「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」鑑賞

前作があまりにも素晴らしすぎたので、どうしても期待に耐えうるものにはならないのではないかと思いつつ観に行ったら、普通によくできた作品であった。

尺が長くなって二部作になったことで、前作のような1つの映画に幾つものキャラクターとストーリーを詰め込んだ賑やかさは薄まった一方で、グウェンやマイルズの母親といったキャラクターについても時間をかけて深く描写をしており、話に厚みをもたらしているかと。続編にありがちな傾向として話の展開がダークになっているものの、突然強力な悪役が出てくるといった展開ではなく、むしろスパイダーマンとしての運命である、避けられない悲劇に直面したときにどうするかというテーマを扱っていたのが良かった。

新キャラクターは、スパイダーマン2099ってコミックだともっとおちゃらけてるしベン・ライリーもあんなアホではないと思うが、まあいいや。パンク・スパイダーマンのアニメーションすごいですね。効果がうるさいといえばうるさいのだが。

絶妙なクリフハンガーで終わるし、最終的な感想は続編を待ってから述べるべきだと思う。とにかく観ていてひしひしと感じたのは、これ日本のアニメーション会社では作れないでしょ、ということ。技術的よりもリソース的なところで、あれだけの予算をかけてあれだけのアニメーターを稼働させられるスタジオは日本にないでしょう。グウェンの世界の絵画調のアニメーションだってCGのうえから塗り直しをしているはずで、膨大な労力がかかってるのではないか。

アメリカのアニメーション作品としては最長のもので、しかも子供向けでないエモーショナルな作品を大人が観に行ってヒットしているというのは、日本のアニメーションが得意としていた分野をアメリカのスタジオが確実に取りに来たようなような気がするのです。日本のアニメは唯一無二の存在、とあぐらかいてる場合じゃないよ。