「ザ・ワイヤー」のデビッド・サイモンとジョージ・ペレケーノスがボルチモアに帰ってきた!というわけでHBOの新ミニシリーズ。
2016年から2018年くらいのあいだを舞台に、ボルチモア警察の汚職を軸にしながら、例によって警察・市議・住民などの視点から多角的に社会の問題をとらえた内容になっている。2015年にフレディ・グレイという青年が警察に逮捕された際に亡くなったことで抗議活動が起きた事件を背景に、好き勝手に振舞う警官たちやそれを容認している上司たち、状況を改善しようとする市議などが登場する。しかし単純に警察を悪として描くのでなく、彼らの台頭を認めざるを得なかった社会情勢や、それがいかに汚職につながっていったかなどが語られていくが、セリフも多くて難しいっすよ。勧善懲悪の刑事ドラマを期待してはいけません。
時系列が前後してるのがさらに話を複雑にしていて、2016年に懲罰も受けず好き勝手やってた警官がその後どうなったのか、また2017年に汚職で逮捕されることになった別の警官の顛末、などが今後明らかになっていくみたい。「ホミサイド」同様に実際の出来事を綴った本をベースにしたもので、「ザ・ワイヤー」でも容疑者に暴行を働いたりガサ入れで出てきた現金を横領する警官が出てきたが、いまは当時よりも状況が悪化してるのかな。なお共和党政権下だと内部調査の機能が骨抜きになるから、ヒラリーが選挙に勝つといいね、みたいなセリフが2016年に出てきます。
タスクフォースのリーダーで、第1話の最後で逮捕される警官にジョン・バーンサル。自分が悪いことをしたという意識が全くない役を演じてます。あとは「ザ・ワイヤー」でおなじみの役者がいろいろ出てるのが嬉しいところで、ジェイミー・ヘクターにデラーニー・ウィリアムズ、ジャーメイン・クロフォード、ドメニク・ランバルドッツィなど。ほかに有名どころだとジョッシュ・チャールズやウンミ・モサクが出演。シリーズ全話の監督は「ドリームプラン」のレイナルド・マーカス・グリーン。
まあ例によって明確な解決もない、なんかモヤモヤとした現状のまま話が終わるような気がして仕方ないですが、「ザ・ワイヤー」の続編と勝手にみなして、話が出そろったところで一気に観ていたい作品。