「アベンジャーズ」鑑賞


今週いっぱいアメリカに行ってたので、無理矢理時間つくって観てきたのだよ。

いやーもう最高。娯楽映画の極致ですな。ジョス・ウィードンって今までテレビの人という印象が強かったのだけど、劇場映画もここまできちんと作れてしまう人だったのですね。ドンパチ中心の映画とはいえ各キャラクターのストーリーもきちんとツボをおさえ、テンポの良いセリフまわしに絶妙なユーモアを交え、2時間半の長尺がまったく中だるみしない出来になっている。他のヒーローたちに比べて社長(アイアンマン)が活躍しすぎじゃないのとか、やっぱり物を言わない敵って魅力ないよねといったツッコミどころも探せば出てくるものの、そんなものが殆ど気にならないような傑作になっているぞ。ネタバレにならない程度に気に入ったところいくつか挙げると:

・「カミナリが怖いのか」「この後の展開が嫌でね」
・「そこの人、『ギャラガ』で遊んでるね?バレてるよ」
・”Puny God!”
・突然登場するハリー・ディーン・スタントン!
・アイアンマン・マークVIIの装着シーンは何度でも観れる。

興行的大ヒットによりさっそく続編の製作が決まったようですが、果たして第一作目を超えるものが作れるのかね?クレジットのあとに出てくる事件の黒幕って俺の好きなキャラクターではないので、あっちの方面には行って欲しくないのだが。

例によってあまり意味の無い3Dで観る必要はないと思うけど、これはぜひ劇場で観ることをお勧めします。

「CHRONICLE」鑑賞


ジョン・ランディスの息子が脚本を書いた低予算SF映画。以後ネタバレ注意。

アンドリューは暴力をふるう父と病弱な母をもったひ弱な少年で、学校でも周囲にバカにされていじめられ、ビデオカメラでそんな日常を撮影することだけに生きがいを感じていた。ある日彼は従兄弟のマットに連れられて行ったパーティー会場の外で、地面の奥深くにまで空いた謎の穴を発見し、マットおよび同級生のスティーブと穴の奥まで行った彼は青く光る奇妙な物体を見つけるが、そのあとの記憶を失ってしまう。気付くとアンドリューたち3人は穴の外におり、自分たちがテレキネシス(念動能力)を身につけたことを知る。最初はこの能力をイタズラ程度で使っていた3人だったが、やがてその力の使い方をマスターするうちに彼らの行動はエスカレートしていき…というようなストーリー。

アンドリューのビデオカメラの映像記録、といういわゆる「ファウンド・フッテージ」のスタイルがとられており、個人的にこのスタイルってあまり好きではないんだけど、別のカメラの映像を混ぜ合わせたり、カメラを念力で宙に浮かせることで第3者の視点のようにさせる手法は巧みだったな。

マットがあまり意味もなく哲学を語ったり、登場人物の1人が話の途中でいなくなってしまうあたりは脚本が弱冠拙いような気もしたけど、尺が短いこともあり、あまり中だるみせずに最後のクライマックスまで話をぐいぐい引っ張っている。能力を使ってせっかく学校の人気者になれたのに、初エッチに失敗して暴走するアンドリューの不憫さが涙をさそうぞ。

南アフリカで撮影したり、デビッド・ボウイの曲を使ったりとそれなりに金はかけてるみたいだけど、それでも予算は1200万ドルくらいなので低予算の部類に入るよな。しかし特殊効果の映像は大作映画に匹敵するくらいの出来で、特にラストの超能力バトルは迫力があって大変素晴らしい。怪獣パニック映画が好きな人はとても楽しめるんじゃないでしょうか。なお出演者は比較的無名の若手俳優が大半だけど、スティーブ役を「ザ・ワイヤー」のマイケル・B・ジョーダンが演じている。彼はあの若さで優れた作品に次々と出演してるので、これからもっと活躍していくでしょう。

あまり期待せずに観たら意外なくらいに面白かった作品。「アタック・ザ・ブロック」が好きな人に薦めたいな。世界中で大ヒットしたために早くも続編の製作が決まってるらしいけど、これ話が続けられるのかね?「ファウンド・フッテージ」ものの続編ってみんな蛇足になって失敗してる印象があるので少し不安ではある。

下着姿の女の子のシーンはカットされてた。チェッ。

「COMMON LAW」鑑賞


USAネットワークの新作シリーズ。

いわゆるバディ・コップもので、トラビスとウェスはLAPDの殺人課に務める敏腕な刑事たちだったが、微妙にウマが合わずケンカをしてばかり。しまいには銃まで出てくる大ゲンカをしたことからカップル向けのセラピー教室に通うよう上司に命じられ、渋々参加した教室ではゲイのカップルだと勘違いされつつも、どうにか協力して今日も事件を解決していくのだった…というようなプロット。

こういう作品って主人公の2人の掛け合いにすべてがかかってると思うのだけど、その点ではどうも全体的にもったりとしてる感じがするのは俺だけでしょうか。神経質な白人と気さくな黒人のコンビ、そして両者の振る舞いに頭を抱える小太りの上司、というのも非常に典型的で目新しさが無いような。第1話では俺の好きなジョン・シェアが出てるのにすぐにいなくなってしまうのも何か残念。

まあ典型的なUSAネットワークの作品といった感じで、それなりに長続きはするかもしれないけど、あの局のバディものだったら「サイク」のほうがずっと面白いよね。

「BRONSON」鑑賞


こないだの「ドライヴ」のニコラス・ウィンディング・レフンがその1つ前に監督した作品。

実在の人物で「イギリスで最も凶暴な囚人」といて知られるマイケル・ピーターソンの半生を描いたもの。子供の頃から悪ガキだったマイケルは教師や警官にも平気でたてつき、結婚してからも悪さを繰り返してついには郵便局強盗で7年の懲役をくらうことに。刑務所のなかでも看守たちにケンカを売り続け、精神病棟に入れられたりしたものの、やがて出所することに。シャバでは裏社会のボクシングの拳闘家として小銭を稼ぎ「チャールズ・ブロンソン」というリングネームを名乗ることになるが、すぐに宝石強盗で逮捕され、それからずっと刑務所で暴れることに…というような内容。

実際のブロンソンは刑務所で何回も看守たちを人質にとって騒ぎを起こし、刑務所を100回以上移転してるような筋金入りのワルなわけだが、その一方で殺人は1度も犯したことがない人物であり、劇中ではユーモアに満ちた人物として好意的に描かれている。

ブロンソンを演じるのはトム・ハーディで、彼のモノローグで話が進んでいくこともあり、彼の一人芝居のような映画になっている。既に「WARRIOR」を観てるので彼の筋肉モリモリの姿にはさほど驚かなかったが、フルチンになって体にバターを塗りたくり、看守に戦いを挑むという狂気に満ちた演技を見せてくれる。「ダークナイト」のベインがジョーカーを演じてるような感じ。彼って「スター・トレック/ネメシス」のときは細身の若造といったイメージだったが、大化けしたよなあ。

主人公がアウトローでシンセポップが用いられてるあたりは「ドライヴ」に通じるものがあるものの、あの映画のノリを期待してると裏切られるかも。むしろ荘厳なクラシックが多用され、暴力行為がスタイリッシュに描かれてるところは「時計じかけのオレンジ」に似てるかな。ただし最初から最後まで主人公が内面的にいっさい成長しないというのはどうなのよ?いちおう刑務所でアートに目覚めるという描写はあるものの、そのまま指南役を人質にしてしまうような有様だし。ちなみに彼の描く絵はアウトサイダー・アートそのまんまで、彼の公式サイト(!)で購入できるぞ。

犯罪者を美化してることとかは構わないんだが、どうも話にメリハリが無いような。拳闘を扱ってるという意味では「ドライヴ」よりもレフンの次作「Only God Forgives」がこれに似た作品になるのかもしれない。

「The Legend of Korra」鑑賞


ファンや批評家たちに絶賛されつつも(シャマランの映画版と一緒にするなよ)2008年に終了した、ニコロデオンのアニメ「アバター 伝説の少年アン」の続編シリーズ。

舞台となるのは前作から70年後の世界。風・土・火・水の4元素を自在に操ることのできる「アバター」となったアンによって世界の平和は取り戻され、長い年月のあとアンはその寿命を全うしていた。そして水の国に生まれた少女コラは次のアバターとなる才能を秘めた存在であり、アバターとして大成する修行を積むために大都市リパブリック・シティに向かうのだが、そこでは謎の仮面の男が率いる、反アバターの勢力が勃興していた…というようなプロット。

アンの息子とかも出てきて、前シリーズを観てないとちょっと話がつかみにくいところもあるものの、全体的にとても楽しめる内容になっている。前作は幼い少年のアンが主人公だったのでお子様向けの印象が強かったんだが、今回は主人公コラの年齢がハイティーンになったこともあり、より幅広い年齢層が楽しめるんじゃないかな。アクションありロマンスありコメディありの絶妙な脚本に加え、20世紀初頭の中国の都市をイメージした風景も非常に美しい。

そして圧巻なのはアニメーションの出来で、プロの格闘家を雇ったという格闘シーンなどは絵が動く動く。ジャパニメーションの影響を受けていることは間違いないんだが、日本のアニメでもここまで絵が動く作品って少ないんじゃないだろうか。よくある「口や目だけ動くシーン」などは皆無で、髪の毛とかもユサユサ動くあたり、かなりの労力がかかってるんじゃないかと。CGの使い方も巧いし。あと第1話ではゲスト声優になんとエヴァ・マリー・セイントを起用してました。

女の子の成長を描いた健全な冒険譚だし、これNHKとかで放送すればいいと思うんだけどね。日本はニコロデオン作品がなかなか普及しないのが残念なところです。