日本では「シンクロナイズドモンスター」の題で11月に公開予定。アン・ハサウェイ主演の怪獣映画だぞ。以下はネタバレ注意、
ウェブライターのグロリアは酒飲みがたたって職にあぶれ、ボーイフレンドにも愛想をつかされてニューヨークから故郷の田舎へと帰って来る。そこで幼馴染のオスカーに再会した彼女は彼の所有するバーで働くことになるが、それと同時期に韓国のソウルに謎の巨大怪獣が出現する。その怪獣が彼女の分身であることを直感的に悟ったグロリアは、最初は怪獣を使った悪ふざけこそしていたものの、ソウルに多くの損害を出したことを知って反省するが、物事はさらにややこしくなっていき…という話。
確かに怪獣は出てくるものの上記のようなヒネリが加えられているため、怪獣映画というよりもSFコメディに近いかもしれない。そもそもなんで怪獣が出てくるのかとか、グロリアとどういう関係があるのかといったことに深い説明はされなくて、不条理SFというのかな?そんな内容になっている。全体的なノリは「彼女はパートタイムトラベラー」に近いものを感じました。まあアル中の怖さとか、男性のDVなどのメタファーも含まれてるんだろうけど。
企画時は「ハサウェイ・ミーツ・ゴジラ」みたいなふれこみだった記憶があるが、それに対して東宝が「ゴジラの名前を使うんじゃねー」と実際に訴訟を起こしたという作品でして、最終的な怪獣のデザインはそれで変わったのかな?「ウルトラマン」のギャンゴとラゴンを足したような外見でした。グロリアが操作をやめると姿を消してしまうあたりは「新マン」のサータンっぽくもあったな。
怪獣は着ぐるみではなくCGでどことなくショボいし、あくまでもグロリアの物語なので派手に暴れまわったりするシーンは少ないが、おっ!という展開もあるし、過剰に期待しなければ特撮ファンも楽しめるんじゃないですかね?ボンクラがこんな能力を持ったらどうなるのか?というセンス・オブ・ワンダーはうまく描かれていた。まあ痴話喧嘩に巻き込まれて街を破壊されるソウル市民は迷惑でしょうが。つうか毎晩怪獣が出現するなら、街から市民を退避させようよ!
金のかかった「トワイライト・ゾーン」の1エピソード、といった感じの作品でもあるので、110分の尺では後半けっこうダレるところもあったが、まあ大目に見る。それより気になったのは怪獣が「朝の8時にのみ操れる」という設定になっていることで(よって時差によりソウルでは必ず夜に出現する)、そのためバーで飲んでた主人公たちが外に出ると朝になってた、というシーンが何度かあったな。真夜中のすぐあとが朝の8時になっているというか。
監督のナチョ・ビガロンドの他の作品は観たことないっす。出演はハサウェイのほかにジェイソン・スデイキス、ティム・ブレイク・ネルソンそして今年働きまくっているダン・スティーブンスと、妙に豪華。キャストの割には低予算映画で、さらにその予算も回収できないくらいの興行成績だったらしいが、個人的にはかなり楽しめた作品でしたよ。SFファンで鑑賞会とかするのにお勧め。