今年の評判いい映画を引き続きチマチマと。みんな大好き製作会社A24の新作(でもあそこの「THE LIGHTHOUSE」の日本公開はどうなったんだろう?)。4:3の画面比というのもA24っぽいよなあ。
舞台は1820年のアメリカ西部。ビーバーの毛皮を求めてオレゴンにやってきた猟師たちの料理人をしているクッキーは、ロシア人を殺したとかで逃げている中国人のルーをかくまい、逃してやる。その後再開したふたりは一攫千金を狙い、地域の首長であるイギリス人が唯一所有している乳牛のミルクを夜間に忍び込んで盗み、それを使ってケーキ(スコーンみたいなやつね)を作って市場で売ることにする。ミルクを使ったそのケーキは飛ぶように売れてふたりはいい儲けを手にするが、やがてその評判は首長の耳にも届き…というあらすじ。
いちおう西部劇なんだけど派手なドンパチがあるわけでもなく、内気な料理人と中国人の移民が夢を抱きながら、しがなく暮らしていこうとする小ぢんまりとしたドラマになっている。ケーキがふたりに転機をもたらす、という設定が面白かったな。ウィリアム・タイラーというミュージシャンによるギターのサントラがシンプルながらもいい感じを醸し出していた。
監督のケリー・ライカートは「MEEK’S CUTOFF」でも同時期を舞台にしてるがあっちは未見。クッキーを演じるのは「NOT FADE AWAY」のジョン・マガロ。ヒゲをたくわえて別人のようになっていた。ルーを演じるオリオン・リーって知らなかったけど、いろいろ出演しているアジア人俳優なのですね。あとはトビー・キースとか、スコティッシュ丸出しのユエン・ブレムナーとかが出演してます。こないだ亡くなったレネー・オーバージョノワーも出てるが、セリフもなく不機嫌に唸るオッサンという役だった。
めちゃくちゃ良いという作品ではないけれど、しんみりとした良作でした。どこかで観る機会があればおすすめ。