「グリーン・ランタン」鑑賞


字幕版3Dにて。3Dの意味なし。というか字幕のエッジが赤くなる現象がたまに起きてたんだけど、あれ何だろう?

いろいろ金かけてるはずなのに残念な出来の映画であったよ。必然的に主人公のオリジンを描いた内容になってるんだが、GLのオリジンなら傑作「エメラルド・ドーン」とか最近のジェフ・ジョンズのやつとか「ニュー・フロンティアー」とかコミックからいくらでも引っ張ってこれるはずなのに、どうも凡庸なものになってしまっている。imdbによるといちおうジョンズがコンサルタントとして関わったり「エメラルド・ドーン」も参考にされたらしいけど、本当かなあ?どうも80年代の特撮映画を観ているというか、あまりコミックに詳しくない人が脚本を書いているような印象を受けたけどね。

出演者はライアン・レイノルズが思ったよりもそんなに悪くなくて、いちばん演技が巧いのは当然ながらピーター・サースガード。完全なミスキャストはキャロル・フェリス役のブレイク・ライブリーで、コミックだと自由奔放に空を飛び回るハル・ジョーダンを地上から見守る大人びた社長令嬢という設定がよかったのに、戦闘機を乗り回す小娘なんかにしてどうするんだよ。あとティム・ロビンスはこうした大作の脇役ばかりやってないで、またインディー映画で主役とかやるべきではないかと思う。それとアマンダ・ウォーラーという(コミックでは)強烈なキャラが出てきたので「これはスーサイド・スクワッドへのスピンオフの布石か?」と一瞬期待したけど、ただのヘタレな役人でしたな。

せっかく大空や大宇宙を自在に飛び回れるヒーローの話なのに、飛行場のまわりをウロウロしてたり、CGのハリボテみたいな惑星が出てきたりと、どうも全体的にショボい作りになっているのも残念。「アイアンマン」くらいの飛翔シーンはやって欲しかった。ハルの父親は離陸時に事故死するし、最後もパララックスと地面に立って勝負するなど、どうもダイナミックさに欠けるんだよな。あとパララックスのデザインがカッコ悪すぎ。黄色いタコみたいだったぞ。ガーディアンズもCGでなく人間の役者を使えば良かったのに。

企画の段階で右往左往してたらこんなの出来ちゃいました、というダメ作品の好例。批評的にも興行的にも失敗してるのは製作側も分かってるはずなので、続編を作るとしたらもっと本腰を入れて作って欲しいところです。

「THE SECRET CIRCLE」


「スクリーム」とか「ドーソンズ・クリーク」とか「ヴァンパイア・ダイアリーズ」とか、田舎の白人のティーンの話ばっかり書いているケヴィン・ウィリアムソンが手がけた、新たな田舎の白人のティーンのドラマ。ここまで似たような作品ばかり手がけてる人も珍しいよな。デビッド・E・ケリーだってもうちょっと幅のある作品を手がけてるだろうに。例によってヤングアダルト小説が原作で、当然ながら放送局はThe CW。「ヴァンパイア・ダイアリーズ」と束にして売り出すようです。

カリフォルニアに母親と住んでいた少女キャシーは、母親が不審な事故死を遂げたことから祖母の暮らすチャンス・ハーバーという小さな港町に引っ越してくる。そこでも車が突然燃えだすなど不思議な現象に見舞われた彼女は、高校の同級生たちから、自分がそこの土地に昔から伝わる6つの魔女の家系の一員であり、彼女がやって来たことで6つの家系の「サークル」が完璧になり、彼らは強大な力を手に入れられるのだと伝えられる。しかしその力を利用しようとする陰謀が裏では動いていて…といようなプロット。

清純な主人公、ビッチな同級生、おとなしい親友、シャツをはだけたイケメンなど、トワイライトな要素はなんでもありまっせ、というような内容。というか「ヴァンパイア・ダイアリーズ」の第1話と話の展開が殆ど同じだったような…。こういうティーンの物語だとその親たちは子供たちの行動を何も知らない場合が多いけど、こっちは親たちも魔法使いなので何かしら陰謀に関わっている、というのが目新しいといえば目新しいですかね。

「ヴァンパイア・ダイアリーズ」は最近面白くなってきてるようだし、こうした作品に需要があることはよく分かるのですが、個人的にはどうも興味を抱けないですね。

「CHARLIE’S ANGELS」鑑賞


言わずと知れた「チャーリーズ・エンジェル」のリメークだよ。最近は1シーズンに1つか2つはリメーク番組が作られてるような気がする。

コンセプトはオリジナルと同じで、エンジェルと呼ばれる3人の女性たちが、顔を見せないチャーリーという雇い主から指示を与えられ、彼女たちをサポートするボスレーという男性とともに悪人たちをやっつけていく…というようなもの。冒頭からエンジェルの1人がやられて、その妹分が代わりに加入するというヒネリはありますが。

オリジナルだとエンジェルたちは元警官だったはずだが、こちらでは元犯罪者たちという設定。また劇場版と同様にドリュー・バリモアがプロデューサーに名を連ねているものの、エンジェルたちは銃を携行しているみたい。劇場版の「エンジェルたちは銃を使わない」という設定は個人的に好きだったんだけどな。

「ヤング・スーパーマン」のスタッフが大きく関わっているのだけど、あの番組と同様に出来はけっこう薄っぺらで、おねーちゃんたちのコスプレやきれいな夜景、あまり特徴のないアクションシーンを観てるうちに1話が終わってる、といった感じ。第1話のアメリカでの評判は散々だったらしく、特にミンカ・ケリーの演技が下手だと叩かれたみたい。俺はむしろボスレー役のラモン・ロドリゲスの演技がひどいと思ったけどね。あと肝心の女の子たちがあまり可愛くないのよ。ファラ・フォーセットの域には誰も達してないぞ。

知名度だけはある作品なので日本でも放送されるかもしれないが、果たして打ち切られずに続くことはできるのか…?リメークとしては「ギャラクティカ」よりも「バイオニック・ウーマン」や「ナイトライダー」に近い作品ですね。

「FREE AGENTS」鑑賞


NBCの新作シットコム。例によってイギリスの同名作品のリメークらしいですが、オリジナルは未見。

オレゴンのPR会社に勤めるアレックスは妻と離婚の調停中の男性だったが、職場の同僚で婚約者を1年前に亡くしたヘレンと一夜の関係を持ってしまう。これがもとでヘレンに恋心を抱くアレックスだったが、ヘレンはさほど熱心にはならず、職場の同僚たちから隠れながらの、ふたりの友達以上恋人未満の関係が始まるのでした…というようなプロット。

アレックスを演じるのは「HUFF〜ドクターは中年症候群」のハンク・アザリア。基本的にコメディ畑の人だけど、どことなくいつも潤んでる目のおかげでこういうさえない中年男性の役が似合うんだよなあ。ヘレンを演じるのはキャスリン・ハーン…って「クロッシング・ジョーダン」に出てた人か。他のキャストも結構豪華で、「デイリーショー」のアル・マドリガルや「宇宙人ポール」のジョー・ロー・トゥルリオが名を連ねてるほか、「バフィー」のアンソニー・スチュワート・ヘッドがオリジナルと同じ役で出演している。

アレックスもヘレンも過去が忘れられず心に傷をもった人たちとして描かれていて、コメディながらもペーソスがあるところがキャラクターに深みを与えているかも。ただしオリジナルは6話しかなかったのに対し、このアメリカ版では2人の微妙な関係をどこまで引っ張れるものなのかね?「オフィス」みたいにうまくアメリカナイズすることができるのかな。

震災ボランティア


勤めてる会社(のグループ)が震災のボランティアを募ってたのでこないだ宮城県まで行ってきたのだよ。旅費とか宿泊費は会社持ちということだったので、1日数時間の労働と引き換えに仙台とか観光できればめっけもんかな、と不埒な気分で行ったわけですが、炎天下のなかで不慣れな労働をしたらフラフラになって観光どころじゃなかったですね(帰りはちゃっかり途中で塩原温泉に泊まってきましたが)。でも仙台は通りが広くてきちんと整備されたいいところでしたよ。

仙台市街とかはもう震災の被害は殆ど感じられないものの、北仙台駅の近くの神社では鳥居が崩壊していたりして地震の脅威を物語っていたほか、市街地から離れるとフェンスがひん曲がったり壁が崩れた建物がちらほら見かけられるほか、海の近くではクシャクシャになった車が転がってたり、あちこちにガレキの山が見受けられたな。7月とかに比べてもずいぶん片付けられたらしいけど、元のようになるにはまだまだ時間がかかるでしょう。これは政府がチンタラやってるせいなのか、それとも地震の被害があまりにも大きかったせいなのかは俺には分からない。たぶん後者だと思うけど。

そして俺らが行ったのは石巻のちょっと西にある七ヶ浜という町で、丘の上のボランティアセンターにおいて与えられた仕事は個人宅の片付けというもの。浸水した家の家具でも運び出すのかな、と思ったら全然違って、津波によって土台を除き家屋がぜんぶ流されたお宅のガレキ掃除をするというもの。ちゃんと海の前には数メートルの高さの堤防があって、その後ろには松林があったりするんだけど、海沿いの家はみんな跡形もなく流されていた。そこからちょっと先にある高台の上の家はみんな無事であるのを見ると、もう低地には住みたくないという被災者の意見はよく分かる気がする。

家の跡地の地面はどれだけ掘ってもガラスの破片や欠けた茶碗などが次々と出てきて、七ヶ浜がかつてのような海水浴場になるには長い時間がかかるだろうなあ。そんななかで子供の玩具や家族の写真とかが埋もれてるのを見ると、何とも言えない気分になりますね。七ヶ浜のキャッチフレーズは「うみ・ひと・まち」だそうだけど、それが津波によって文字通り一緒になったというのはどうも皮肉なものですな(失礼)。清掃作業は前述したように結構しんどかったけど、どうにか避難して仮設住宅に暮らしてる家主さんがジュースとか差し入れてくれるのを見ると、ぶっ倒れてでも作業しようという気になるわけで。

企業からのボランティアは俺らのほかにもソニーや京セラなどが数十人規模で社員を派遣していたほか、大学生の団体などが来てましたね。あとは皆でお金を出し合って名古屋からやって来た市民グループとか、個人でやってきた人たちもいたな。和歌山からやってきたという老夫婦なんて、七ヶ浜に来る前は福島に物資を届けてたらしい。皆それぞれの理由とか思想とかあるんだろうけど、その行いにはただただ頭が下がる思いです。

ガレキの転がる空き地のなかでは子供たちが遊んでいたし、近くのコンビニは割れたウィンドウにブルーシートを貼って営業したりして、被害にもめげずにみんな以前の生活に戻ろうとしていたな。それに帰りの新幹線からは福島を見てきたけど、閑散としている一方で人々はめげずに日常の暮らしを続けているわけで、やれ放射能が怖いだの今までの日常は終わっただの騒いでる人たちこそ東北の状況を見てくるべきじゃないですかね。

僅かながらも人の役にたったという満足感を得た一方で、もっと手際よく作業ができたんじゃないかという奇妙な罪悪感を抱きながら被災地をあとにしたわけですが、また機会があればぜひ行ってみたいところです。