「ブラック・ライトニング」鑑賞


DCコミックスのスーパーヒーローを主人公としたThe CWの新作シリーズ。日本でもネットフリックスでやるとか?

舞台となるのはフリードランドという都市。そこではザ・ハンドレッドという黒人系のギャングが幅をきかせて街の治安を最悪なものにしており、これによって警察の黒人に対する取り締まりも非人道的なレベルにまで達し、善良な黒人の市民たちは辛い暮らしを強いられていた。そんな善良な市民のひとりであるジェファーソン・ピアスはかつて電撃を自在に操るヒーロー「ブラック・ライトニング」としてギャングと戦っていたが、連日のように重傷を負って帰って来る彼を見かねた妻が彼のもとを去ったことから、ヒーロー業は引退してふたりの娘を育て、高校の校長として健全な若者の教育に勤めていた。しかし娘の一人がザ・ハンドレッドのメンバーに連れ去られたことから、怒りに燃えるピアスはブラック・ライトニングのコスチュームをまた身につけ、悪と戦うことを決意する…というあらすじ。

DCコミックスのブラック・ライトニングは1977年に登場したキャラクターで、マーベルのルーク・ケイジと同様に、当時のブラクスプロイテーション映画の人気に影響されて登場したといっていいのかな。スーパーマンの本拠地メトロポリスのスラム地区でギャングと戦うヒーローという設定で、当初は細身で胸をはだけたファッションで、確かアフロのウィッグも被っていたんじゃないかな?

彼のソロ・シリーズは比較的すぐに終わってしまったものの、80年代前半にはバットマン率いるバットマン&ザ・アウトサイダーズの一員として活躍しまして、俺も彼のことを知ったのはこのシリーズにおいてだったな。その後はクリエーターのトニー・イザベラとの権利的な?ゴタゴタがあった関係で90年代前半はDCユニバースに登場しなかったキャラクターなのです(いちおうイザベラが執筆したシリーズが当時あったが、イザベラが投げ出すような形ですぐ終わった)。

それが解決したのか2000年代になって再登場したときはスキンヘッドになってガタイも良くなり、もっと大人になったキャラクターになっていた。今回のTVシリーズのコスチュームはこの当時のものをベースにしているみたい。彼のふたりの娘たちもこのころ登場して、彼女たちをスーパーパワーを持っていることから、それぞれ「サンダー」および「ライトニング」というヒーローになって今に至っている。TVシリーズのほうも、少なくとも長女のアニッサはサンダーとして活躍することになるみたい。

もともとThe CWでなくFOX向けのシリーズとして作られたこともあり、プロデューサーとしてグレッグ・バーランティが関わっているものの、いわゆる「アローバース」の作品ではない。まあ「スーパーガール」も当初はアローバースの作品ではなかったわけで、これも来年のスイープス(視聴率調査月間)のころにはザ・フラッシュとクロスオーバーしてるんじゃないですかね…?

キャストの大半が黒人だというのは言わずもがな、主人公がティーンの子供をもった年配のヒーローということもあり、他のDCコミックス系のドラマとは毛色の変わった作品になっている。批評家のあいだでは思慮深いヒーローが登場した、ということで評判が良いみたいだけど、まだ第1話を観ただけでは何ともいえんな。警察が市民に横暴的なあたりは、最近のドラマの流行りの「Black Lives Matter」を反映した内容になるかと思ったが、警察よりもギャングがメインの悪役になるみたい。まあ結局のところThe CWのスーパーヒーロー番組であって社会派ドラマというわけではないが、「他の街で活躍している連中はみんな『ヒーロー』と呼ばれるのに、(黒人の)ブラック・ライトニングは『ビジランテ』だけと呼ばれるのは何故なのか」というようなセリフが出てきたのは興味深かったです。

主人公のピアスを演じるのはクレス・ウィリアムズ。「Hart Of Dixie」ででっかい市長を演じていた彼か。日本語のウィキペディアにも「とても身長が高い。」とだけあるように、とても身長が高い(193センチ)人なので、別にスーパーパワーなくてもケンカ強いんじゃね?とは思うものの、1970年生まれという結構な歳のせいかアクションにあまりキレはないです。なおブラック・ライトニングは単に手から電撃を放出するだけでなく、それで人を持ち上げたりもできるのだが、あれどういう仕組みなのだろう。自ら人を殺めたりはしないものの、ギャングの体を銃撃戦で盾に使うくらいのエゲツないことはやってます。

その彼に敵対するザ・ハンドレッドのボスがトバイアス・ホエールというのだけど、アルビノの黒人というキャラクターにちゃんとアルビノの黒人俳優(ラッパーのクロンドン)を適用するあたりがハリウッドの多様なところか。あとはピアスの娘たちや元妻、警察の刑事などに加えて、ピアスの親代わりだったという仕立て屋が登場するのだけど、バットマンにおけるアルフレッドみたいな役回りで、ピアスの引退中も黙々とブラック・ライトニングのスーツを改良していたというマッドサイエンティストぶりがなんか格好よかったぞ。

第1話を観た限りではそんなに特筆するほど際立った作品だとは思わなかったけど、本国の批評家の評判は概ね良いようなので、ピアスだけでなく娘のサンダーも活躍するようになると面白くなってくるのかも知れない。とりあえず今後の展開に期待。

「「ブラック・ライトニング」鑑賞」への106件のフィードバック

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