「THE INNOCENTS」鑑賞

ノルウェーの映画だよ。以下はネタバレ注意。

舞台はノルウェー(郊外?)の住宅団地。親の仕事の関係でそこに引っ越してきたイーダは、ベンという少年と友達になり、彼が持っている不思議な能力を目にする。一方、イーダの姉で重度の自閉症児であるアナのもとにはアイシャという少女がやってきて、彼女もまた不思議な能力を用いてイーダと心を交わすのだった。アナもまた能力を持つ兆候を見せ、イーダたち4人はそれらの能力を使って無邪気に遊んでいたが、やがて家庭環境の不満などからベンが暴走気味になり、その脅威はイーダたちにも向けられることに…というあらすじ。

ホラーっぽい演出もあるものの、意外と純然たる超能力SFであった。子供たちが持っている能力は明確に説明されないものの、ベンがテレキネシスでアイシャがテレパシー、アナもちょっとテレキネシスといったところかな。「クロニクル」みたいな派手な超能力バトルはない一方で、湖の水とか足元の砂の動きを使って超能力を効果的に表現している。

題名こそ「無垢な者たち」だが主人公の子供たちは子供ながらの残虐性を秘めていて、イーダは親の関心を集めるアナに嫉妬して彼女を虐めているし、ベンも野良猫を平気で虐待するような少年だったりする。ベンはアジア系でアイシャは黒人、どちらも母子家庭出身というのも能力に関係しているのかもしれないが、詳しい説明は全くないです。

イーダの両親などの大人はあくまでも脇役で主人公は子供たち4人だが、これが映画デビューとなる子供たちはみんな大人顔負けの演技をしていて大変素晴らしい。監督・脚本のエスキル・フォクトってヨアキム・トリアーの作品の脚本を書いてる人だそうで、2017年の「テルマ」も超能力を扱った作品らしいけど未見。というか超能力を持つ団地の子供たち、という設定が大友克洋の「童夢」を彷彿とさせて、特にラストの演出はかなり似てるのだが参考にしたのかなあ。あのマンガの実写版を観たい人におすすめの作品。