なんか日本では評判がイマイチのようですが、個人的には大変楽しめた作品だった。「EUROPA REPORT」とか「THE WILD BLUE YONDER」とか「VIRTUALITY」など、ホラーからアート映画からTV番組まで、おれ宇宙探索ものが好きだということを改めて実感しました。公開中なのでざっと感想を書くけど、結末についても書きたいので、以降はネタバレ注意。
- 海王星にて消息を絶ったけど生きているらしい父親を探しに、遠路はるばると旅をして道中いろんな危険に見舞われる息子の話だが、話のプロット的には「地獄の黙示録」によく似ている。主人公のモノローグで心境が語られるところも。あるいはさらに、監督の前作「ロスト・シティZ」にも似ているところがあったな。父親の執念に付き合わされる息子の姿を、あちらは父親の観点から描いていたが、こっちでは息子の観点になっているというか。
- ハードSFっぽい内容のようで、基本的に焦点が当てられるのは主人公の内面であり、いわゆるインナースペースSFというのはこういうのを指すの?
- 撮影監督が同じホイテ・ヴァン・ホイテマなので、「インターステラー」っぽく見えるのは仕方ないかと。
- トミー・リー・ジョーンズやドナルド・サザーランドといったいい顔のおっさんたちが出ている一方で、話の要となるのはやはりブラッド・ピットの抑えた演技でして、こないだ「ワンス・アポン〜」でもっとチャラい役を演ってたのと見比べても、いい演技ができる役者になったと思うことしきり。
- ラストはね、戻ってくるところまで映さなくても、余韻をもたせてその前で切ってしまっても良かったと思うが、これは人の好みそれぞれでしょうね。
- そして、監督は非常にリアリスティクな科学描写をしたかったらしいけど、劇中の宇宙船って反物質を燃料にした駆動装置で、79日で火星から海王星から行ける代物なんでしょ?それって燃料ロケットなどに頼らない、スター・トレックなみのスラスターとか開発できなかったのか。宇宙ステーションでサルを研究しているようなレベルの技術じゃないだろ。
- 「オデッセイ」もそうだったが、火星や月面での低重力の描写を完全に無視してましたね。リマ・プロジェクトの宇宙船もしっかり重力があったような。
まあ細かいツッコミは野暮だから置いとくにしても、個人的には大変良かった作品でした。