「RAW」鑑賞


フランスの若手女性監督によるホラー映画。

厳格なベジタリアンの家庭に育った少女ジャスティーンは、かつて両親が学び、そして姉も学んでいる全寮制の獣医大学へと入学する。そこで彼女は新入生に対する上級生からの熾烈な入学の儀式を体験させられ、その一環としてウサギの肝臓を食べさせられるのだった。初めて肉の味を経験した彼女は全身に湿疹ができるものの、肉に対する強烈な食欲を感じるようになる。さらにゲイの男性であるルームメイトにも性的な興味を抱くようになり…というあらすじ。

トロント映画祭では上映中に失神者が出たとかで話題になったが、そこまでグロい描写はないかな。思春期を迎えたオクテの少女が、自らの内側に潜んだ欲望を露わにするとともに肉体的な変化を遂げていく、という「キャリー」や「ブラック・スワン」に通じるアート系のホラーといったところ。フランス映画ということもあり「顔のない眼」に近いものを感じました。

監督はしれっとインタビューで「これホラーというよりコメディだから」とか言ってるけど、音楽の使い方がそんな感じだったかな。過激なシーンにちょっと軽快な音楽がかかるところとか。

(ほぼ)新人俳優のガランス・マリエールが演じる無垢な少女ジャスティーンは友達もいないまま大学のなかにひとり残され、自分の欲望に身をゆだねていくわけだが、その彼女を導くのが、よりハードコアな容貌と生活をしているお姉さんのアレクシアで、彼女はジャスティーンにファッションの手ほどきなどを与えると同時に、自分の欲望を受け入れるさまを教えていく。

お姉さんというエクストリームな体験の先駆者がいることで、ジャスティーンが経験する変化の衝撃が薄まったような印象も受けたわけで、むしろお姉さんのキャラはいらなかったんじゃね?とも思ったが、彼女の存在がラストの強烈なオチにつながっているのでありました。

海外での評判が大変よかったために、期待していたほどの内容ではなかったけれども、よく出来た作品ではありますよ。ホットドッグとか食べながら鑑賞しましょう。

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