公開よりかなり前に試写で観た映画はこのブログで扱わないポリシーなのですが、これはいろいろバイアスかかって叩かれそうな気がするので、ざっと簡単に援護しておく。
アメリカよりも中国市場を狙った作品なのに中国本土での評判は良くなくて興収もパッとせず、先週末に公開されたアメリカでも興収が散々のようで、おまけに中国が舞台なのにマット・デーモンを主人公にするあたりは、白人中心のホワイトウォッシュではないかと批評されてるわけですね。まあここらへんは全部事実といえば事実だろう。
でもあまり深く考えずに観ればね、これ結構楽しめる作品でしたよ。「中国の万里の長城はモンスターを防ぐために建造された!」という中学生が考えそうなアイデア(だが原案はマックス・ブルックス)にかなりの製作費が費やされ、色彩を強調したチャン・イーモウの演出が加われば、悪くないに決まってるやん。モンスター襲来に備えて太鼓がドコドコうち鳴らされるシーンとか、観ててゾクゾクきますぜ。
主人公だってマット・デーモンでいいじゃん!知らない中国人役者が出てるよりいいだろ。中国人女優の景甜が容姿端麗で勇ましい女性指揮官を演じていて、ここらへんも中学生の男の子が考えそうな設定になってます。こないだ落馬事故で大ケガしたらしいアンディ・ラウも賢い軍師の役がカッコいいし、いまいち何をやってるかよく分からないウィレム・デフォーもいい顔の演技をしてました。
壁を攻めてくるモンスターの種類が少ないのが残念だし、実のところあまり壁が役立ってなさそうだし、怪しい出来事を調べるために部下ではなく軍の指揮官が自ら出向いてくる(そして危険な目に遭う)なんて「スター・トレック」かよ!とまあいろいろツッコミを入れたくなるんだけど、それでも嫌いにはなれない作品であった。
チャン・イーモウの前作が抗日映画であったことを考えると日本では特に叩かれそうだが、そういう政治的な観念は置いておいて、正規料金払わずとも映画の日とかレディースデーとかに1000円ちょっとで観れば、十分に楽しめる映画であることをここに書いておく。