「The Tick / ティック~運命のスーパーヒーロー~ (仮題) 」鑑賞

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「(仮題) 」だそうです。

アマゾンがよくやるパイロット版をいくつか公開して、そのうち人気があったやつをシリーズ化するという施策のうちの1つだが、日本でもプライムビデオが始まった関係で日本語字幕付きでタダで観られるよ。新番組なのにまったく宣伝してないところがアマゾンジャパンっぽいですが。トップメニューからどうやっても見つからず、「ティック」で検索してやっと見つけたぞ。

原作はベン・エドランドが80年代に生み出したインディペンデント・コミック「The Tick」で、インディペンデント作品としてはかなり有名な部類に入るんじゃないかな。スーパーヒーローもののパスティーシュ的なコメディ作品で、怪力だけど愚鈍なヒーローのティックと、そのサイドキックで小心者のアーサーたちが、悪の黒幕ザ・テラーや数多くの忍者たちとドタバタを繰り広げるような内容だったような。実はコミックはきちんと読んだことないのよ。ティックの雄叫びが「スプーン!」なのは知ってます。

アメリカで誰もが知ってるようなキャラクターではないものの、根強い人気はあるようで1994年にはアニメ化されているし、2001年にはパトリック・ウォーバートン主演で実写のシットコムにもなっている。そして15年ぶりにまた映像化されたというわけ。

このパイロット版の脚本はエドランド自身によるもので、意外にも話の主人公はティックよりもアーサーになっている。子供の頃にヒーローたちとザ・テラーの戦いの巻き添えとなって目の前で父親が死ぬのを見た彼は、それがトラウマとなって精神的に不安定な少年になっていたが、死んだとされるザ・テラーが生きていることを信じて独自に調査を行い、その過程で青いコスチュームに身を包んだ大男ザ・ティックに出会う。さらに彼はティックから蛾をモチーフにしたコスチュームを渡されて…といったあらすじ。

いちおうコメディなんだけど笑える箇所はあまりなくて、スーパーヒーローのいる世界を比較的リアルに描いた内容になっていた。「キック・アス」や「POWERS」なんかに近い雰囲気かな?そもそもティックは実在せず、アーサーの想像が生み出した存在なのではないか、ということも示唆されていたりする。ベン・エドランドってここ10年くらいはコミック作家よりもテレビドラマの脚本家をやってたらしいが、その経験がこういうリアルな描写につながったのかな。

プロデューサーにパトリック・ウォーバートンが名を連ねているが今回のティックを演じるのは彼ではなくピーター・セラフィノウィッツ。ダース・モールの声に始まり「スペースド」から「LOOK AROUND YOU」から「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」、さらに最近ではドナルド・トランプの声までいろんなことをやってる多才な人ですな。裏のサイモン・ペッグというか。ここでもいい感じで演技してるけど、マスクで顔の大半が隠れてるのが残念といえば残念か。あとは敵のザ・テラー役をジャッキー・アール・ヘイリーが演じていたが、コミック原作の作品にばかり出てるなこの人は。

コメディを期待すると肩透かしをくらうかもしれないが、ヒーロー(サイドキックか)のオリジンを真面目に描いたものとしては比較的よくできていた。いかんせん知名度のある作品だからアメリカでシリーズ化が決定されるんじゃないでしょうか。そしたら日本でも題名が正式決定されるのでしょうか。

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