フォックスの新作TVシリーズ。
元ラッパーでプロデューサーのルーシャスはエンパイア・エンターテイメントという音楽企業を立ち上げて成功し、会社は株式公開も目前としていた。彼には3人の息子がおり、近々そのうちの一人に会社を継がせるつもりでいたが、彼の元妻で麻薬取引の罪で刑務所に入っていたクッキーが17年ぶりに出所してきて彼の前に現われる。会社の立ち上げ時の資金が、彼女が犯罪に手を染めて手配したものだということをちらつかせながら、彼女は会社の大きなシェアを要望する。そしてミュージシャンの次男のマネージメントを彼女が担当することになり、同じくラッパーとしてデビューする三男との競合が始まるのだった…というような展開。
いわゆるナイトタイムソープなので、ドロドロとした人間関係がコテコテに詰まってます。売れない頃に裏社会と関わっていたルーシャスはいまだにその関係から抜けきれないでいるし、さらに難病をかかえていることが発覚して余命数年と宣告される次第。彼の息子たち(ビジネスマンとして優秀だがミュージシャンでない長男、ミュージシャンとして優れてるがゲイである次男、若くて横柄な三男)も会社の経営権をめぐって裏では駆け引きが始まっているうえに、すべてをクッキーが引っかき回すという設定。でもどの登場人物も深みがあるように描かれているかな。
第1話の監督はリー・ダニエルズ。ルーシャスを演じるのがテレンス・ハワードで、クッキー役がタラジ・P・ヘンソン、あとはガボレイ・シディベがゲスト出演してたりと、かなり強力な役者が揃ってます。しかも今後はコートニー・ラブやナオミ・キャンベル、メイシー・グレイなんかも出演するみたい。内容が内容だけに歌のパフォーマンスも多分に盛り込まれていて、ドラマと歌の部分のバランスが微妙ではあるのですが悪くはない。なお音楽監修はティンバランド。
現代における音楽業界の実情とか、ラップ・シーンにおけるゲイの立場とかが描かれていて、ブラック・カルチャーが好きな人には結構楽しめる内容じゃないでしょうか。日本ではあまり受けないかもしれないけど、今後の展開が気になるような内容ではあった。