな。ただし彼の作品に詳しくないと、語られることはまったく理解できないだろうから入門的なドキュメンタリーではないかな。

さて、次は「Supergods」を読まねば。

「NTSF:SD:SUV::」鑑賞


「ナショナル・テロリズム・ストライク・フォース:サンディエゴ:スポーツ・ユーティリティー・ビークル」の略だとさ。アダルトスイムの新番組で、要するに「CSI:NY」「NCIS:LA」といったアルファベットをたくさんつかった刑事ドラマのパロディとなっている。医療ドラマのパロディやってる「CHILDRENS HOSPITAL」に似た趣旨の番組かと。

サンディエゴを舞台にして間抜けな特殊チームが事件を解決していく内容で、主演はMTVの「ヒューマン・ジャイアント」とかに出てたポール・シアー(ヅラつき)。チームの隊長を演じるのはジェインウェイ艦長ことケイト・マルグルーで、ほかにもレベッカ・ローミンとかJ・K・シモンズとか、やけに豪華なキャストが揃ってたな。

まあ15分の番組だからストーリーらしきものはあまりなくて、ひたすらバカな展開が続いていく感じ。サングラスを外してばかりの主人公は明らかに「CSI:マイアミ」のデビッド・カルーソのパロディですね。屋外ロケが多いので「CHILDRENS」より金かかってるのかな。まあ何も考えずに酒でも飲みながら観るぶんには問題ない作品かと。

しかしケイト・マルグルーは以前よりもさらに太っちゃって、文字通り「女シャトナー」といった感じになってしまったなあ。

Youtubeに第1話がアップされていた。

「AWKWARD.」鑑賞


MTVの新作シリーズ。

ジェナはシニカルで友達の少ないティーンエイジャーだったが、以前から好きだった体育会系のマッティが自分に興味があることを知り、2人はサマーキャンプで初体験を済ませる。しかしそれ以来マッティとの仲は進まず、むしろ彼はジェナを遠ざけるようになっていた。気分を害したジェナはバスルームでアスピリンを飲もうとしたら転んで腕を骨折してしまう。しかも周囲に薬やカミソリが飛び散りバスタブにドライヤーが突っ込んだことで、それを見た両親は彼女が自殺を試みたのだと勘違いしてしまう。この話は学校の同級生のあいだにも伝わり、さらに骨折した手が派手にプラスターで固められたことから、ジェナは一夜にして学校の注目の的になってしまう。しかし彼女はこの状況にもめげず、逆にそれを利用して今までの生活を変えようとするのだが…といったようなプロット。

まあ典型的なアメリカのティーンの高校生ものといった感じで、ネクラでシニカルな主人公(ナレーションつき)、ちょっとアホな親友、愚鈍な体育会系のイケメン、イヤミなチアガール部隊など、前にもどこかで観たような連中がたくさん出てきまっせ。アメリカの高校って本当にこんな人たちばかりなのかね?

でもジェナを演じるアシュリー・リッカーズっていう娘が何ともいえない雰囲気を醸し出しているのは良かったな。ティーンの頃のクリスティーナ・リッチみたいな絶妙なムッチリ感があって目つきも怪しいし、ゴスではないんだけど暗くて性格が曲がってそうなジェナにぴったりはまっている(メークに負うところも大きいんだろうが)。これからさらに有名になりそうな役者かも。

主人公がこれから何をしていきたいのかが分かりにくいところが難点だが、他のMTVのシリーズよりも楽しめる出来でしたよ。

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MTVの動画って日本からでも観れるのか。