「I’m Dying Up Here」鑑賞


米ショウタイムの新作シリーズ。放送は今週末からだが第1話がオンラインで先行配信されていた。

舞台となるのは70年代のロサンゼルス。若手スタンダップ・コメディアンのクレイはコメディアンの登竜門であるジョニー・カーソンのトゥナイト・ショーに出演することとなり、さらに披露した芸がウケて、コメディアンの羨望の座であるカーソンの横の席へ招かれる。こうして一夜にして成功を手にしたクレイだったが、その晩にホテルから外出したところをバスにひかれて即死してしまう。あとに残された彼の友人や恋人たちは突然の出来事に唖然としつつも、彼の通夜の手配を行い、やがてクレイの両親や、彼にたまたま会いに来ていた故郷の友人、さらには彼と面識がないもののコネをつくろうとやってきた者たちが通夜に集まるのだった…というのが第1話の展開。

これだと話がよく分からないかもしれないが、成功を夢見るコメディアンたちの群像劇といったところ。カーソンの番組への出演を夢見る彼らは、まずサンセット・ストリップのコメディ・クラブ「ゴールディーズ」での出演の場を求め、貧しいながらも切磋琢磨していく。コメディアンの番組であってもコメディ番組ではなくて、彼らの暗い側面も描かれるみたい。そもそもクレイの事故死が実は自殺ではないかということが示唆されるのだが、その話はどこまで引っ張られるのかな。

自らの体に火をつけたリチャード・プライヤーに象徴されるように、アメリカの(そしておそらく世界中の)コメディアンってステージ上では面白おかしいことを言ってても心の内ではすごくドロドロしたものを抱えているというのが通説であって、そういう暗さとコメディのバランスをどうとっていくのだろう。

また劇中では観客が大爆笑しているはずのネタが、実際の視聴者にはお寒い内容だったということもよくあるので(STUDIO 60 ON THE SUNSET STRIPな)、コメディをテーマにした番組って常に一定の評価を得ながら続けていくのは結構難しいんじゃないだろうか。

なお同名のノンフィクション本があって、それをもとにしたシリーズらしい。70年代のロサンゼルスといえば無名時代のデビッド・レターマンやロビン・ウィリアムス、ジェイ・レノをはじめとするコメディアンたちが多数集まって、スタンダップ・コメディの黄金時代を築いていたそうな。プロデューサーにはジム・キャリーも関わっていて、彼の自伝的な内容ではないものの、地方から出てきた若者が家賃が払えずにクローゼットで寝泊まりしている設定などは彼の経験をもとにしているとか。

出演者はゴールディーズのタフな女性経営者を演じるメリッサ・レオをはじめ、クラーク・デュークやアルフレッド・モリーナ、アル・マドリガルなどなど。あとはゲストでロバート・フォスター、セバスチャン・スタン、ディラン・ベイカーなども出ています。

第1話を観た限りでは話の方向性が定まってないようで、70年代のカルチャーを背景に若者たちの話がダラダラ続くんだろうか。雰囲気的にすぐ終わった同局の「ROADIES」に近いものがあって一抹の不安を感じますが、ショウタイムはこないだの「ツイン・ピークス」シーズン3(大傑作!)で加入者が増えたそうなので、その人気にあやかって長続きすることに期待。

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