「WORLD OF TOMORROW」鑑賞

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今年のサンダンスで短編賞を獲得した、ドン・ハーツフェルトによる短編アニメーション。

少女のエミリーは、ある日テレビ電話でメッセージを受け取る。それは遠い未来のエミリーからのもので、クローン技術および記憶の移植による長寿(というか生まれかわり)が確立された世界における、エミリーの第三世代のクローンだと大人の彼女は名乗った。さらに技術の進歩により過去へメッセージを送るだけでなく、危険が伴うもののタイムトラベルも可能になったことで、未来のエミリーは少女のエミリーを未来へと呼び寄せる。無邪気にふるまうエミリーに対し、自分の人生、および未来の世界について語る大人のエミリー。そして彼女が少女のエミリーを呼び寄せたのには、1つ大きな理由があった…というストーリー。

僅か16分の短編ながら、クローンやタイムトラベル、月世界のロボット、記憶の移植、異生物との恋、過去へのノスタルジアなどといったSF的な要素がこってり詰め込まれていて、それでいて難解ににはならず、ユーモアとペーソスが混じった詩的な作品になっている。

おれハーツフェルトの作品を見るのってこれが初めてなのですが、昨年「シンプソンズ」の冒頭の斬新なカウチ・ギャグの演出をして数百万の視聴者の度肝を抜いたんだよな:

この「シンプソンズ」と「WORLD OF TOMORROW」を同時期に作ってたとのことで、どちらも遠い未来のことを描いてるのが興味深い。

単純な棒と線でできた人物が登場するそのスタイルは少しとっつきにくかったものの、逆にシンプルなほうが感情移入しやすいというか、単純なようで描写が細かい(クローンに不備があると目がパチクリする)ところが良かったな。今までフィルム撮りをしていたのを今回初めてデジタル撮影したらしいが、宇宙のシーンなどはとても美しい。また彼の4歳の姪っ子がアフレコしたという少女エミリーの声は少し聞きづらい箇所があるものの、無邪気な感じはよく出ているかと。

どこがどう面白いのか、なかなか文章では説明し難いのだが、メランコリックなSFが好きな人なら楽しめるであろう一品。日本からでも4ドルでレンタルできるよ。

WORLD OF TOMORROW – Trailer from don hertzfeldt on Vimeo.

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