「The Fits」観賞


昨年にサンダンスなどで公開されて高い評価を得ていた作品。

11歳の少女トニは地元の体育館で兄と一緒にボクシングを習っていたが、たまたま目にしたチームダンスのレッスンに心を奪われ、ダンスのレッスンも受けて他の少女たちに追いつこうとする。しかしチームのなかで奇妙な痙攣を起こして卒倒する少女が表れ、さらに同様の症状を起こす少女が続出したことでトニは不安になっていく…というあらすじ。

ホラーっぽい演出もあるんだけどホラーではなくて、むしろ思春期を迎える少女の不安定な心境を映し出した内容になっている。72分という短い尺のなかでは怪奇現象に対する説明などは一切行われず、ムダな部分がないままトニの話が淡々と続いていく。セーレムの魔女狩りなどの集団パニックの話をベースにしているらしいが、怪奇現象に見舞われる人が続出した場合、むしろ症状が出ない人のほうが異端なのでは?ということも示唆されていて、題名の「FITS」は「痙攣」だけでなく「周囲にフィットすること」も意味していることがよく分かる。

監督のアナ・ローズ・ホーマーにとってこれがデビュー作になるらしい。著名な役者は出ていなくて、トニ役はロイヤリティー・ハイタワーというなんかカッコいい名前の女の子が演じている。この作品の好評価を受けて、監督も主演女優もこれから活躍していくんじゃないかと。ダンスのシーンもいいですよ。

いわゆるアートハウスシネマなので万人受けする作品ではないかもしれないが、映像も美しくそこそこ楽しめる作品だった。

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