封切られたばかりなので感想をざっと。
- クリストファー・ノーランの作品のなかではエスピオナージ&逆回転ということで「インセプション」と「メメント」に近いかな。プロット的に連想したのはサイボーグ009の「時空間漂流民編」だったりしますが。初っ端のテロリストのシーンから音楽が大きすぎてセリフが聞こえないのもまたノーラン。
- もう最初から言ってしまうとね、プロットが理解できないと書くとシネフィルに白い目で見られるタイプの映画だとは思いますが、でもやはり分かりづらい映画だとは思う。正確に言うとプロット自体はまあ理解できるものの、もうちょっと物事を丁寧に説明してもバチは当たらなかっただろうし、そのほうが内容も面白くなってたのではないかと思う。
- 「プライマー」を連想させるタイムトラベルの機械なども、その仕組みとか目的とかについては圧倒的に説明不足なため、いろいろ疑問を抱きながら観る羽目になって最後まで待ってもカタルシスを得ることができなかったというか。冒頭からアクション続く一方で、それらが押し進めていくべき肝心のプロットが中心から抜けていて、目の前で起きている派手な展開が皮肉にも煩雑に感じられてしまうというか。クライマックスだってロシアとベトナムをクロスカットさせる必要あったのか。
- 少なくとも主役の名前を「Protagonist(主人公)」とするならば、それに見合った「Antagonist(敵対者)」を登場させるべきではなかったか。セイターは手強いものの、黒幕の手下という印象が拭えないのよね。
- 主役を演じるジョン・デイビッド・ワシントンは「ブラック・クランズマン」のときもそんなに良い役者だとは思わなかったが、今回もそんな印象。主人公なのに自分よりも背の高い役者に囲まれてるのがちょっと損してるかな。ロバート・パティンソンはどんどんいい役者になっていく。アーロン・テイラー・ジョンソンがいつの間にかゴツい男になっていて、いい感じでイメチェンしてました。3分くらいしか登場してないマーティン・ドノバンよりもクレジットが下だったのが理解できんが。
- 時間があればもう1度観に行くかもしれないし、そうすれば新たな発見もできるかもしれないけど、やはりもう少し細かいところを説明したほうがもっと面白くなったと思う作品。ノーランはここでまたフランチャイズ作品かリメークを手掛けて、自分に何かしらの枠を設けて軌道修正したほうが良いのかもしれない。