「Trainwreck」鑑賞

Trainwreck
日本では知名度ゼロですが、アメリカの女性コメディアンにエイミー・シューマーという人がおりまして、コメディ・セントラルのスケッチ番組「Inside Amy Schumer」がエミー賞やピーボディ賞を受賞するなど、いろいろ高い評価を得ている人なのですよ。そんな彼女が主演した、ジャド・アパトー監督のコメディ映画。脚本はシューマーによるものだが、コメディ映画なのに2時間超えてるあたりはアパトー作品だなあ。

主人公のエイミーは、幼いときに両親が離婚した影響で「一夫一婦主義は成り立たない!」と信じ込んで育ち、妹は結婚したにもかかわらず、自分はカジュアルなボーイフレンドを持ちつつも行きずりの男と気ままに寝る奔放な生活を送っていた。そしてニューヨークの雑誌社に努める彼女は、スポーツ選手の医師について記事を書くように命じられ、バスケ選手を主に扱うアーロンという医師に出会い、やがて二人は恋に落ちるのだが、エイミーは彼と結婚するほどコミットできず…というようなあらすじ。

あまり明確なプロットはなくて、エイミーの父親や妹夫婦との会話などを交えながら、エイミーとアーロンの関係がルーズに描かれていくといった感じ。とはいえ話の始まりと終わりが当然あるわけで、そういう意味では面白い部分だけ切り出してるような彼女のスケッチほどのインパクトはないかな。こないだ彼女の番組でやった「12人の怒れる男」のパロディなんて衝撃的な面白さがあったわけですが、この映画はシングルの女性のライフスタイルを比較的ストレートに描写していた。あとアメリカの時事ネタに絡めたジョークもいくつかあって、それが分からないとあまり楽しめないかも。アーロンがいままで手がけたスポーツ選手の名前を聞いて男友達が感心するなか、アレックス・ロドリゲスだけ罵倒されるというジョークが何か面白かったっす。

エイミー・シューマーは彼女の番組と同じような感じで演技してて、まあ良いんじゃないですか。対してアーロンを演じるビル・ヘイダーはカタブツの医者という役なのでハメを外せずちょっと損してるかな。脇をブリー・ラーソンやランダル・パークといった役者が固めてます。あとエイミーの父親と老人ホームでやりあう老人を演じるノーマン・ロイドって100歳なのか!それとティルダ・スィントンが別人のようなメークをして女性編集長を演じてるのですが、最後のクレジットを見るまで彼女だと本当に気付かなかったよ。またルブロン・ジェイムズが本人役で出ていたり、エイミーのボーイフレンドをWWEのジョン・シナが演じてるのですが、どちらも役者が本業でないのに面白い演技を見せつけてくれます。特にジョン・シナは体を張ったアホな演技が最高で、あの人はアクション映画よりもコメディのほうが向いてるんじゃないだろうか。映画の前半にしか出てこなかったのが残念。

まあ主人公の生きざまにどれだけ共感できるかで、この映画がどれだけ楽しめるかも変わってくるでしょうね。個人的にはあまりピンとこなかった作品。